普段、地球上で平穏に暮らしている私たちですが、地球は常に宇宙から飛来する彗星や小惑星といった小天体衝突の脅威に晒されているという現実があり、いつ小天体が地球に衝突してもおかしくなく、もしそれが衝突した場合、地上には甚大なる被害が出てしまう可能性があります。
そんな危険を及ぼす小天体が、今後地球に接近しつつあるという情報があり、万が一その小天体が地球に衝突した場合、巨大津波を発生させてしまうかも?という警告も出されています。
果たして、その情報は正しいのでしょうか?
そして地球に接近している小天体はどのようなモノで、いつ地球に衝突する可能性があるのか?いくつかの情報をもとに調べてみました。

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NASAが発表した小天体地球接近の事実

2016年11月に発見された「2016 WF9」という彗星もしくは小惑星と思しき小天体。
この小天体は、直径500メートル~1キロほどの大きさで、木星軌道付近から小惑星帯、火星軌道を通過し、地球の内側を周るといった軌道を5年近くかけて公転している地球近傍天体だと推測されています。

「Image Credit:NASA/JPL-Caltech」
NASAによると「2016 WF9」は公転の過程で地球軌道を横切るため、2017年2月25日に地球に最接近しその距離約5,100万キロの地点を通過すると発表されていますが、通常なら、この5,100万キロという距離はかなり地球から離れており何の問題もなく通過するハズで、NASAも「何事もなく通過する。」と発表しているのですが、あるロシアの専門家が「2016 WF9は、真っ直ぐ地球に向かって来ている。」と言っており、地球に衝突する危険があると警告しているのです。

小天体が地球に衝突する危険とは?

NASAは「2016 WF9」が地球に衝突する危険はない!と公式に発表しています。
それもそのハズで、この天体の軌道はハッキリと把握されており将来的にも軌道が地球と交差するということもなく、さらに今回地球に最接近する距離は約5,100万キロとかなり離れており、これだけ距離が離れていると通常なら「問題ない」とするのは当然の判断です。

ところが、ロシアの自称天文学者と名乗る人物が、NASAが公表している地球最接近の2017年2月25日前の2月16日に地球の海に衝突し、巨大津波を発生させると警告しています。

そもそも「2016 WF9」が何故、地球最接近する9日も前に衝突する事が謎なのですが、この人物によると「2016 WF9」は惑星「ニビル」に関係しており、このニビルの影響により軌道が大きくズレて地球に向かって来ていると主張しているとの事です。

ちなみに、この人物の警告が本当なら直径1キロもの小天体が海に落下した場合、その衝撃は深海まで及び深海から突き上げられ発生した巨大な津波で、沿岸部の都市部はことごとく津波に飲み込まれてしまうほどの甚大な被害を受けてしまう可能性があります。

「Image Credit:iStock」
※ 追記:「2016 WF9」は結局のところ、地球に衝突する事なく2017年の2月後半に地球から3,200万マイル(約5,100万km)以内の場所を通過して行き、NASAの予測が正しかった事を証明してくれました。
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謎の惑星「ニビル」とは?

小天体が地球に衝突すると警告しているロシアの自称天文学者は、小天体「2016 WF9」は2016年10月に惑星「ニビル」が太陽の周りを反時計回りに回転し始めたことで、ニビルの軌道から外れて地球に向かって来ていると説を唱えていますが、この人物の唱える説はともかくとして、ここで登場して来る惑星「ニビル」とは何なのでしょうか?

惑星「ニビル」とは、一言でいうと仮説上の天体であって現時点でその存在の証拠は何一つなく、実在しない架空の天体のため、この記事を書いている私自身ニビルについて全く興味はないのですが、一応ウィキペディアに載っていた情報からの概要を書き出してみました。

二ビルは地球の4~5倍の大きさで、地球の20~25倍の質量を持つ天体。太陽を約3,600年周期で公転している天体であるとの事。
この惑星・ニビルは、その質量から来る巨大な重力によって太陽系の他惑星に影響を与え惑星の軌道をも乱しているという説もあり、また、自称天文学者がいうような、天体がこれまで回転(自転?公転?)を変えてしまうといった現象などあり得ない事です。

さらに、地球の4~5倍の大きさを持つ惑星ならスーパーアース級の天体であって、もし本当に存在するなら今の観測技術ならとっくに発見されても良いハズですが、まったくその痕跡すら確認されていません。
そのためか?NASAもニビルの存在について「ネット上のデマ情報」と一喝しており、存在していないことは明らかとしています。

「Image Credit:pixabay」
なお、2016年にその存在の可能性が浮上した、太陽系第9惑星と惑星ニビルは、何の関係もない別の天体になります。

今後地球に衝突する危険な天体はあるのか?

NASAが公式に「心配ない!」と発表していますので、小天体「2016 WF9」が地球に衝突することなどなさそうですが、だからと言ってこれで地球に迫る危険を回避出来たワケではありません。
現在、地球周辺には地球近傍天体と呼ばれる、地球に接近する軌道を持つ彗星や小惑星がが無数に存在し、これらの天体のいくつかは毎年のように地球にニアミスするような軌道で接近しており、中には2013年にロシアのチェリャビンスク州に落下した隕石のように、地上に被害を及ぼすような危険な天体も出現しています。

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また、さらに過去には、1908年にシベリアのツングースカ地方で起きた「ツングースカ大爆発」は、数十メートル級の小天体が落下し、半径30キロ以上の森林の木々をなぎ倒し、炎上させたという記録が残っています。

「Image Credit:謎の爆発によりなぎ倒された木々(Wikipediaより)」
その他、人類の歴史の中でもいくつかの小天体の衝突と思われる災害が起こっており、今後も衝突の可能性が危惧され、もしそのような事態が起こった場合、残念ながら現在の人類のチカラでは防ぐ手立てはありません。
しかし、防ぐ手立てはなくとも観測技術の発展により、人類は常に地球近傍天体に観測の目を向けており、地球に危害を及ぼす天体を事前に見つけ出すことは可能で、少なからず被害を軽減するシステムは確立されつつあります。
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