あまり知られていませんが、これまでの地球史の中で生物の大量絶滅は幾度も起こっており、その原因は地球環境の激変や、小惑星や彗星等の地球衝突等によるものだそうです。
そんな知られていない大量絶滅の歴史の中で、唯一と言っていいほど有名なのが恐竜絶滅ではないでしょうか。
この原因については諸説ありますが、最近になって新説が発表されて話題になっています。

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地球の歴史の中で起こった5度の大量絶滅

地球が誕生したのは約45憶年前だとされており、生命が生まれたのはそれから約7憶年経った約38億年前に、最初の生命体が誕生したと考えられています。

最初の生命体は原始的な単細胞生物だと考えられており、原始の海の中で何度も全滅や誕生を繰り返しながらも、永い年月をかけて少しずつ進化を続け、多細胞生物が誕生したのは約10憶年前ではないかと推測されています。

「Image Credit:10億年前の多細胞生物の化石(中部経済新聞より)」
その間、地上は太陽からの激しい紫外線が降り注ぎ、また火山活動も活発だったため地上で生命が育まれる事が阻まれ続けました。
そんな地球の環境が落ち着き、生命が地上進出を始めたのが約5億年前だとされています。

「Image Credit:地上進出を始めた最初の陸生生物の想像図(John Long)」
そして5億年前から今日まで、地球上では環境が激変した5つの生命大量絶滅が起こっており「5大絶滅」と呼ばれています。

地球上の生命「5大絶滅」の歴史

地球上の生物は、過去5億年の間に5度の大量絶滅を経験していると考えられており、その原因となったのは主に急激な気候変動、異常気象等となっており、中には宇宙から飛来した巨大隕石衝突が地上に住む生物に大打撃を与えた例もあるようです。

「Image Credit:depositphotos」
では、この5億年の間に起こった大量絶滅はいつ?で、何が原因だったのでしょうか?
仮説をもとに挙げてみると・・・
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1回目~約4億4,400万年前「オルドビス紀末」の大量絶滅

古生代のオルドビス紀は約4億8,830万年前から約4億4,370万年前で、この時代は多細胞生物が繁栄を始めた頃で有名な生物に小学校の授業でも学ぶ三葉虫がいます。

「Image Credit:三葉虫のイメージ図(iStockより)」
その末期に当たる約4億4,400万年前に、近距離での超新星爆発が発生しその影響で地球は大量のガンマ線(ガンマ線バースト)を浴び、生物の大量絶滅が引き起こされたという仮説が出ていますが、最近の研究では活発な火山噴火が原因で噴煙が地球上空を覆い隠し太陽光を遮断。その結果、地上は急激に寒冷化され生物の絶滅が誘発されてしまったという説も発表されています。

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2回目~約3億7,400万年前「デボン紀後期」の大量絶滅

1回目の大絶滅から約7千万年後の約3億7,400万年前、この時代は主に海洋生物の絶滅が起こっており、やはり地球の寒冷化と海の酸素が乏しくなるという異常現象で約82%もの海洋生物が絶滅したと言われています。

「Image Credit:デボン紀大量絶滅の主要因が大規模火山活動だったという説(news.mynavi.jpより)」

3回目~約2億5,100万年前「ペルム紀末」の大量絶滅

このときに起こった大量絶滅は、地球史上最大の絶滅!と言われるほど大きな異変で地球上の生物の9割以上が絶滅してしまったと考えられています。
原因はいくつかの仮説があり、海岸線後退による食物連鎖のバランスが崩壊した説や、「スーパープルーム」と呼ばれる地下のマントル流上昇による急激な地殻変動が起こり、火山活動の活発化による二酸化炭素濃度の上昇で酸素が欠乏し温暖化も発生したという説も浮上しています。

「Image Credit:スーパープルームの図解(文部科学省より)」

4回目~約1億9,960万年前「三畳紀末」の大量絶滅

この時代に多く繁栄していたのが、これまた化石でもメジャーな存在のアンモナイト。

「Image Credit:アンモナイトの想像図(Wikipediaより)」
このときの原因は、またしても火山活動の活発化によるモノだとされ約8割の生物を絶滅させたと考えられており、これを機に生き残った恐竜たちが巨大化して行き、恐竜が大きく繁栄する時代を迎えたと考えられています。
そして、この後の5回目の大量絶滅が新たな説が加わった天文史にも関わる大きな出来事となったのです。

5回目~約6,500万年前「白亜紀末」の恐竜絶滅の新たな説

三畳紀から白亜紀までの約5憶年に渡る恐竜の繁栄。その繁栄に終わりを告げたのが約6,700万年前に起こったただひとつの出来事。

ある日突然、直径10キロほどの小惑星(巨大隕石)が、現在のメキシコ・ユカタン半島付近に落下します。

「Image Credit:Google Maps」
このときの衝撃による巨大な津波や地殻変動、さらには衝突で巻き上がった粉じんが上空を長期間覆い、太陽光を遮断。
これにより地上の寒冷化が起こり、恐竜を含む7割以上の生物が絶滅したと考えられています。

「Copyright ©:Houma Erie All rights reserved.」
現時点ではこの小惑星衝突が最も有力な説で、実際にユカタン半島には小惑星衝突跡を物語る巨大なクレーター(チクシュルーブ・クレーター)も発見されています。

5回目の大絶滅をもたらした悲劇的な要因(新説)

現在、約6,700万年前に恐竜絶滅を引き起こした小惑星地球衝突の説は最有力で「ほぼ間違いないだろう」とされていますが、しかし、小惑星衝突で地球上の生物がほとんど絶滅するほどのチカラがあるのか?疑問を呈する専門家がいるのも事実です。
そんな中、日本の研究者たちが、何故、小惑星衝突がこれほどの被害をもたらしてしまったのか?についての研究論文を発表しており、その論文によると小惑星の落下した場所に答えがあるとの事。

ユカタン半島には、豊富な炭化水素(石油や天然ガスの主成分)を含む堆積層があり、ここに小惑星が衝突した事で膨大な量の煤(スス)が大気中に巻き上がげられ、煤がより長く大気中に留まることで地球の寒冷化が進み多くの生物が生き残ることが出来なかった推定しています。
つまり、衝突で巻き上がった粉じんが通常の土砂なら重いため、長く大気中に留まることが出来ず地球を寒冷化する前に地上に落ちてくるとされ、これが軽い煤なら一緒に巻き上がった水蒸気とともに長い期間大気を覆ってしまうと考えられています。
また、衝突時に飛び散った高温に熱せられた岩石などが森林に燃え移り巨大な火災が発生し、このときに燃えた煤も大気中に広がり寒冷化をもたらす要因になったと推測されていて、これにより軽い煤が恐竜たちを絶滅に追いやった大きな原因だと言います。

ちなみに、巨大隕石衝突で煤をまき散らすほど豊富な炭化水素のある堆積層は地球上では10%ほどしかないと言います。
要するにこの新説が正しければ、約6,500万年前の小惑星衝突は運が悪かったことが原因で起こった大量絶滅という事になるのではないでしょうか?
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