星に詳しくない人でも「シリウス」という名前は一度は聞いた事があるのではないでしょうか。
シリウスは全天で輝く星の中でも太陽の次に明るい恒星で、冬の星座のおおいぬ座では最大に明るい星でもあります。
今回このシリウスを取り上げる理由は、何故この星が明るく輝いているのか?を基準に解説し、シリウスにまつわる神話やこの星が地球に与える影響などについて語ってみたいと思います。

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シリウスとは?

シリウスはおおいぬ座の中の1等星で、オリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオンともに冬の大三角の一角となるとても明るい星です。
そのため簡単に見つけることが出来る星としても知られていて、冬の夜空を見上げると、オリオン座の左斜め下にひと際明るく輝く星があります。
それがシリウスです。

「Image Credit:Yahoo!JAPAN きっず図鑑
このシリウスは非常に明るいため、満月の月明かりで星が見えにくいときでも見ることが出来ますのですぐにわかると思います。

シリウスが明るい理由

シリウスが明るく見える理由は、その質量と光度が高いうえに地球からかなり近い距離にある恒星だからであり、大きさは太陽の約2.5倍の質量で表面温度約10,000度と高く、その高温のため青白く見える星でもあります。
なお、地球からシリウスまでの距離は約8.5光年。秒速約30万キロで進む光の速さで8年半もかかる距離にあるのですが、天文的な距離間隔でいうととても近い、言わばお隣りの星といっても良いくらいの距離にある恒星です。つまり、この2つの理由からシリウスが明るく見えるワケです。
また、シリウスは2つの恒星からなる連星で、私たちが普段見ているシリウスはシリウスAと呼ばれる星で、もう1つの星シリウスBは、既に恒星としての寿命を終えた伴星で恒星の燃えカスとなった非常に小さい星・白色矮星だと考えられています。

「Image Credit:Wikipedia」

シリウスにまつわる逸話

シリウスが非常に明るく輝く星であることから、古くから信仰・崇拝の対象の星として崇められてきました。
例えば、古代エジプトでは「ナイルの星」・「イシスの星」と呼ばれており、大河であるナイル川の氾濫を知らせる重要な役割のある星として崇拝されていたと言われています。
また中国では、狼のように鋭く青白く輝くことから天狼星とも呼ばれ、シリウスの名前の由来になったギリシャ神話では「光輝くもの」「焼き焦がすもの」の意味を指す「セイリオス」から名前が付けられているようです。
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シリウスが地球に及ぼす影響は?

シリウスが太陽よりも巨大な恒星だとつい考えてしまうのが、いつかは超新星爆発を起こすのではないか?と考えで、もしシリウスが爆発したとしたなら、地球も壊滅的な被害を受けるのではないか?とネット記事などに書かれていたりもしています。ですが、シリウスが晩年を迎えたとしても、おそらくは超新星爆発を起こす心配はないでしょう。
その理由は、シリウスが太陽質量の2.5倍ほどしかないという事。

「Image Credit:Wikipedia」
通常、超新星になる条件の恒星は太陽の8倍以上の質量が必要だと考えられており、シリウスの2.5倍の質量では条件に当てはまりません。
ただ、仮にシリウスが超新星爆発を起こすような恒星だったとしたら、半径数十光年にある星は大きな影響を受けると考えられ、わずか8.5光年の至近距離にある太陽系は壊滅的な被害を受けることは間違いないとされ、超新星爆発による衝撃波やガンマ線バーストで、地球は大気ごと焼き払われてしまう可能性があります。

「Image Credit:ガンマ線バーストの想像図(東京大学宇宙線研究所)」
こういった超新星爆発の心配はありませんが、質量の大きいシリウスは代謝が速く、太陽よりも早く寿命を終えてしまうと考えられているため、超新星爆発は起こさなくても、直径数億キロの大きさにもなる赤色巨星になることは十分考えられます。
もし、シリウスが赤色巨星になった場合、至近距離にある太陽系にも影響が及ぶ可能性がありますが、それがいったいどういう影響になるのか?私が調べた限りではわかりませんでしたが、それは数億年、または数十億年先の話になるので、現時点で心配する必要はありません。

ただ言えるのは、巨大に膨れ上がったシリウスは地球からでもかなり大きく見えることと思います。
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