太陽系最大の惑星・木星
この惑星は、地球から遠く離れているためでしょうか?あまり身近に感じない天体でもあります。
ですが、遠く離れた巨大惑星・木星は、地球にとっては無くてはならないとても大切な存在である可能性が大きいと言われています。
でも、地球から遠く離れている木星が何故大切な存在なのでしょうか?
ここでは、地球と木星の重要な関係性を3つほど挙げてみたいと思います。

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木星ってどんな惑星なの?

太陽系に属する惑星の中で最も巨大な惑星は木星。
その大きさを地球と比較してみると。
  • 直径:約11倍
  • 質量:約318倍
  • 体積:約1,321倍

「Image Credit:iStock」
木星の質量は、木星を除いた太陽系全ての惑星質量の合計値よりも重く、木星がいかに大きいかをうかがうことはできますが、それでも太陽系全質量の99.87%を占める太陽に比べたら、木星の質量は1,000分の1にも満たしていません。

それでも地球に比べたら木星は遥かに巨大です。
しかも、この巨大惑星が地球にもたらしてくれる恩恵は計り知れないモノがあるという学説があります。

そんな木星の恩恵の学説をわかりやすく解説したアニメーションが公開されていますので、こちらの動画をもとに地球と木星の関係についていくつか述べてみたいと思います。

「Copyright ©:Life Noggin All rights reserved.」

地球誕生のきっかけをつくってくれた木星

木星は太陽誕生とほぼ同じ時期に生まれたと考えられており、誕生した当初の木星は現在よりも近い距離で太陽を周回していたと推測されています。
また、当時の木星周辺には、地球の数倍程度の質量を持つ「スーパーアース」と呼ばれる惑星もいくつかあり、まだこのときは地球は誕生していなかったと考えられています。

そんな木星とスーパーアースたちは、お互いの強力な重力で干渉しあい、その結果、惑星たちの重力バランスが崩れてしまいます。
この重力バランスの崩れで、木星は太陽より離れた場所に弾き出され、現在の位置(太陽との距離約7億8,000万キロ)の軌道を周回する事になります。

一方、スーパーアースたちは重力バランスの崩壊で衝突し、バラバラに砕け散ってしまったとされており、砕け散った惑星の破片は太陽に飲み込まれたり、また破片同士が衝突を繰り返し新しい惑星を形成して行きます。

「Image Credit:東京大学
それが、現在の水星・金星・地球・火星といった比較的太陽に近い距離を周る岩石惑星たちで、残った破片は火星と木星の間に小惑星帯(アステロイド・ベルト)となって残っていると考えられているのです。

「Image Credit:JAXA宇宙情報センター」
これが、木星の重力干渉で地球が誕生したという仮説で、この説が正しければ木星が存在しなければ地球の誕生はなく、今でも太陽の近くではスーパーアースたちが周回していたかも知れません。
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彗星や小惑星の衝突から地球を守ってくれている木星

太陽系には惑星だけではなく、無数の彗星や小惑星が周回しており、その中には、地球に衝突する可能性を秘めている小惑星も多数あります。
しかし、ご承知のように現在の地球において危険な小惑星など落ちて来ていません。

その小惑星が地球に落ちて来ない要因を作ってくれているのが木星だとも言われています。
地球の300倍以上の巨大な重力を持つ木星は、これらの小惑星たちを引き付ける大きなチカラを持っており、現在も月に5~6個ほど彗星や小惑星が木星に衝突しています。

「Image Credit:1994年、木星に衝突したシューメーカー・レヴィ第9彗星の衝突跡(Wikipediaより)」
つまり、太陽系の深部からやって来る彗星や小惑星を、木星が引き付けて受け止めてくれているというワケです。

恒星になり切れなかった木星

木星は巨大なガス惑星で、成分は太陽とよく似ています。
・太陽の主な成分:水素 約74%、ヘリウム約25%。
・木星の主な成分:水素約81%、ヘリウム約17%。

つまり、星を構成する材料だけで考えると、木星もまた太陽のような恒星になれる要素を持っていることになります。
しかし、内部で熱核融合反応は起きず、木星は惑星のままです。

では、何故木星は恒星(太陽)になれないのでしょうか?
理由は、内部で核融合反応が起こるには質量が足りなかったからであり、木星が恒星になるにはあと8倍ほど質量が必要と考えられています。
仮にそれだけの質量があった場合、木星は表面温度が摂氏2,000度ほどの赤色矮星になっていたでしょう。
このような状態になっていた場合、太陽系には太陽が2つあるという連星になり、太陽系の様子はかなり変わっていた可能性があります。

「Image Credit:連星のイメージ図(YouTubeより)」
木星が赤色矮星であっても太陽の方が遥かに質量が大きいですので、赤色矮星(木星)も太陽の周りを周っていたと考えられます。
しかし、赤色矮星(木星)も巨大な重力を持っていますので、太陽系の惑星たちの引力は安定せず軌道がかく乱され、地球も今の軌道に留まることが出来ないかも知れないため、地球の軌道が今と違ったとした場合、地球に生命は存在出来ていない可能性があります。

絶妙な関係性を持つ地球と木星

地球と木星の距離は約6億キロ。
この距離は、近過ぎもせず遠過ぎもせず、といった絶妙な距離関係でもあります。
もし、地球がもっと木星に近かったら、地球は木星の重力の影響を受けていたでしょうし、遠過ぎたら小惑星の衝突から地球を守れていなかったかも知れません。

「Image Credit:Wikimedia Commons」
いずれにせよ、地球にとって木星は大切な存在で、木星がなかったらおそらく今の地球は存在しなかったでしょう。
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