観測技術の発達により、次々に発見されている太陽系外惑星。
そこで注目を浴びているのが地球サイズの岩石惑星で、その惑星には生命がいる期待も浮上しています。

そしてこれまでに発見されている地球型の系外惑星で、最も地球に近い距離の星系に生命が存在できる可能性が出て来ており大きな話題になっています。
この情報はネットを中心に報じられていますのでご存知の方も多いと思いますが、ちょっとアバウトな報じられ方をしていると感じましたので、このサイトではもう少し掘り下げたカタチでお伝えしたいと思います。

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地球から11光年離れた場所に見つかった地球型惑星

今回話題に挙がっているのが、地球から「おとめ座」方向に約11光年離れた場所にある恒星「ロス128」の周りを回っている第2惑星と思われる「ロス128b」。

「Image Credit:系外惑星ロス128bの想像図(Wikipediaより)」
惑星「ロス128b」の主星である恒星「ロス128」は、もはや地球型惑星発見の定番となっているほどお馴染みな赤色矮星です。

赤色矮星は銀河の中でも約7割を占めるほど平凡な恒星で、私たちの太陽(黄色矮星)の方が少数派の恒星になるのではないか?と考えられる程、赤色矮星は宇宙にありふれており、この恒星に見つかった惑星「ロス128b」は、地球の約1.3倍の大きさで表面が岩石で覆われた地球によく似た惑星だとされています。


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また、主星「ロス128」との距離関係が生命生存可能領域・ハビタブルゾーンに位置していることが判明しており、これにより地球から最も近い生命生存が可能な惑星ではないか?として期待度が高まっている天体でもあります。
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地球から最も近い地球型惑星は他に見つかったハズ!?

地球から最も近い生命生存可能な惑星と聞き、少しと疑問に思った人もいるのではないでしょうか。
その疑問に思う原因は、以前大きな話題になった地球から4.25光年離れた場所に見つかった地球型惑星「プロキシマb」にあるかも知れません。
プロキシマbも赤色矮星「プロキシマ・ケンタウリ」のハビタブルゾーン内を公転する惑星なハズで、なのに何故11光年離れた「ロス128b」の方が地球から最も近い生命生存可能な惑星なのかと思うでしょう?

その疑問を解く理由となるのが、「プロキシマb」が置かれている環境に原因があります。
「プロキシマb」の主星であるプロキシマ・ケンタウリは、赤色矮星としては比較的若い恒星(約50憶年)で、くじら座UV型変光星と呼ばれる高速で自転し頻繁に太陽フレアが起き急激な増光を起こし活発に活動している恒星です。

「Image Credit:増光を起こすプロキシマ・ケンタウリ(Wikipediaより)」
つまり、「プロキシマb」が生命生存可能領域・ハビタブルゾーン内に位置していたとしても、主星の活発な活動に巻き込まれ生命が育まれるには過酷な環境であると推測されています。
一方、ロス128の推定年齢は70億年で赤色矮星としての活動は安定期に入っていると考えられており、それにより「ロス128b」には優しい太陽の光が降り注ぎ、生命誕生に適した環境が揃っているのではないか?と予想されています。

「ロス128b」に生命が宿るとしたらどんな生物がいるのか?

ロス128やプロキシマ・ケンタウリのような赤色矮星は、私たちの太陽に比べたらかなりに小さな恒星であり、ロス128の場合、質量は太陽の0.15倍、大きさは太陽の0.21倍しかなく、それに伴い明るさは太陽の0.035倍ほどしかありません。

「Image Credit:Wikipedia」
ロス128は非常に小さな恒星ですが、惑星「ロス128b」との距離は太陽と地球の距離関係の20分の1程しかなく、そのため、星「ロス128b」には、丁度良い熱と光が降り注いでいると考えられており、生命が育まれ進化を遂げている可能性もあるため、生命生存の可能性が高い系外惑星では最も地球に近いとされているのです。

ただ、ロス128bが生命誕生に適した環境といっても地球の環境とはかなり違うことが考えられます。

地球に降り注いでいる光は明るい黄色の紫外線を主とした可視光ですが、一方の「ロス128b」は暗い赤色の赤外線を主とした光だと考えられ、熱量はそれほど変わらないと考えられますが、降り注ぐ光の種類の違いによってそこで育まれる生命もかなり異なるモノと考えられます。
『赤色矮星で進化する生物(想像)』
  • 光合成で育たない植物
    地球では光合成で育つ植物も、赤外線下では光合成が出来ないため、異なるエネルギー(近赤外線?)で育つ植物が進化している可能性。
  • 暗い光の中で見える目の大きな生物
    生物もまた、赤外線に順応した地球とは異なる生物進化する可能性があり、暗い光の中では、良く見えるよう目が発達することも考えられます。
  • 高度な文明を持つ知的生命体がいる?
    寿命の長い赤色矮星。
    つまり、生命が進化する時間も地球より長いため、もしかしたら人類以上に進化した知的生命体がいる可能性があるかも?
このような生命進化の条件を考えると、良くSF映画などに登場する目が異常に大きな異星人は赤色矮星の惑星に住む知的生命体なのかも知れませんね?

「Image Credit:iStock」

やはり生命が存在出来ない可能性も!?

生命が存在出来る可能性がある。として報じられている11光年先の惑星「ロス128b」。
しかし、この生命存在説に否定的な意見もあります。
それは、赤色矮星「ロス128」もかつては活動が活発だったため、その活動期に惑星に存在した生命存在に必要な水は蒸発し、また地表は放射線で汚染され既に生命が誕生出来ない環境になってしまっている可能性もあるのでは?とされ、さらには、主星と惑星の距離があまりにも近いため、天体の自転と公転の同期する潮汐ロックが起こっている可能性もあるといい。

潮汐ロックは、月が常に同じ面を地球に向けている状態と同じ現象で、もしこの現象が恒星と惑星に起これば、常に昼側と夜側と別れてしまい、昼側は恒星からの熱で異常に熱せられ逆に夜側は光と熱の当たらない極寒の世界になってしまい、とても生命が存在出来る環境ではなくなってしまうと考えられています。

しかし、ある科学者はもし潮汐ロックになってしまってもその星に十分な大気と水が存在すれば、熱が昼側と夜側に上手く循環し生命に適した環境になり得るとの見解を示していますが、果たして実際はどうなのでしょうか?
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