最新のテクノロジーが詰め込まれた次世代型宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
この望遠鏡には大きな期待がかかっていますが、でもこの最新望遠鏡ではどのような天体が観測対象となっているのでしょうか?
また、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に搭載された最新のテクノロジーとは、どのようなモノなのでしょうか?

今回は、ついに運用を開始したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡について調べてみました。

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最新のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のテクノロジ-とは?

度重なる延期の末に、2021年12月に打ち上げられ無事に軌道投入成功。そしてついに運用を開始した最新鋭の宇宙望遠鏡。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope(JWST))
この宇宙望遠鏡はこれまでの宇宙望遠鏡とは全く別物と言っていいほど超高性能で、この望遠鏡が期待通りの活躍をしてくれれば、人類がこれまで見た事のない宇宙の景色を見る事が出来るハズと大きな期待が寄せられており、この望遠鏡を開発したチームも「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡により、天文学の世界に大きな変化が訪れる。」と自信を持っています。

では、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とは、いったいどんな無人探査機(望遠鏡)で、どういった性能があるのでしょうか?

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の構造

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の大きさはテニスコート一面ほどと無人探査機としてはかなりの大きさなのですが、重量はそれほどでもなくハッブル宇宙望遠鏡の約半分で6.2tと公表されています。

「Image Credit:NASA」
但し、望遠鏡としての軸である主鏡口径はハッブルの2.5倍にも及ぶ約6.5mと、これは六角形のベリリウム製鏡を18枚配置してこれだけの大きさを実現しており、全体の面積はハッブルの7倍以上にもなると言います。

「Image Credit:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡(Wikipediaより)」
なお既存のロケットでは、これだけの大きさの構造物の打ち上げは不可能ということで、打ち上げ時には小さく折り畳まれており軌道投入後に展開され無事に成功しました。

赤外線を利用した観測方法

ハッブル宇宙望遠鏡は主に目に見える波長、つまり可視光を使った観測方法でしたが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の場合は赤外線で観測を行います。

赤外線での観測は、可視光や紫外線観測よりも天体観測には向いていて、波長も長く、人間の目には見えない天体まで観測する事が可能となり、さらには赤外線が過去に遡るタイムマシン的な事も出来、観測対象の天体の形成の過程まで遡ることが出来るそうです。

「Copyright ©:Wall Street Journal All rights reserved.」

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測を行う場所(軌道)

ハッブル宇宙望遠鏡は、地上から約600km上空の衛星軌道上で地球を周回しながら観測を行っていましたが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の場合、地球から約160万kmも離れたラグランジュ点(L2)の軌道上に設置されます。

ですが何故、こんな遠く離れた軌道上にわざわざ宇宙望遠鏡を設置する必要があるのでしょうか?
その理由は、より精度の高い観測をするためで、地球に近い軌道上だと観測対象天体が地球の影に隠れてしまったり、また地球から発せられる光や電波が観測の障害となる恐れがあるためだとされています。

「Copyright ©:James Webb Space Telescope (JWST) All rights reserved.」
ただ、地球から離れた軌道に設置するとなるとそれだけリスクも伴い、もし宇宙望遠鏡に故障等の不具合が生じた場合、ハッブル宇宙望遠鏡のうように、宇宙飛行士が直接その場に行って修理も出来ないワケで、そういった意味では失敗の出来ない一発勝負になってしまうのかも知れません。

故障が功を奏した事例~ケプラー宇宙望遠鏡

宇宙望遠鏡の故障と言えば思い出すのが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と同様にラグランジュ点(L2)の軌道上に設置されたケプラー宇宙望遠鏡ではないでしょうか。

「Image Credit:ケプラー宇宙望遠鏡(Wikipediaより)」
太陽系外惑星を探索するために軌道投入されたケプラー宇宙望遠鏡は、運用開始後しばらくは正常に機能していたのですが、運用途中で姿勢制御系の不具合が生じ、本来観測対象となっていた方角とは違う方角を向けて観測するしかない状態になってしまいました。
故障により姿勢制御が出来なくなった時のケプラー宇宙望遠鏡は仕方なく、照準が合わせられる本来観測対象外だった太陽よりも小さくて暗い恒星・赤色矮星に観測をシフトします。
ところが、この赤色矮星に地球に似た系外惑星が次々と見つかるという皮肉な結果が出ることになったのでした。
●参考記事:【地球に似た惑星を7つ発見の赤色矮星「トラピスト1」】
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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測目標天体は?

ケプラー宇宙望遠鏡の故障の話は余談でしたが、最新技術を投入したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡にトラブルは起こってほしくはなく正常な運用が出来ることを祈るばかりですが、ではこの宇宙望遠鏡の観測対象はどうなっているのでしょうか?
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、汎用度の高いハッブル宇宙望遠鏡の後継機として開発されたモノで、多様性を持った宇宙望遠鏡として運用されることになっており、地球から遥か遠くの深宇宙の観測から天の川銀河内の天体の観測、さらには太陽系圏内の惑星や衛星、小惑星などをより詳細に観測する予定だと言います。
またジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、太陽系外惑星探査を行っていたケプラー宇宙望遠鏡の運用を引き継ぐともされており、この最新鋭望遠鏡によって地球外生命体の存在も明らかになるかも知れません。

そんな期待の中、個人的には地球から約40光年離れた場所で発見された「トラピスト1惑星系」の詳しい調査をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に担ってもらいたいとは思っています。

「opyright ©:NASA Jet Propulsion Laboratory All rights reserved.」
もしかしたらこの惑星系には、最も生命が生存出来る痕跡が見つかるかも知れない。という期待感が高まっています。
その期待に応えてくれるのがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡かも知れません。
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