人類が将来移住を計画している地球のお隣りにある惑星・火星。
しかしながら、現時点での火星は人類が移住出来る環境とはとても言えません。
そこで、移住出来る環境にするため構想されているのが火星を地球化するテラフォーミング計画
ですが、そのテラフォーミング計画というのはどういったモノなのでしょうか?
また、何故火星がテラフォーミング計画の候補になったのか?その理由と利点や問題点についていくつか調べてみたいと思います。

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火星を人間が住めるような環境に改造する構想を「火星テラフォーミング計画」と言い、赤茶けた不毛の星を地球のような緑溢れる生命の星に造り変えるという計画であり、一見、荒唐無稽なSFの世界の話のようにも思えますが、実際に火星テラフォーミングを真剣に考えている人たちが大勢います。
しかもその人たちは科学者などその道の専門家で、火星を地球のように造り変えるということは可能だと考えているようなのです。

火星の現状

火星には地球より進んだ文明を持っていた。もしくは太古の昔に栄えた文明があった火星人がいるなどと、SFチックでオカルト的な話もあったりしますが、実際の火星は火星人はおろか1本の草木も生えることが許されない過酷な環境で、現時点で生命の痕跡など見つかっていません。

「Image Credit:赤茶けた不毛の大地が広がる火星(Wikipediaより)」
そんな過酷な環境である現在の火星とはいったいどんな惑星なのでしょうか?
生命に溢れる地球と比べた表形式にしてみると・・・
『地球と火星の基本情報比較』
地 球
火 星
大きさ(直径) 12,742キロ 6,779キロ
太陽からの距離 約1億5,000万キロ 約2億2,800万キロ
公転周期 約365日 約687日
自転周期 24時間 24時間40分
自転軸(傾き度) 約23度 約25度
大気圧 101.325 kPa 0.7~0.9 kPa
大気成分 窒素:約78%
酸素:約21%
その他:二酸化炭素、アルゴン他
二酸化炭素:約95%
窒素:約3%
アルゴン:約1.5%
その他:酸素、一酸化炭素
表面温度(平均) 15度 -40度
地表付近重力 9.807 m/s² 3.711 m/s²
といった具合に、地球と火星では自転周期と自転軸の傾き以外は環境がまるで違います。
このような環境下で、もし今の火星に人類が行ったとしてもとても生きて行くことなど出来ず、それどころか生身で地上に立った時点でアウト!ほぼ即死状態です。
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どうやって火星の地球化(テラフォーミング)をするのか?

地球とは全く環境の違う火星ですが、それでも太陽系に存在する星々の中では最も地球近い環境を持つのは火星しかなく、また、環境は異なれど最短距離で約8,000万キロと地球に近い火星。
さらには、自転軸が25度あり地球と同じように四季が存在する火星である事から、将来人類が移住する星は火星が一番適していると考えられています。

では、どうやって火星を地球化するテラフォーミングをするのでしょうか?
その方法として、いくつかの段階を経る必要があります。

段階その1:温室効果を造る

まず、地上の平均気温がマイナス40度と極寒の火星を暖めるための温室効果を造り出す必要があります。
その方法として考えられるのが、メタン等の温室効果を高める効果の高い炭化水素の気体を散布し、さらに火星の衛星軌道上に、太陽光を増幅させる巨大ミラーを搭載した人工衛星を設置し、地表に直接照射することで火星全体を暖め、温室効果を造り出す手段があると言います。

段階その2:磁場を発生させる

火星には、地球のような強い磁場はありません。
そのため、太陽や外宇宙からの放射線が容赦なく地上に降り注いでおり、生命にとって放射線は致命的であり、とてもそんなところには住めないでしょう。
よって、人工的に火星に磁場を造る必要が出て来ます。
その方法は、火星軌道上の重力の均衡が取れたラグランジュ・ポイントに巨大な磁気シールドを設置し火星を放射線から守る事で、放射線で火星を守る事以外に、温室効果も生み出すことが出来ると考えられています。

「Image Credit:火星磁気フィールド イメージ(NASAより)」

段階その3:酸素と水を造る

人類をはじめ、地球に住む生物には酸素と水が絶対条件として必要であり、これを造るために火星に存在する大量の氷を溶かし水蒸気を発生させ雲を造る構想が考えられています。
水蒸気を発生させる事で地表に雨が降り、川や湖が出来、同時に酸素も発生させることが出来ると言います。
そして、その状況を造り出したところで劣悪な環境に強い藻等の植物を繁殖させて、さらに大量の酸素を造り出し徐々に人類が住める大気環境を造って行くという方法だという事で、それは火星に大量に存在するとされる氷を溶かし水蒸気を発生させ温室効果を作り出す。また、メタンなどのガスを大量に散布し温室効果を図り、そこに生命が住むための酸素を散布し地球に似た大気成分を作り出すというモノ。

「画像参照:火星の極冠域にある氷を湛えるコロリョフ・クレーター(ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO)」
このように、惑星規模でのテラフォーミングは高度な技術を必要としますので、今すぐにとか?近い将来に実現出来るというワケではなく、人類が本格的に宇宙進出を遂げたかなり後の未来での実現になり、さらに火星テラフォーミングが完成するまで数百年単位の時間がかかるモノと思われます。

火星を人が住める星にする理由

そもそも、惑星の大改造といったテラフォーミングをする必要があるのか?という疑問もあるかと思いますが、それは、今後地球が抱える深刻な環境問題に起因すると考えられており、それが爆発的な人類の人口増加の問題があり、現在、人類の総人口は80億人に達しようとしており(2022年現在)、既に爆発的な人口増加状態にあるため、このまま人口が増え続けると、数十年以内には人口100億を超え地球自体その人口を抱えきれない、いわば飽和状態になってしまう恐れがあり、深刻な食糧不足や地球温暖化に拍車がかかる可能性もあります。

さらには、資源を巡り世界中で紛争が勃発など、最悪の場合、地球は生命が住めない環境に陥る可能性もあるかも知れません。

「Image Credit:iStock」
これは極端な考え方かも知れませんが、このような状態にならないにしても、いずれは人口増加で地球がそれを抱えきれなくなり、第二の地球が必要になる時代が来る!と考え、その候補として火星が挙がっているのです。

太古の火星が語る地球化しても住めない理由

実は、火星がテラフォーミング候補になっているもう一つの理由として、数十億年前の火星は地球のような厚い大気があり、地上には水が溢れ生命が生息するのに適した環境があったとNASAが正式に発表しています。

「Copyright ©:NASA Goddard All rights reserved.」
ですが、何故今はあのような過酷な環境になっているのでしょうか?
その原因の1つとして考えられるのが火星の重力にあり、火星大きさは地球の半分ほどで重力は3分の1ほどしかありません。

「Image Credit:Wikipedia」
この重力の弱さが原因で、大気を定着させることが出来ずに宇宙空間に流出してしまったと考えられ、仮に人類が今後テラフォーミングで人工的に厚い大気を造り出したとしても、火星そのものが大気を留めておくことが出来ないのではと考えられます。
さらには、3分の1という低重力が人類を含めた地球を故郷とする生物にとっては適した環境ではなく、低重力下で長期間生活すると、筋力や内臓、骨の機能低下に陥る可能性も高いと考えられます。
このようなことが理由で、火星に人類が移住することは難しいにでは?という考え方があるのです。

「火星テラフォーミング計画」~現時点では夢のような話ですが、これを実現するには根本的な問題があるのが現実のようです。
果たして、この計画は本当に実現出来る可能性はあるのでしょうか?
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