先日、アメリカの宇宙ベンチャー企業・スペースX社が驚愕の宇宙プロジェクトを発表をした事をご存じでしょうか?
その驚愕の発表とは、何と!2020年代に火星に向け有人宇宙船を送るという野心的で大胆な計画です。

そもそも、あのNASAでさえ有人火星探査が実現していない(2022年時点)のにも関わらず、民間企業が人を乗せた宇宙船を火星に送るなど現実的なのでしょうか?
さらにスペースXは、人類を火星に移住させる計画まで打ち出していますが、そんな事など本当に可能なのでしょうか?

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アメリカ・スペースX社の最高経営責任者であるイーロン・マスク氏が発表した壮大な計画とは、2020年代までに有人火星飛行を実現し、その40~100年後までに100万人規模の人々を火星に移住させるというモノ。
この計画について、個人的にはにわかには信じられませんが、本当にこんな事が出来るのでしょうか?

「Copyright ©:SpaceX All rights reserved.」

スペースX社の火星移住プロジェクトとは?

スペースX社は、火星に人類を送るり移住させる方法を「惑星間輸送システム」と呼んでいます。
その方法は動画にも解説がありましたが、まず、地上からロケットブースターの先端に取り付けられた有人宇宙船を打ち上げ地球周回軌道上に待機させます。
ちなみに、有人宇宙船は一度に100人もの人を乗せることが出来、同時に150トンの貨物まで積載出来る巨大なモノとか?!

「Image Credit:スペースXが火星を目指す巨大宇宙船「スターシップ」(Kimi Talvitie)」
次に、火星まで行く燃料を積んだロケットを打ち上げ軌道上に待機している宇宙船にドッキングします。
準備が整った火星行きの宇宙船はソーラーパネルを開いて火星に向けて出発し、わずか数カ月で火星に到達し火星地表に着陸。
火星に到着した移住者たちは、一緒に積んできた資材を使って居住地を建設しそこからは自給自足で生活していくというものだそうです。

NASAより早い民間の火星有人飛行計画は何故?

アメリカ航空宇宙局(NASA)も有人火星探査を計画している事をご存じの方も多いと思います。
そんなNASAの有人火星探査は2030年代に計画されているにも関わらず、民間企業であるスペースX社はNASAよりも早く火星に行く事になります。

宇宙探査・開発において、技術も実績も遥かに上を行くNASAよりも先に、一民間企業が有人火星飛行を可能にすることなど本当に出来るのでしょうか?
個人的には、この計画そのものの実現性を疑問に思いますが、スペースX社は本気でこの計画を実行に移そうと考えているようです。

では何故、民間企業であるスペースX社が有人で火星を目指すのでしょうか?
この理由については、スペースXのCEO.イーロン・マスク氏が熱く語っており「火星に限らず他の惑星にも住むようになった人類(Multiplanetary Species(多惑星種))を多く創り出す事だ。」と言います。
つまり、スペースX社にとって火星有人飛行は人類の多惑星種計画の第一歩であり、今後宇宙へのビジネス展開に必要な多惑星種を多く創るために、NASAに限らず他の宇宙ベンチャーに大きく差をつける必要があるとの狙いがあるようです。
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スペースX社の宇宙開発の進捗度

2020年代に火星に人類を送ると発表しているスペースX社ですが、2022年3月イーロン・マスク氏はこの計画の実現目標年を2029年と設定し、実現に向けて計画を進めていると語っています。
しかし、火星行きの頼みの綱である大型宇宙船スターシップの開発は、難航を極めているとの情報もあります。

またスターシップの役目は火星飛行だけではなくNASAの「アルテミス計画」にも参加する予定になっています。
アルテミス計画は、NASAの新たなる有人月面着陸計画の一環で、NASAが開発し運用するSLSロケットと有人宇宙船・オリオン、そしてスペースXのスターシップを使って月面着陸ミッションを成し遂げるというものです。
このときのスターシップの役目は、月面調査を終えた宇宙飛行士を乗せ地球まで帰還させるという重要なミッションを任されており、このミッションが成功しない限りでは、有人火星飛行もあり得ないという事になってしまいます。

「Image Credit:月面に降り立つアルテミス計画仕様のスターシップ(SPACEX)」
なお、NASAはこのアルテミス計画における有人着陸システム(HLS:Human Landing System)をスペースX社に委託しているワケですが、その契約額は28億9,000万ドルとされています。

有人火星飛行実現までの課題

スペースX社の宇宙開発は失敗も多く重ねていますが、かなりの水準まで進んできているとされています。
しかし、人類を火星に送るには乗り越えなくてはならない大きな課題もあるのは事実です。

例えば、火星までの飛行中、容赦ない有害な宇宙線(放射線)を浴び続けることになり、乗員の人体に影響がないようにする宇宙線対策は万全なのか?また、火星到着までの数カ月間、乗員の精神面を正常に保つことが出来るのか?さらには、火星の軌道に宇宙船を乗せることも至難の業であるのに、その宇宙船を火星の安全な場所に着陸させないといけません。これも大きな課題になることは間違いないでしょう。

その他、火星に行くまで技術面を含め、様々な問題を解決する必要があると思うのですが、この解決方法は非常に難しいことではないかと考えられます。

人類の火星移住は不可能?!

スペースX社は今後、40年から100年には火星に人類を100万人移住させると計画していると言いますが、現実的な考え方をすると火星に人を居住させることは不可能だという見方もあります。

人類火星移住は不可能なのか?その理由はいくつもあり、例えば・・・
  • 未知の星に居住地を建設するのは危険すぎる
  • 重力が地球の3分の1しかない火星で、人は健康状態を維持出来るのか?
  • 生命生存には過酷な環境下で、水の確保や自給自足が出来るのか?
  • 地球から遠く離れた場所に住むことで、ストレスに人は耐えられるのか?
火星には大気はありますが極微量で地球の大気圧の100分の1にも満たない薄さですので、当然ながら人間が生身のカラダで火星の地上に立つことは出来ません。
つまり、火星に住むということは気圧や気温、放射線対策を施された屋内でずっと過ごすことになります。
火星移住とは言っても、限られた狭い空間で生きていかなくてはならない環境になる事は必至で、果たして人はそんな空間で、正常な精神状態を維持し長期間生活していけるのでしょうか?

「Image Credit:MARS ONE
ちなみに、天文学者など宇宙を研究している人たちの一部は、この人類火星移住計画を無謀だとか荒唐無稽等と批判しています。

何故、火星移住する必要があるのか?

火星に人類移住させることは、莫大な費用がかかるとともに、大きな危険を伴いそもそも長期間そこで生活出来るかも不明です。
なのに、何故、人類を火星に住まわせようとしているのでしょうか?

その理由には、前記もしましたがイーロン・マスク氏が考える多惑星種計画もそのひとつですが、一番のメリットとしての目的が、地球上における人口増加問題解決のためという事が考えられます。

今後、50年以内に人類の人口は100億人を超えてしまうと試算されています。
これほど、爆発的に人口が増えてしまうと、地球環境を正常に保つことは難しくなり環境悪化は避けられないでしょう。

「Image Credit:James Cridland
そのために、増え過ぎた人口を分散する目的で少しでも地球に近い環境を持つ火星に人類を移住させようとする考えがあります。
しかしながら、100億を超える人口を火星に分散させることもなかなか難しいですし、現時点では現実的ではないかも知れません。

それでも、いずれは人口増加対策を人類は取らないといけなくなるでしょう。その手段のひとつとして火星移住の選択肢もあるのかも知れません。
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