2011年のスペースシャトル退役後、NASA(アメリカ航空宇宙局)は自力で宇宙まで行けるロケットを保有していません。
それは、自国アメリカ主体で建造した国際宇宙ステーション(ISS)にも行く手段が無いことを意味します。
そのため現状では、宇宙に行くためにロシアのソユーズロケットに頼らざるを得ない状況です。
この状況はアメリカの宇宙開発始まって以来事態、これまで宇宙開発をリードしてきたプライドのアメリカにとって由々しきことで、一刻も早い新たなる宇宙ロケットの開発、そして運用開始が待たれるところです。

Sponsored Link

現在、宇宙開発、運用にかかるコストはかなり高額で、1人の宇宙飛行士を宇宙に運ぶのに約75億円かかると言われています。
つまり、今宇宙飛行士をISSに輸送しているロシアにとってはビッグビジネスで、アメリカや日本などは相当ロシアに貢献している事になります。

「Image Credit:Wikipedia」
しかし、宇宙開発をリードじてきたマメリカは、当然ながらこのままで良いハズはありません。
宇宙開発にかける予算は厳しいながらも、次世代に向け着々と開発を進めています。

次世代型スペースシャトルの開発

地球の衛星軌道との往復。
つまり、近距離型宇宙ロケット・スペースシャトルの後継機としてNASAは、アメリカ航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)と、アメリカ宇宙開発企業スペースX(SpaceX)に委託して新型スペースシャトルを開発しています。

ボーイング社の新型スペースシャトル

NASAの委託先の1つアメリカ航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)は、スペースシャトルのようなグライダー型ではなくカプセル型宇宙船を開発中で名前が「CST-100 スターライナー」と言います。
このスターライナーはボーイング社がビゲロー・エアロスペース社と共同で開発しているモノで、小型軽量化された機体に最大で7名搭乗出来、単独で最大7カ月もの間地球の軌道上に滞在出来る性能を持っています。
ただ、スペースシャトルのように数十回も宇宙を往復出来るモノではなく、最高10回まで使用出来る設計らしいです。

「Copyright ©:NASA’s Kennedy Space Center All rights reserved.」

スペースX社の新型スペースシャトル

スペースX社もまたカプセル型の新型宇宙船を開発中。その名は「Dragon V2」。
この宇宙船は物資輸送を主な目的として開発されているモノ。
そのためボーイング社のスターライナーよりは大型で、宇宙飛行士を乗せる司令船(最大7名搭乗可能)と、貨物船のカーゴと分かれています。

「Copyright ©:SpaceX All rights reserved.」
映像を観てもおわかりのように「Dragon V2」の最大の特徴は地球への帰還方法で、これまで、アポロやソユーズ宇宙船のように大気圏再突入時にはパラシュートを開いて降下し、スペースシャトルではグライダーのように滑空して帰還していましたが、「Dragon V2」は地球の重力下の中でも大量に燃料を必要とする逆噴射の方法をとっています。
これは、今後の火星への有人飛行を想定してのこと事で、大気の薄い火星ではパラシュートも使えず、滑空も出来ないため、逆噴射という方法でしか着陸が出来ない。それを可能にするためにあえてこのリスクのある方法を採用したとの事です。
Sponsored Link

NASAの次期宇宙ロケット開発状況は?

NASAがボーイング社とスペースX社に委託したのは、原則としてISSとの往復に利用するためのスペースシャトルの開発です。
この次世代型スペースシャトルは2017年の実用化を目標としています。
一方、宇宙開発のおおもとであるNASAは何をやっているのか?
NASAの目は既に地球の低軌道衛星上にはありません。
NASAの次の宇宙開発の先は”月”。そしてオバマ大統領が宣言した2030年代の”有人火星探査”にあります。
それに向け、現在月面往復宇宙船を開発中のNASA。これについては別途記事にて解説しますが、このNASAの宇宙開発近未来像をリアルに描いているのが、人気コミック「宇宙兄弟」です。
宇宙兄弟には、NASAが現実に開発している次世代型宇宙船がどのように運用されているのか、かなり詳細に紹介されています。
Sponsored Link