太陽より巨大な質量を持つ恒星がその一生を終える時に起こす大爆発。
その現象を「超新星爆発」と呼びます。

超新星爆発の威力は凄まじく、爆発時に放出されるエネルギーは太陽の数億倍にも達すると考えられており、そんな星の最期である超新星爆発は、私たち生命にとっては「命の素」の創造主である事をご存じでしょうか?
さらに、超新星爆発は太陽系誕生にも大きく関わっている事も最近の研究で判明しています。
今回は、この超新星爆発がもたらす宇宙の創造についていくつか調べてみました。

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星が一生を終えると何故大爆発を起こすのか?

太陽のように自らエネルギーを放ち、光り輝いている天体の事を恒星と呼ぶ事はご存じかと思います。
そしてその恒星のエネルギー源になっているのが熱核融合であり、この核融合による外側へ膨らもうとするチカラと、天体の自重による内部へ落ち込むチカラの均衡による内と外の絶妙な重力バランスが保たれることで、恒星は正常にエネルギーを放出し続けることが出来ているのです。

「Image Credit:Wikipedia」
そんな外側へ膨らむチカラである熱核融合反応に必要な燃料になっているのは水素元素であり、水素の原子核が核反応によってヘリウム元素が生成され、その時に放出されるエネルギーで恒星は光り輝いています。

「Image Credit:太陽(恒星)の中心部で起こっている核融合反応(Wikipediaより)」
しかし、燃料である水素も無限にあるわけではなくいずれは尽きてしまいますが、水素の核融合によって生成されたヘリウム等のより重い元素に核融合が引き継がれて行く事で恒星は膨張し続け「赤色巨星」へと進化して行き、最後には最も重い元素である鉄が生成されますが鉄は核融合反応は起こさないため、この時点で外側へ膨らむチカラ(核融合反応)は停止してしまいます。

「Image Credit:赤色巨星の内部構造(Wikipediaより)」
するとどうなるのか?
自重に耐え切れなくなった恒星の重力は、一気に内側へ落ち込む重力崩壊を起こしその反動による衝撃波で大爆発が発生します。
これが超新星爆発で、爆発の威力は凄まじく、太陽が一生かかって放射した熱エネルギーを一瞬で放出するほどだと言われています。

「Image Credit:picabay」
なお、全ての恒星が超新星爆発を起こすのではなく、太陽質量の8倍以上が超新星となり、30倍以上の恒星ともなると超新星爆発を起こした後、あまりにも巨大な質量のため、全ての物質を圧し潰してしまったブラックホールに変貌すると考えられています。

「Copyright ©:Kurzgesagt – In a Nutshell All rights reserved.」

超新星爆発を起こさない太陽が寿命を終えるとどうなるのか?

太陽の寿命は約100億年と推測されており、現在はその寿命の半分ほど経過した約46億年だと考えられています。
そんな太陽は数十億年後の未来において寿命が近づいた時膨張をはじめ、最終的には、おそらく半径1憶キロを超える赤色巨星に変貌すると考えられ、半径1憶キロ以上となると地球の公転軌道にも及び、このとき地球は太陽に飲み込まれてしまうでしょう。

「Image Credit:赤色巨星に成長し地球を飲み込む程に巨大化した晩年の太陽の想像図(NASAより)」
赤色巨星になった太陽も核融合反応が停止すると重力で収縮に転じますが、超新星爆発を起こすほどのエネルギーはなく、太陽を形成していたガスはやがて宇宙へ四散して行き、最後には中心に残った電子の縮退圧によって支えられた地球ほどの大きさになる超高温の天体・白色矮星となり、そしてさらに長い年月を経て冷えて行き黒色矮星になるのでは?と考えられています。

「Image Credit:大きさは地球サイズだが質量は太陽レベルの白色矮星シリウスb(中央)のイメージ図(Wikipediaより)」
ちなみに、白色矮星から黒色矮星に変わるのに数百億年かかると考えており、現在宇宙の年齢が約130億歳だとすると黒色矮星は未だ宇宙には存在しないことになります。
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星の死から生み出される生命の素

恒星の熱核融合によって最も軽い元素である水素からヘリウム、炭素、酸素、ネオン、マグネシウム、ケイ素といった重い元素が次々に生成されて行き、核融合によって生み出された元素たちは、超新星爆発によって宇宙空間に撒き散らされ、そしてそれらが重力によって再び集まり新しい星が誕生する。といった星の生と死のサイクルから私たちの太陽系も誕生したとされ、地球に住む人類を含む生物たちを創り出すために必要な元素もそこに含まれていると考えられています。

「Image Credit:Wikipedia」
しかし、超新星爆発によってどのように元素が撒き散らされるのか?については、これまで良くわかっていませんでした。
そんな中、NASAのチャンドラX線観測衛星により、地球からカシオペア座方向に約11,000光年離れた場所にあるカシオペア座Aという超新星爆発の残骸を観測したことにより、如何にして元素たちが拡散されたのか?という過程が明らかになったとの事です。

「Copyright ©:Chandra X-ray Observatory All rights reserved.」
かつては、太陽質量の16倍の恒星だったとされるカシオペア座A。
ここから膨大な量の元素が放出され、酸素に至っては地球の100万個分の質量が検出されていると言います。

超新星爆発はDNA分子も創っている?!

今から約138億年前に宇宙は誕生したと考えられています。(ビッグバン理論)
宇宙創生当初、最も軽い元素である水素が大量に発生し宇宙全体に広がったと考えられ、これらが重力干渉で集まり星が形成され核融合で様々な元素が誕生したとされており、この生成された元素の中には酸素の他に、炭素、窒素、リン等生命の素のDNA分子を作るために必要な材料も含まれていると言います。

「Image Credit:DNAの立体イメージ(Wikipediaより)」
これにより生命の素もまた超新星爆発によって宇宙に広がり、複雑な過程を経て我々の地球のような生命も誕生していった可能性があると研究者たちは指摘しています。
この考えが正しければ生命の素は核融合によって作られ、超新星爆発が供給源になっているという事になります。
つまり、今も宇宙のあちこちで起こっている超新星爆発は、星と生命の製造工場になっていると考えられ、もしかしたら、地球以外でも多くの生命が誕生している可能性も捨て切れないのではないでしょうか。
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