ブラックホールが地球を飲み込む可能性と銀河系に潜む危険度
ブラックホールと言えば、光さえも飲み込まれる、危険で恐ろしい天体というイメージがあるかも知れません。
でも、ブラックホールなんて、宇宙にそんなに存在するワケないし、もしかしたら、実在しない空想上の天体だと思っている人もいるかも知れません。
ところが、ブラックホールは実在していていることが確認されており、しかも宇宙ではそれほど珍しい天体ではなく無数に存在していると、最近の研究観測で分かって来ています。
となれば、地球に危険を及ぼすブラックホールが、太陽系の近くにあったりしないのか?と心配になって来るかも知れません。
今回は、その宇宙にたくさん存在するとされているブラックホールについて、簡単ですが解説して行きたいと思います。
ブラックホールに引き込まれると物質はもちろんの事、光さえも脱出できず飲み込まれてしまうという、人類の想像を遥かに超えた、超高密度で巨大な質量を持つ天体だとされ、以前から理論上では存在が予測されていました。
しかし、それは理論上の天体ではなく実在することが判明。
それを明らかになったのは1970年代の事でした。
それ以降、いくつかのブラックホールが発見され、もはやブラックホールの存在は疑う余地もなく、確定的なモノとなっています。
目次
何故ブラックホールは存在するのか?
その理由は、我々の太陽のような熱核融合反応で”燃える”恒星が、宇宙には無数に存在する事によります。恒星は、熱核融合反応による外側に広がる力と、自らの重力で内側に落ち込む力の均等が保たれ、星として存在しています。
しかし、熱核融合の燃料が尽き均等が崩れてしまったら、自らの重力に耐え切れず内側に潰れていってしまい、その反動で衝撃波が発生して超新星爆発という大爆発を起こし、さらに太陽質量の30倍以上の恒星ともなると、その潰れは果てしなくなり、極限を超えてしまった結果、後に残るのは超高密度で大質量、巨大な重力を持つ天体~ブラックホールになってしまうワケです。
ちなみに、我々の太陽はブラックホールにはなりません。
太陽は、超新星爆発やブラックホールになってしまうほどの質量が無いため、熱核融合の燃料が尽き寿命を迎えると、太陽を形成していたガスが宇宙空間に四散することで、恒星としての一生を終えると考えられています。
つまり、恒星が一生を終えると、太陽のように宇宙空間にガスをばら撒くか、派手に大爆発を起こしてしまうか?のどちらかになってしまうのです。
太陽系に最も近いブラックホールは?
光さえも飲み込んでしまうブラックホール。そのため、発見することが非常に難しく、まさに目に見えない”暗黒の穴”というべき天体です。
では、どうやってブラックホールを発見することが出来たのか?
それは、ブラックホールの近くにあった恒星など天体から、ブラックホールに向かってガスが吸い込まれる際、摩擦による高温が生じることでX線が放射され、そのX線を観測することでブラックホールを発見しています。
「画像参照:ブラックホールに吸い込まれるガス(想像図)Wikipediaより」
このような観測方法により、これまで数十個のブラックホール(候補)が発見されており、中でも最も太陽系の近くで発見されたのが、約3,000光年離れた場所にある「いっかくじゅう座X-1」という天体です。
驚愕の事実?ブラックホールは特別な天体ではなかった!?
ブラックホールに変貌してしまう太陽質量の30倍を超える巨大な恒星は、宇宙では珍しくなく、かなりの数が存在すると考えられており、それに伴いブラックホールもたくさん存在することが想定されています。それは最新の観測で分かって来ており、我々の太陽系が属している銀河系(天の川銀河)内にも、約1億~10億個はブラックホールがあるものと推定されています。
また、銀河の中心には太陽質量の300万倍を超す超巨大ブラックホールも存在することが判明しており、さらにその周りには中質量のブラックホールも点在すると考えられています。
「画像参照:天の川銀河内のブラックホール分布(想像)(YouTUBEより)」
地球がブラックホールに飲み込まれる危険は?
銀河内に1億個以上あるとされるブラックホール。そんなことを聞くと、素人的にはそこらじゅうに超危険なブラックホールがあるものと考えてしまい、そのうち地球がブラックホールに飲み込まれてしまうのでは?と恐怖を感じてしまうかも知れません。
確かに、銀河内に1億個以上のブラックホールが存在するとなると、そこらじゅうにあるのは違いありませんが、それで地球が飲み込まれてしまうなどと、恐れる必要はまったくありません。
その理由は、いくら天体が集まる銀河であろうとそこは果てしなく広く、また太陽系は、銀河の中心から約2万6,000光年離れた場所に位置しています。
その場所は、銀河の中心から伸びる星が密集した腕・スパイラルアームから外れた、非常に星の密度が低いエリアです。
密度が低い?~それを例えて言うとすれば・・・
太陽とその隣にある恒星・アルファケンタウリをそれぞれスイカに置き換えたなら、2個のスイカを大平洋に浮かべたようなモノだと例えられます。
つまり、広い大平洋で2個のスイカが会いまみえることなど、限りなくゼロに近い密度であり、それがブラックホールだったとしても太陽系に近づくなど考えられませんし、仮に太陽系の側にブラックホールがあったとしても、その影響はかなり広範囲に及ぶと考えられており、現時点でその兆候がなければ、まったく心配する必要はないでしょう。
地球がブラックホールに遭遇する可能性
アニメやSF映画みたいに、地球の近くにある日突然ブラックホールが出現し、危険を及ぼす事などありませんが、数千万年か数億年後の遠い未来、地球がブラックホールの脅威に晒されないとは限りません。というもの、現在の太陽系の位置は銀河内でも非常に星の密度が低い場所にあり、そこは比較的安全な宙域とも言えます。
しかし、太陽は銀河の周りを秒速200キロ以上の猛スピードで公転しています。
そのため、いづれは星の密集エリアである、スパイラルアームの中に突入すると考えられています。
太陽系がスパイラルアームの中に入るとどうなるのか?
そこは、星が密集する宙域で、周りの恒星からの星間風が吹き荒れています。
星間風は、生命にとっては有害な放射線で、それが地球まで届けば生態系に悪影響が出てしまう可能性もあり、また近傍の宙域で超新星爆発も起きることもあり得、さらにはそこには中性子星やブラックホールも存在するかも知れません。
一説には、太陽系がスパイラルアームの中に入り、周りの恒星たちの影響を受けると、太陽活動が鈍り、地球は寒冷化すると言われています。
実際、過去に地球が見舞われた氷河期は、その影響もあるいのでは?とも言われていますが、確固とした証拠は見つかってはいません。
ともかく、現時点では地球がブラックホールの脅威に晒されることなどないワケで、一部でウワサになっている、ブラックホールになり損ねた強重力天体・中性子星が、75年後に地球に接近する情報も、何の根拠もない全くのデマに過ぎません。
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タグ:ブラックホール, 地球を飲み込む, 銀河系のブラックホール
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