2009年に公開され大ヒットしたSF超大作映画「アバター」。第二弾の最新作(2022年)も公開されています。
このアバターが舞台のパンドラという星は架空ですが、パンドラ星がある恒星系は実在する事をご存じでしょうか?
実はその恒星系に、架空であるハズのパンドラ星が実在するかも知れないという驚くべき発見があったようです。

つまりそれは、地球に良く似た天体(地球型惑星)で、もしかしたらSF映画ではなく、実際に将来人類が移住出来るかも知れないという事を意味するのかも知れません。
今回は、この発見されたパンドラ星(仮)について少し詳しく調べてみました。

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おさらい~映画「アバター」の舞台とは?

映画「アバター」は2009年に公開された巨匠ジェームズ・キャメロン監督のSFファンタジー映画です。
この作品は大ヒットしましたので、相当数の人がこの映画を観賞しているかと思います。

物語の簡単なあらすじは、西暦2154年の星間航行が可能となった未来が舞台。
アルファ・ケンタウリ系惑星ポリフェマス最大の衛星パンドラは、地球の熱帯雨林を思わせる密林に深く覆われた神秘的な地形が美しい星でした。また、この星には地球のエネルギー問題を解決できる希少鉱物が眠っており、これに目をつけた人類はパンドラに進出を開始します。しかしパンドラには、ナヴィという人類の進出には邪魔な存在の先住民族が住んでいたため、彼らとの衝突で争いが起きるというストーリーです。


「Copyright ©:20世紀スタジオ 公式チャンネル All rights reserved.」
と、映画「アバター」の話はこれくらいにしておきますが、本筋でご紹介したいのが映画の舞台となるアルファ・ケンタウリ系惑星ポリフェマスです。

「Image Credit:iStock」
惑星ポリフェマスは架空の天体で実際には存在しませんが、惑星ポリフェマスがあるとされるアルファ・ケンタウリは実在する恒星系です。
そして最新の観測で、アルファ・ケンタウリには生命が存在する可能性がある惑星が見つかっており、もしかしたら本当にパンドラのような星があるかも知れないのです。
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太陽系のお隣りの恒星系に見つかった地球型惑星とは?

アリファ・ケンタウリ星系は私たちの太陽系に一番近い恒星で、太陽が3つもある三重連星です。

「Image Credit:ケンタウルス座α星A(Wikipedia)」
上↑画像が実際に撮影されたアリファ・ケンタウリですが、中央に輝く天体がケンタウルス座α星A(α Centauri A)で質量は太陽の1.1倍程の恒星です。
また、ケンタウルス座α星B(α Centauri B)は、α星Aから公転によって2秒角から22秒角離れているため画像では見えていませんが、質量は太陽の0.9倍程の恒星です。

そして仮想惑星ポリフェマスのパンドラ星が存在しているかも知れないのが、アリファ・ケンタウリ系の三重連星1つであるプロキシマ・ケンタウリ(Proxima)です。

「Image Credit:プロキシマ・ケンタウリ(Wikipedia)」
プロキシマ・ケンタウリは、アリファ・ケンタウリ星系で最も太陽系に近く距離は約4.2光年で、質量は太陽の12%程しかない赤色矮星である事がわかっています。

この赤色矮星プロキシマ・ケンタウリを周回している惑星「プロキシマb」こそが、パンドラ星のように地球によく似た環境を持っているかも知れないと話題になっているのです。

惑星「プロキシマb」とは?

プロキシマbは、地球と同じくらいの大きさを持つ岩石惑星で生命が生存可能な領域(ハビタブルゾーン)に位置する惑星であることが確認されています。

「Image Credit:惑星プロキシマbの想像図(Wikipedia)」
現在人類は、地上や宇宙空間に設置した宇宙望遠鏡などを駆使し太陽系外の惑星探しを行っており、既に5,000個を超える太陽系外惑星を発見(2021年時点)しています。
その中でハビタブルゾーンに位置する地球型惑星の発見はごくわずかで20個程度。
そんなわずかな地球型惑星が地球に最も近い恒星系に存在したことは、人類の天文史を揺るがす大発見ということになります。

この大発見の惑星「プロキシマb」は地球の約1.3倍の大きさがあり、地表が岩石で覆われている可能性が高いとの事で、もしこの星に水が存在すれば、液体のままを維持できるほどの温暖な地表温度ではないかと考えられています。


「Copyright ©:nature video All rights reserved.」

プロキシマbはパンドラ星になり得るのか?

惑星プロキシマbは、映画「アバター」に登場する架空の星パンドラ星と同じアリファ・ケンタウリ星系にあります。
ではプロキシマbにはパンドラ星と同じように大気や水があり、生命が存在する可能性はあるのでしょうか?

結論としては、残念ながら現時点ではそこまでの確認はできておらず、この惑星に水があれば液体で存在する可能性があるということだけ確認されているだけに過ぎません。

「Image Credit:惑星プロキシマb地表の想像図(Wikipedia)」
また、この惑星には地球と同じような大気があるかどうかもわかっておらず、さらに主星であるプロキシマ・ケンタウリとの距離もかなり近いため(約700万キロ)その巨大な潮汐力で自転と公転が同一周期になっている(潮汐ロック)可能性があるとの事です。

もし、惑星プロキシマbが潮汐ロックがかかっていた場合は、地球の衛星・月と同じように常に太陽に同じ面を向けている事になり、惑星の半分は常に灼熱の昼間で、もう半分は極寒の夜になってしまっている可能性もあり、液体の水が存在する可能性があるとしたら、その場所は極く限られた狭い場所になってしまう事も考えられ生命存在の可能性も極端に低くなるでしょう。

さらに、惑星プロキシマbの地表には、赤色矮星のプロキシマ・ケンタウリから有害な放射線も降り注いでいる可能性もあり、そのような環境となると、いくら地球に似た惑星であっても生命存在の可能性は絶望的になってしまうかもわかりません。
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人類はプロキシマbに探査機を送るのか?

惑星プロキシマbは、太陽系に非常に近い距離には違いないですが4.2光年もあります。
つまり、秒速30万キロで飛ぶ光の速さでも4年以上もかかる場所にあるワケで、現在、人類が持つ最速の探査機でも4光年の距離に到達するには数万年の年月を必要とします。
しかし、「車椅子の天才」と呼ばれるスティーブン・ホーキング博士らが計画している恒星間探査計画・ナノクラフトなら探査機を光速の20%まで加速出来、4光年という距離も20年ほどで制覇出来るとの事ですが、まだこれは構想の段階で実現には至っていません。

「Image Credit:www.cnet.com/
またこの探査機はグラムサイズで非常に小さなモノのため、プロキシマbまで到達することが目的となってしまい探査と呼べるようなことは無理かも知れません。

とにかく、架空でSF映画の世界だけの話だと思っていたことが、現実になるかも知れないということはとてもワクワクしないでしょうか?
今後、プロキシマbについては詳しい調査が行われることと思います。
もし、その調査結果で生命がいるという結果が出たとしたら、もしかしたら将来、本当に「アバター」の世界が実現するかも知れませんね?!
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