アメリカの宇宙開発の象徴であったスペースシャトル計画終了から数年。自国が中心となって建造した国際宇宙ステーション(ISS)が地球の衛星軌道上で運用されているにも関わらず、現時点でアメリカは自力で宇宙に行く術を持っていません。
そのためNASA(アメリカ航空宇宙局)は、スペースシャトルに代わる次期宇宙ロケット開発が急がれるのですが、現在その宇宙ロケットの開発はどういった状況なのでしょうか?
また、新しく開発されるロケットはどんな性能を持っているのでしょうか?

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2016年現在、アメリカはISSまでの往復をロシアのソユーズに頼って輸送しています。
ソユーズは1966年に運用が始まって50年。その間改良をされてきましたが、かなりの旧世代型宇宙ロケットです。
にも関わらず、物資や宇宙飛行士の運搬をソユーズが担っている。
これまで人類の宇宙開発をリードして来たアメリカですが、今後の宇宙開発はどのような計画を立てているのでしょうか?

先祖返り?新型宇宙ロケットは昔の円錐形のロケットを採用?

スペースシャトル計画では、翼の付いた宇宙船で宇宙と地球を何度も往復出来るシステムが採用されていました。
しかし、新型の宇宙ロケットは、昔のアポロ計画に使用されたサターン型と呼ばれる円錐形ロケットの方式が採用されるようです。
スペースシャトルで確立された技術が何故、今度の宇宙ロケットに活かされないのか?疑問に思うかも知れません。

「Image Credit:ロイター/アフロ」
スペースシャトルのシステムが採用されない理由で、一番の要因は安全性の問題です。
スペースシャトル計画では、チャレンジャー号(1986年)とコロンビア号(2006年)の2度に渡る痛ましい事故が発生しています。
これを繰り返さないためにも、実績と安全性の面で信用度の高い円錐形のロケットに戻したと言われています。
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新型宇宙ロケット「オリオン」の開発

NASAは現在、「オリオン」と名付けられた新システムによる宇宙船開発が進んでいます。
無人での発射実験も成功していて、最終段階の有人飛行の運用も近いようです。
このオリオン。もちろんISSへの往復にも使用出来ますがが、航続距離もさらに遠く、月、そして火星への飛行を目指して開発されています。
なお、オリオンの形状はアポロ宇宙船時代のモノと似ていますが、安全性も高まり大型化。
最大で6名の宇宙飛行士が搭乗出来るとのことです。

「Image Credit:www.extremetech.com/

新型宇宙ロケット「オリオン」は月往復が出来る宇宙船

NASAは2020年代には再び有人での月面探査及び月面基地建設の計画を打ち出しています。
有人月面探査の行われたアポロ計画以降、無人での月面探査は行われて来ましたが、それでも月面はまだまだ謎の多い星です。
オリオンを使った有人月面探査は、科学的に月面を調査する目的もありますが、それ以上に月に眠る豊富な資源を開拓するために月面に基地を造り、そこから開発を進めて行くという計画が組まれています。
今後地球は人口増加に伴い、環境破壊や資源不足が深刻な状況になって来ます。
それを食い止め、資源を確保する意味でも月は大いに期待が寄せられる地でもあります。

新型宇宙ロケット「オリオン」の最終段階は火星へ

オリオンは、地球と月の往復が出来る宇宙船として開発されていますが、このオリオン・システムの最終目標は有人火星探査にあります。
オリオンで技術とノウハウを高め、さらに進化し火星まで往復出来る宇宙船を開発する事。
アメリカは有人月面開拓の10年後の2030年代に、火星に人類を送る計画を立てています。
つまり、この計画どおりだと今から20年後は人類は火星に足を踏み入れていることになります。
もちろんこれには莫大な費用が必要となりますので、アメリカだけではなく日本を含めた先進国各国の協力が必要となることも予想されます。
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