2014年12月3日に地球を出発した日本のJAXA小惑星探査機「はやぶさ2」。
打ち上げ以降、順調に飛行を続け、いよいよ目的地である小惑星「リュウグウ」に到着します。

「リュウグウ」に到着した「はやぶさ2」に課せられた様々なミッション。そして無事に地球に帰還出来るのでしょうか?
これからのミッションの進行が気になるところです。

Sponsored Link

小惑星「リュウグウ」までの旅は遠かった?

2014年12月3日に、日本の種子島宇宙センターから打ち上げられたJAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」。
以降、約3年半の飛行を経て2018年6月後半から7月前半頃にかけて小惑星「リュウグウ」に到着します。
● 参考サイト:【JAXAはやぶさ2プロジェクト公式HP】
※ 探査機はやぶさ2と小惑星リュウグウとの距離関係がわかります。

そんな「はやぶさ2」がリュウグウに到着するまでに飛行した距離は約3億キロ。
この距離は、地球からリュウグウまでの距離のようにメディア等で報じられていますが、そもそもリュウグウは地球の軌道近くを周回する地球近傍小惑星ですので、実際の地球との距離は最も接近したときで数百万キロしかありません。

「Image Credit:地球と小惑星リュウグウの公転軌道(AstroArtsより)」
しかもリュウグウは地球を横切るような軌道をとっているため、潜在的に地球に衝突する危険性も秘めている小惑星でもあります。

メディア等では、あたかもリュウグウが地球から3億キロ離れているような情報を伝えていますが、この距離ははやぶさ2がリュウグウに接近・ランデブーするために必要とした飛行距離であって、決して地球から遥か彼方にある天体というワケではないという事は、予備の情報として知っておいていただきたいところです。
Sponsored Link

探査前に知っておきたい小惑星「リュウグウ」の基礎知識

はやぶさ2が探査を行う小惑星リュウグウは、1999年に発見された直径900メートルほどの天体です。
発見された当初は仮符号が付けられ「1999JU3」という名前でしたが、はやぶさ2の探査目標天体に選ばれた事で、JAXAが名前を一般公募した事で「リュウグウ」という正式な名称となりました。

では何故、小惑星リュウグウがはやぶさ2の探査目標天体に選ばれたのでしょうか?
JAXAが推進する小惑星探査”はやぶさプロジェクト”の初号機・はやぶさが探査したのは、同じく地球近傍小惑星・イトカワ。
イトカワが初号機の探査目標に選ばれた理由は、探査機が行きやすく、地球に戻って来られる軌道にイトカワがあったことであり、学術的にはそれほど特徴がある天体ではありませんでした。

初号機の成功で大きなノウハウを得た”はやぶさプロジェクト”は、後継機である「はやぶさ2」を計画するに当たり、探査目標天体としては難易度の高いが学術的に非常に価値のあるC型小惑星・リュウグウを選定すた経緯がありました。
C型小惑星とは炭素物質を多く含んだ小惑星の事で、さらに有機物や水分を含んだ天体ではないか?と推測されています。
つまり「はやぶさ2」のミッションでは、地球に生命をもたらした材料がリュウグウに含まれているのではないか?という事を調査する事。

「Image Credit:小惑星リュウグウにランデブーするはやぶさ2の想像図(JAXAはやぶさ2プロジェクトより)」
また、豊かな海に恵まれた地球の水の起源はどこなのか?についても、リュウグウから探求するのがミッションになるとの事です。
そして、そのサンプルを地球に持ち帰る事が「はやぶさ2」に課せられたミッションであります。

小惑星リュウグウに到着したやぶさ2のミッション行程

小惑星リュウグウに到着した探査機はやぶさ2のミッション内容。
これについてはJAXAが公開している「はやぶさ2」ミッション紹介CG動画をご覧いただければ一目瞭然かと思います。

「Copyright ©:JAXA宇宙航空研究開発機構 All rights reserved.」
この動画について少し補足をすると。
まず、リュウグウに到着した「はやぶさ2」は、上空20キロの位置で表面の詳細な探査を行います。
このときに、小惑星リュウグウとはどんな形状になっているのか?と表面の状態の鮮明な画像が送られて来ます。
そしてここからが動画で解説されているミッションになり、まずは地表を調査目標を定めるためのターゲットマーカー(球状)が投下されます。

「Image Credit:はやぶさ2から投下されるターゲットマーカーの想像図(YouTUBEより)」
ターゲットマーカーにより、調査目標地点を定めた「はやぶさ2」から衝突装置が分離。
衝突装置が分離した「はやぶさ2」は、衝突による爆発に巻き込まれないようリュウグウの陰に退避します。
衝突装置はステンレス製円すい形で、中には爆薬と弾が仕込まれており、上空で爆発され、その衝撃で秒速2キロで弾が地表に打ち込まれ、直径数メートルの人工クレーターを作り出します。

「Image Credit:衝突装置爆発の様子想像図(YouTUBEより)」
爆発後、安全を確認した「はやぶさ2」は、さらにターゲットマーカーを投下し人工クレーターへタッチダウン。
人工クレーターにより、地表ではなく地中にあるサンプルを採取。
この工程を、場所を変えて最大で3回実施する予定との事です。

「はやぶさ2」がリュウグウに滞在し調査する期間は約1年半。その後、地球帰還シーケンスに入り、2020年末にはサンプルが入ったカプセルが大気圏に突入し地球に帰って来ることになっています。

はやぶさ2ミッション成功の確率

かなり複雑で挑戦的なミッションを行う「はやぶさ2」。
もちろん、このミッションは初めての試みになります。
そのため、成功の確率は未知数で、もしかしたら失敗に終わる可能性もあります。
しかし、前回の「はやぶさ」で得たノウハウは大きく、成功の確率も大きく上がっているのは確か。
また、このミッションは日本のみならず世界中からも注目が集まっているため、成功した場合は日本の宇宙探査の技術力を世界に大きくアピールできるチャンスにもなります。
そうなれば、今後は日本も宇宙ビジネスによる需要拡大にもつながる事になり、日本経済躍進の材料にもなるかも知れません。
Sponsored Link