いま、地球から遠く離れつつある5機の太陽系外探査機があります。
それらの探査機には宇宙人の存在を確信し、宇宙人に向けた人類からメッセージが搭載され遥かなる宇宙の旅を続けています。
そんな5機の探査機に積まれた人類のメッセージとは何なのか?
それぞれの探査機が持つメッセージの意味と目的について調べてみました。
永遠?宇宙の旅を続ける5機の探査機
1957年10月に打ち上げられた人類初の人工衛星・スプートニク1号以来、人類は数え切れないほどの人工衛星、探査機を打ち上げています。「Image Credit:旧ソ連が打ち上げた人類初の人工衛星・スプートニク1号(Wikipediaより)」
そんな中で、永遠とも言える使命を持ち果てしない宇宙の旅を続けている探査機が存在します。
それが、パイオニア10号、11号、ボイジャ-1号、2号そしてニュー・ホライズンズの5機です。
人類初の木星探査機「パイオニア10号」
パイオニア10号は、1972年3月にアメリカ航空宇宙局(NASA)が打ち上げた人類初の木星探査機です。「Image Credit:初めて木星探査を行ったパイオニア10号の想像図(AstroArtsより)」
パイオニア10号は1973年12月に木星に最接近し、木星の大気や磁場、初のガリレオ衛星の接近写真撮影、そして木星がガス惑星である事を結論づけるという成果を残しています。
木星探査を終えたパイオニア10号は、その後太陽系の外に向けて飛行を続けており、2003年1月を最期に通信が途絶えましたが、現在はおうし座のアルデバランの方向へ向け飛行し、地球から約90天文単位(au)の距離まで到達(2017年現在)しているものと推測されています。
(※ 1天文単位(au)は太陽から地球までの距離、約1億5,000万キロを指します。)
ちなみに、パイオニア10号がアルデバラン星系に到達するのは約200万年後と予想されています。
人類初!土星を探査した「パイオニア11号」
パイオニア10号に続いて、1973年4月に打ち上げられたパイオニア11号。この探査機は木星の探査と人類初の土星探査を行っています。「Image Credit:初めて土星のリング(環)を探査するパイオニア11号の想像図(Wikipediaより)」
パイオニア11号は、二度目の木星探査を行った後に土星に向かい1979年9月に土星に接近。詳細な土星のリング(環)の探査を行い、その後はパイオニア10号とは反対のたて座方向へ飛行し、現在は地球から約85天文単位の距離にあるものと推測されています。
パイオニア10、11号に積み込まれた人類からのメッセージ
パイオニア10、11号には、惑星探査以外に、太陽系外に存在するかも知れない宇宙人(地球外知的生命体)に向け、人類からのメッセージが託されています。「Image Credit:パイオニア10、11号に積み込まれた人類からのメッセージが託された金属プレート(Wikipediaより)」
この金属プレートには、銀河系での太陽系の位置と探査機がどこからやって来たのか?がわかるように、太陽系での地球の位置を記してあり、さらにそのメッセージを送ったのが人類であるという事のイラストが書かれてあります。
二度目の木星と土星探査「ボイジャー1号」
ボイジャー1号もまたNASAが開発した惑星探査機で、1977年9月に打ち上げられました。「Image Credit:ボイジャー1号(NASA/JPL-Caltech)」
ボイジャー1号の惑星探査ミッションは、木星と土星及びそれらの惑星に属する衛星の調査。それらの探査を終えた同機はへびつかい座の方角に向かって飛行を続けており、既に地球から150天文単位以上まで進んで太陽系の境界付近に到達していると正式に公表されています。(2022年現在)
初の天王星と海王星の探査に成功した「ボイジャー2号」
ボイジャー2号は1977年8月に打ち上げ。1号と同じく木星と土星の探査を行い、その後、人類初となる天王星と海王星の探査を行っています。そして、全ての探査を終えたボイジャー2号もまた太陽系の外に向かって旅立ちました。
「Image Credit:太陽圏を離れるボイジャー2号想像図(NASA/JPL-Caltech)」
ボイジャー2号が向かっている方角はぼうえんきょう座。2017年時点で地球から約115天文単位彼方を飛び続けています。
太陽系を脱出したボイジャー号の軌跡
惑星探査を終えたボイジャー1号、2号ですが、2020年時点ではまだ地球との交信は続いています。ただ、交信にかかる時間は片道約20時間以上と、電波(光)の速さでも20時間もかかる遥か彼方にボイジャー号は位置しており、現在、ボイジャー号が飛んでいる場所は、既に太陽系の境界を越え恒星間空間に突入していると考えられ、太陽の光はおろか太陽の影響がほとんど及ばない場所を航行しているとみられています。
ちなみに、ボイジャー1号、2号の航路をトレースした動画が公開されており、それを観ると2機の探査機の果てしない旅の軌跡がイメージできます。
ボイジャー1号と2号の飛行経路
ボイジャー1、2号に積み込まれた人類からのメッセージ
パイオニア号に搭載されたのは、人類からのメッセージが書かれた金属プレートのみでしたが、ボイジャー号の2機には、地球の様々な音や画像が収録された「ゴールデンレコード」が積み込まれており、より分かりやすい情報が詰め込まれれています。「Image Credit:ボイジャーに搭載されたゴールドレコード(NASA/JPL-Caltech)」
このレコードもまた、もしかしたらいるかも知れない、高度な文明を持つ異星人が回収して解読していることを期待したモノですが、果たして・・・
カイパーベルト天体を探査するニュー・ホライズンズ
2006年1月に打ち上げられた探査機ニュー・ホライズンズは、人類初の太陽系外縁天体を探査に成功しており冥王星に到達したことでも有名です。「Image Credit:冥王星に接近するニュー・ホライズンズの想像図(NASA/JPLより)」
冥王星探査を終えたニュー・ホライズンズは、さらに外縁部のエッジワース・カイパーベルト天体の探査を行っており、人類史上、最も地球から離れた天体を探査した探査機でもあります。
そしてニュー・ホライズンズもまた、任務を終えると太陽系を脱出し、地球外知的生命体に向けたメッセージも搭載されたフラッシュメモリにデジタル化したデータが記録されています。
さらに、ニュー・ホライズンズが他の探査機と異なるのは、冥王星を発見したクライド・トンボー博士(1906年2月4日生~1997年1月17日没)の遺灰が積み込まれている事で、この遺灰が異星人へのメッセージになるかどうかは判かりませんが、遺灰ではありますが、トンボー博士は事実上初めて太陽系の外へ出る人類ということになります。
異星人が人類からのメッセージを受け取る可能性
5機の探査機に積み込まれた人類からのメッセージ。これらの探査機の任務は、異星人が見つかるまで永遠に続くことになりますが、仮に宇宙のどこなに人類以外に高度な文明を持つ知的生命体が居たとしても、これらのメッセージを受け取る可能性があるのかどうかと言えば、正直なところそれはまずあり得ないでしょう!?
「Image Credit:iStock」
地球との通信が途絶え燃料も電池も切れた探査機は、宇宙空間を漂うただの小さな物体になってしまい回収される手段を失ってしまいます。
つまり、メッセージを載せた理由は、夢、願望であって、積み込んだ科学者たちも本当に異星人がメッセージを受け取る等とは思っていないでしょう。
ですが、それでも可能性はゼロではなく、夢・ロマンを乗せた人類からのメッセージは人類が滅びた後も宇宙を果てしない旅をして行く事は事実です。
参考:ボイジャー打ち上げを記念したNASAからのプレゼント
1977年に打ち上げられたボイジャー1号、2号は、2017年で40周年を迎え、それを記念してNASAはボイジャーに関するポスター(3枚)のダウンロードサービスを開始しています。「Image Credit:ボイジャー打ち上げ40周年記念のポスター3枚(NASA/JPL-Caltech)」
3枚ともポスターサイズで、無料でダウンロード出来、3枚それぞれにボイジャーのミッションの説明文(英語)がついていて、ボイジャー探査機の功績が分かるようになっています。
● ダウンロードサイト:【NASA Jet Propulsion Laboratory】
惑星探査で大きな成果を上げ、今も地球との交信を続けミッションを遂行しているボイジャー探査機。
”彼等”が宇宙の果てから送って来る価値ある科学データは、人類にとって貴重なモノとなっています。
そのことを記憶にとどめておくためにも、ポスターをダウンロードして部屋に貼ってみてはいかがでしょうか?