私たち地球に住む全生物にとって最も身近な天体で、生きるための恵みを与えてくれる絶対的存在でありながら、その正体は完全には解明されていない多くの謎が残る天体でもある太陽。そして、最も身近でありながらも凄まじい重力とエネネルギーを放つ太陽。
そんな太陽に無謀にも接近し、詳細な観測をし謎を解明しようとする試みが行われています。

最も危険とも言える太陽に近づいての観測。そこで判明した真実とは?

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太陽に接近観測する2つの探査機

表面温度約6,000度、外層大気でもあるプラズマのコロナに至っては100万度を超える高温。近づいたら火傷どころではなく一瞬で蒸発してしまいそうな灼熱の太陽に、無謀にも接近し観測を行っている探査機が2機運用中(2020年現在)です。
それが米航空宇宙局(NASA)が打ち上げたパーカー・ソーラー・プローブと欧州宇宙機関 (ESA)のソーラー・オービターです。

「Image Credit:パーカー・ソーラー・プローブ(右)ソーラー・オービター(左)(ESA/ATG medialab & NASA/Johns Hopkins APL)」
パーカー・ソーラー・プローブは2018年8月に打ち上げられ、主に太陽のコロナを観測する目的の調査が行われており、一方のソーラー・オービターの打ち上げは2020年2月で、地球からは観測が困難な太陽の極地域の調査と、内太陽圏と太陽風の発生過程の調査を目的とする運用が行われています。

超灼熱のコロナに突入するパーカー・ソーラー・プローブ

パーカー・ソーラー・プローブは、これまで人類が打ち上げた探査機の中で最も太陽に接近して調査を行っている探査機です。
その接近距離は最短で太陽表面から約600万キロ。そこはまさに太陽の目と鼻の先で、外層大気であるコロナの中です。

「Image Credit:太陽コロナに突入したパーカー・ソーラー・プローブのイメージ動画(NASA GSFC/CIL)」
前記もしましたようにコロナの温度は摂氏100万度以上。この温度では、人間が造ったいかなる人工物もたちまちのうちに蒸発していまします。
しかし、パーカー・ソーラー・プローブはこの中に突入するワケなのですが、どうやってこの温度に立ち向かうのでしょうか?

それは粒子で伝わる太陽熱の密度の少ない場所を選んで、そこから太陽に接近しようという計画のもとパーカー・ソーラー・プローブに装備された耐熱シールドは、摂氏1,400度の温度に耐えられる設計になっており、密度の低いコロナ領域に突入した時の最高温度が摂氏1,370度ですので設計上ギリギリ耐えられるという事になります。
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パーカー・ソーラー・プローブの成果:折れ曲がった太陽風を捉える!

太陽からは電離した超高温のプラズマ粒子が噴き出しており、これを「太陽風」と呼び、太陽風は地球に届いており地球に届く太陽風はキレイな直線を描いています。
ところが、太陽に接近したパーカー・ソーラー・プローブが観測した太陽風は違うモノでした。

「Image Credit:NASA’s Goddard Space Flight Center/Conceptual Image Lab/Adriana Manrique Gutierrez」
上↑↑のイメージ動画をご覧いただければわかるかと思いますが、太陽の表面から飛び出しコロナを抜けたばかりの太陽風の動きは直線的ではなく複雑でジグザグな動きをしている事が判明。
この現象は「スイッチバック」と名付けられ、太陽の強い磁場の影響で太陽風が歪む現象が起きていると考えられています。

超近い場所から太陽をくまなく観測するソーラー・オービター

ソーラー・オービターは太陽に接近する事で、地球からは観測出来ない場所の詳細な調査を行う目的があり、探査目的がパーカー・ソーラー・プローブとは異なるため、太陽に最接近する距離は約4,200万キロと水星近日点の内側になります。

「Copyright ©:European Space Agency, ESA All rights reserved.」
ソーラー・オービターには、種類の異なる6つの望遠鏡と10種類の科学機器を搭載されており、太陽を高解像度で撮影したり、太陽フレア発生のメカニズムや磁場の観測等を至近距離から調査&撮影する事が出来ます。

ソーラー・オービターの成果:「キャンプファイヤー」の初撮影に成功!

太陽表面近くでは常に爆発現象(太陽フレア)が発生しており、時には地球に悪影響を及ぼす程の巨大なフレアも発生しています。

「Image Credit:太陽フレア(NASAより)」
通常、地球から観測出来るフレアは地球サイズの何倍もある巨大なモノで、それらは太陽の活動が活発な時に多く見られますが、小規模なフレアは太陽のいたるところで頻繁に起きているのですが、あまりにも小さな規模のため地球からの観測は極めて困難です。
そんな小規模フレアの中でも特に小さいものが「キャンプファイヤー」と呼ばれるモノで、地球からの観測ではこれまで一度も撮影された事がありませんでしたが、ソーラー・オービターによって初めて「キャンプファイヤー」の撮影に成功しました。

「Image Credit:Solar Orbiter/EUI Team/ESA & NASA; CSL, IAS, MPS, PMOD/WRC, ROB, UCL/MSSL」
上↑↑は、ソーラー・オービターが水星と金星の間約7,700万キロの距離から撮影した高解像度画像で、矢印の先にある小さな白い点が「キャンプファイヤー」と名付けられた極小のフレアです。
ですが、極小のフレアとは言っても地球の大きさ(上画像左下の白い円)に比べたら巨大で、有に日本列島ほどのサイズはあるのではないでしょうか。

これから太陽の謎に迫っていく2機の探査機

今回ご紹介したパーカー・ソーラー・プローブとソーラー・オービターの探査成果は、あくまでも探査初期の段階のモノであり、2機とも最新鋭の観測機器を備えていますので、これからもっと多くの太陽の謎が解明されていく事でしょう。
太陽は身近な存在ですが、この恒星について私たちが知っている事は非常に少なく、太陽によって生かされている私たちにとっては太陽の事をもっと知る必要があるのではないでしょうか?
今後もこのサイトではパーカー・ソーラー・プローブとソーラー・オービターが解明した太陽の真実について、随時お伝えして行こうと思っています。
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