久しぶりに太陽系第9惑星「プラネット・ナイン」について取り上げてみたいと思います。

最初にプラネット・ナインについて情報をお伝えしたのは2016年初頭の事でした。
ネットを中心に「太陽系に新たな惑星を発見か?!」とセンセーショナルなニュースが流れてからだいぶ年数が経ちますが、現時点においてまだ明確な発見の情報はなく未だ謎に包まているこの未知の惑星。
科学者たちは間違いなくプラネット・ナインは実在すると自信を持っていますが、何故、まだ発見に至っていないのでしょうか?

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太陽系にはまだ発見されていない未知の惑星が確実に存在する!

私たちが住む太陽系には現在8つの惑星の存在が確認されていて、ほとんどの人達が小学生の理科の時間で習ったハズですが、おそらく40代以上の人は「太陽系の惑星は9つ」と習ったのではないでしょうか?
そう、かつて太陽系には9つの惑星が存在しました。それが太陽に近い順に水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星、そして冥王星の9つが太陽系の惑星のハズでした。

しかし2006年、大人の事情?で一番外側を周る冥王星が惑星から降格し準惑星になって以降、太陽系の惑星は全部で8個となりそれがこれまで常識となって来ました。

そんな中、2016年に「冥王星ではない、太陽系9番目の惑星「プラネット・ナイン」が存在する間接的な証拠が見つかった。」との発表があり、世間で大きな話題になったのでした。


「Copyright ©:caltech All rights reserved.」
上動画↑↑でも解説がありますが”間接的な証拠”とは、太陽系外縁部のエッジワース・カイパーベルト内にある複数の小天体が、巨大な重力場を持つ未知の天体によると思われる片寄った軌道が確認され、その未知の天体こそが第9惑星「プラネット・ナイン」が存在する間接的な証拠であると確信を持った発表がされたのでした。
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まだ見ぬプラネット・ナインはどんな惑星なのか?

未だ見つかっていない「プラネット・ナイン」。そのため推測でしか公表はされていませんが、地球の1.5~3倍の質量を持ち、地球のような表面を固い岩石で覆われたスーパーアース級の惑星か、もしくは天王星や海王星といった薄いガスで覆われた巨大な氷惑星ではないかと考えられています。

「Image Credit:Wikipedia」

プラネット・ナインはどうやって形成された?

まだこの惑星が見つかっていない以上、これも推測の範囲内ではありますが、プラネット・ナインはどのようにして形成されて太陽系の外縁部を公転しているのか?
太陽系外縁部(エッジワース・カイパーベルト)には無数の小天体が点在し、この領域には大きくても冥王星やエリス、マケマケといった準惑星級の天体しか存在しないと考えられて来ましたが、もし地球の1.5倍以上の天体が存在するとなるとそれは規格外であり、何故こんな巨大な天体がエッジワース・カイパーベルトに存在しているのか?それも大きな謎となってしまいます。

もし、プラネット・ナインがあるとすれば、どうやって形成され太陽系外縁部を公転しているのかの起源についても議論がなされ、結果いくつかの説が存在するようになりました。

「Image Credit:Wikipedia」
例えば、プラネット・ナインは元々、地球や他の惑星と同じように、比較的太陽に近い領域で巨大惑星として形成途中だったプラネット・ナインは、太陽系最大の惑星・木星の巨大な質量の影響で外縁部まで弾き飛ばされてしまい、そこで成長が止まったことで、それ程大きな惑星にはならなかったのではないか?という説。

また、プラネット・ナインは太陽系の外からやって来たという説。これは自由浮遊惑星だったプラネット・ナインが、太陽の重力に捕獲されてしまい、そのまま外縁部を周る惑星になったという考え方もあるようです。
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プラネット・ナインは何故見つからない?

プラネット・ナイン存在の間接的証拠が見つかったとの発表があってから10年近く経過。現時点(2024年)でまだ「発見」のニュースは流れて来ませんが、天文学者たちは太陽系外縁部に眼を向け懸命に探し続けています。
では何故、未知の天体「プラネット・ナイン」は見つからないのでしょうか?
それには、探索に当たって大きな障害となく事がいくつもあり、非常に困難を極めています。

まずその1つが、地球とプラネット・ナインの距離があまりにも遠過ぎるという事。
推測では、プラネット・ナインと地球の距離は少なくとも太陽と地球との距離(約1億5,000万キロ=1AU)の250倍以上あるとされ、しかもプラネット・ナインの公転周期は1~2万年とも見積もられており、さらに公転軌道が大きな楕円を描いているのであれば、もしかしたら現在のプラネット・ナインは最も地球から離れた位置にあるかも知れず、そうであれば見つけ出す事は非常に困難な状況にあると思われます。

「Image Credit:太陽系外縁天体の軌道公転軌道とプラネット・ナインの軌道予想図(NASAより)」
次に探索を困難にしているのが、探す目標天体が光を放たない暗い惑星である事。
太陽のような自ら光を放つ恒星であれば遠く離れていても比較的容易に見つける事は出来ます。しかし、プラネット・ナインとして探している天体は光を放つ等して自らの場所は教えてくれません。そのため、軌道要素や周りの天体にある光の屈折等を利用して場所を特定しなければならず、それが非常に難しく困難を極めている事になります。

また突飛な発想ですが「プラネット・ナインは原始ブラックホールではないか?」と唱える声も聞かれ、質量は地球の数倍はあるモノの大きさはボウリングの玉程度の大きさの超極小ブラックホールではないか?との事。

「Image Credit:ブラックホールのイメージ図(Wikipediaより)」
ちなみに原始ブラックホールとは、宇宙創成期に形成されたと考えられる質量が地球の数倍程度の非常に小さなブラックホールで、宇宙を彷徨っていた原始ブラックホールが太陽の重力に捕らえられてプラネット・ナインになったのではないか?との発想のようです。

とにかく、困難を極めながらも現在もプラネット・ナインの捜索は進行しており、一説によると「もうまもなく発見出来る」という声がある一方で、「(発見まで)あと1,000年はかかる」という声もあるほど困難を極めるという声もあり、発見を期待する私たちは長い目で待たないと行けないのは現実のようです。

なお、プラネット・ナインの発見がどれだけ難しいか?を具体的に挙げると。「30キロ先にある小さなBB弾1個を望遠鏡で探すようなモノだ!」例えられると言います。
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