人類は20世紀後半から太陽系外に惑星を探すという試みを続けており、これまでに数千個にも及ぶ太陽系外惑星を探し出すことに成功し、今後もさらにその探査は続いて行きます。
そんな惑星探査において最も注目を集めているのが赤色矮星で、この恒星に属する惑星を探査すれば、近いうちに生命の発見にも至るかもしれないとして目を向けており、既にその可能性があるかも知れない惑星がいくつか見つかっています。
そしてその中には、意外と太陽系に近い赤色矮星にも生命存在の可能性があるとの事です。
何故地球外生命探査で赤色矮星がアツいのか?
恒星は、その天体から放射された電磁波を捉え表面温度を元にしたスペクトルを観察する事で、細分された天体をスペクトル型と呼び恒星をタイプで分類しています。表面温度(k) | 分類色 | 型 |
---|---|---|
29,000~60,000 | 青 | O |
10,000~29,000 | 青~青白 | B |
7,500~10,000 | 白 | A |
6,000~7,500 | 黄白 | F |
5,300~6,000 | 黄 | F |
3,900~5,300 | 橙 | K |
2,500~3,900 | 赤 | M |
一方、スペクトル型は最も温度の低いM型になり表面の色も赤い事から赤色矮星と呼ばれ、質量・サイズも太陽よりかなり小型の暗い恒星のため、肉眼ではほぼ見つけることが不可能な恒星でもあります。
「Image Credit:太陽(左)と赤色矮星(右)イメージ図(Wikipediaより)」
では、何故このような小型で暗い恒星に探査の目を向けるのでしょうか?
その理由はいくつかあり、
- 恒星と惑星の距離が近いため惑星を検出しやすい
- 代謝が低いため恒星の寿命が長く惑星に生命を育める時間がある
- 天の川銀河で最も多い恒星(約4分の3を占める)で探しやすい
- 生命生存可能領域(ハビタブルゾーン)に惑星が存在すると推定出来る
赤色矮星探査で発見された注目の惑星
2016年5月に発見され話題となった地球に似た惑星を持つ赤色矮星「Trappist-1(トラピスト1)」をご存じででしょうか。Trappist-1は、太陽系からわずか40光年ほどしか離れておらず近距離にある恒星系で、質量が太陽の8%ほどしかなく、大きさは木星より一回り大きい程度で表面温度は約2,600度、恒星としては最も小型の部類に入る天体だそうです。
「Image Credit:YouTube」
Trappist-1が話題になった最大の理由は、この恒星に地球に似た岩石惑星が7つも発見された事にありましたが、そのうち3つの惑星の公転軌道は、表面に液体の水が存在できる範囲であるハビタブルゾーンに位置している事が判明し、もしこれらの惑星に大気と水が存在していたとするならば、生命が存在する可能性がるかも知れないと期待が高まっているからです。
もちろん、これだけの条件では必ずしも生命が存在するとは言えませんが、一部の科学者は大気は地球よりも金星に近いのでは?と見解を示している人もいます。
何故なら、主星である赤色矮星「Trappist-1」は太陽のような可視光ではなく、温室効果の高い近赤外線を主に放射し惑星の表面を必要以上に温めてしまい、金星のような生物の住めないような環境になっている可能性もあるからだと考えています。
もし生命の存在が確認出来たら第二の地球になりえる?
Trappist-1は太陽系にとても近い恒星系で、もしこの恒星系の惑星に生命存在が確認出来たら、将来人類が居住出来るような第二の地球になり得るのでしょうか?Trappist-1が太陽系から近い40光年といっても、今の人類にとってはとてもそこまで行けるような技術などなく、今後、技術が発展したとしてかなり厳しいのではないでしょうか?
仮に移住が可能になるとすれば、SF映画のような恒星間航行を可能に出来る未来が実現できればの話になるでしょう。
また、もし人類が「Trappist-1」まで行けるようになったとしても、必ずしもその惑星が地球と同じような環境とは限りません。
それは大気の成分も違うでしょうし、何よりその星に住む生物と人類と原住生物とでは、遺伝子構造そのものが違う可能性も高いため、環境の全く違う生物同士が共存出来るかどうかも未知の確率ではないでしょうか?
何はともあれ、今後も詳しい調査が続く「Trappist-1」。この恒星系の惑星に生命が存在することが確認できれば、人類初の快挙であり、地球以外にも生命が存在する、という証明が出来ることは間違いありません。