私たちが地球上で通信する手段は光や、光と同じ速度を持つ電波を使っています。
地上においてこの光による通信手段は絶大で、例えそれが地球の裏側から発信された通信であったとしても、光ならあっという間に私たちのもとに届きます。
それくらい光の速度は圧倒的なのですが、それでも宇宙では通用せず遅すぎると言っても良いほどなのです。
地上では圧倒的な速さを誇る光
光の速さ(光速)は299,792,458m/s(約30万キロ毎秒)。音の速さ約340m/sに比べても比較にならない程圧倒的で、私たちが住む地球上において光の速さに勝るモノは存在しません。ちなみに具体的な光の速さについては、「光は1秒間に地球を7周半周る」と小学生くらいの時に習ったと思いますが、NASAの科学者がそれをもっとわかりやすくアニメーションで表現してくれていますので、光がどれくらい速いのか?良く理解出来るかと思います。
「Image Credit:via Gfycat」
この圧倒的な光の速度を利用する事で、昔から使っている照明だけでなく、現代では光回線や衛星通信等に活用できるようになった事で、地球上どこでもほぼタイムラグを感じることなく人類の生活インフラは格段に便利なモノになっています。
今後発展が確実な宇宙開発でも光利用は期待できる!?
21世紀に入り人類の宇宙進出は飛躍的に伸びようとしており、私たち一般人も宇宙旅行が出来る時代が近い将来やって来るかも知れません。「Image Credit:SpaceX」
しかし、その宇宙旅行も木星や土星といった遠く離れた惑星へ行くようなモノではなく、地球近郊(地球低軌道上や月面等)の旅行が現実的でしょう。
ただ、地球近郊であれば光による通信等は非常に便利に活用出来、地球と月の距離(平均約38万キロ)程なら少しタイムラグはありますが1秒チョットで済みます。
「Image Credit:via Gfycat」
上動画↑↑は昔のテレビゲーム(テニスゲーム?)のようにも見えますが、光が地球と月の間を往復する様子(往復約2.51秒)をアニメーションで表現したモノで、この程度なら地球と月の通信にもそれほど問題なく今後の宇宙開発にも大いに役立つ手段になるものと思われます。
地球から離れると光の速度は遅くて便利に使えない?
光の速度を通信手段として使うのであれば、今後の宇宙開発において地球から遠く離れた天体と通信する場合、あまり便利に活用できるものではない事が以下のアニメーション動画でわかるかと思います。「Image Credit:via Gfycat」
上動画↑↑は、地球の隣りにある惑星・火星間での光が進む様子をアニメーションで表したモノですが、しかもこの火星との距離(5,460万キロ)は、火星が地球に最も接近した時の距離で表しており、それでも地球から火星までは光の速さで約3分もの時間を要してしまいます。
なお、この動画では火星との最短距離ですが平均距離は2億6,000万キロもありますので、地球から火星に間の往復通信には約28分もかかる事になってしまいます。
宇宙では光の速度はあまりにも遅すぎる!
地球上、または地球近郊においては光の速度は圧倒的に速く人類の文明にとても役立つのですが、広大な宇宙に目を向けると光の速度は速くはなく、むしろ遅過ぎると言っても良いでしょう。例えば、太陽から地球に届く光は約8分もかかってしまい、その太陽を中心とする太陽系の端まで到達するのに光の速さで1年以上もかかってしまうと言われています。
「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
※ 現在、太陽系の外縁部に広がる「オールトの雲」までが太陽系だとされています。
さらに、太陽系に最も近い恒星「アルファケンタウリ星系」までは約4.6光年。つまりお隣りであっても光の速さで4年半もかかってしまうのです。
銀河を自由に行き来出来る恒星間航行は無理なのか?
現時点において光の速さを超える手段はあり得ないとされていますが、ここまで解説した来たように広大過ぎる宇宙では光の速さはあまりにも遅く、将来的な人類の宇宙進出には光の利用はあまり適さない気もします。最近では、太陽系外に地球に似た惑星等も発見されてはいますが、そこまで行くには光の速さで航行が出来る宇宙船を建造出来たとしても数十年~数百年はかかってしまいます。
つまり、いくら地球に似た惑星が太陽系の外に見つかったとしても、人類がそこまで行く事は不可能と言えます。
ただ、もし光の速さを超える技術を人類が持てた場合はどうなのか?
「Image Credit:iStock」
多分、広い宇宙空間を自由に行き来できるでしょうが、現在正しいとされているアインシュタインの相対性理論によれば、光と時間は相対的な関係にあるため光の速度を超えるとなれば時間も超えてしまうとされていますので、理論的に考えれば不可能と考えられています。