これまでは、選ばれし特別な人間しか行けなかった宇宙。
しかし、近年宇宙ビジネスが脚光を浴び民間企業も積極的に宇宙へ進出しようとしており、近い将来は私たちのような一般人でも、気軽に宇宙へ行ける日がやって来るかも知れません。
ただ、宇宙は未だ謎だらけで危険な場所であることは事実で、危険を冒すリスクがあることは確かでもあります。
そんな場所へ本当に、人類、そして一般人が簡単に行けるモノなのでしょうか?
今後訪れる可能性が高い人類の本格的な宇宙進出時代に待つの問題点は何なのでしょうか?
宇宙でどんな危険が待っているのか?人間が宇宙で生活して身体に悪影響は無いのか?一度は宇宙に行ってみたいというあなた。いろいろ心配な事はありそうです。
期たるべき宇宙新時代とは?
1961年の旧ソ連から初めて宇宙に行ったユーリイ・ガガーリンから半世紀以上、これまで宇宙に行った人は延べ人数にして1,000人超はいますが、そのほとんどが優秀な軍人や科学者など限られていました。しかし、最近になって民間のベンチャーも「宇宙ビジネス」に取り組みはじめ、宇宙という未知の領域に眠る、まだ手付かずのビジネス市場に大きな期待をかけています。
この宇宙ビジネスは民間会社が人工衛星の打ち上げを代行、また人工衛星を通信インフラの整備に利用したり、太陽光発電や月や小惑星などに眠る資源・エネルギーの開拓、他にも宇宙旅行といった観光ビジネス等にも今後のビジネスの進展に期待がかかっています。
「Image Credit:スペースX社の大型有人宇宙船・スターシップ(SpaceXより)」
今後、宇宙ビジネスが進展して行くと、私たちのような一般人も気軽に宇宙に行ける時代がやって来るかも知れませんし、それはそれほど先の話ではなく、弾道飛行などの疑似宇宙旅行の時代はスグにでもやって来る可能性があります。
「Image Credit:弾道宇宙旅行フライトスケジュール(http://www.club-t.com/space/)」
人間が宇宙に行くことで起こる身体への悪影響とは?
「一度は宇宙に行ってみたい!」という淡い憧れを持っている人は少なくないのではないでしょうか?!だだ、地球という環境で生まれ育った私たちにとって、簡単に「宇宙に行きたい!」と思うのは危険な考えかも知れません。
何故なら、宇宙は地球とは全く違った環境のため、人間にとって異質な世界であるという事になるからであり、宇宙に行くと地上での常識がまったく異なるという事で、身体への負担に大きく影響が出て来るようです。
そんな宇宙に人間が行くと、身体にどんな影響が出てしまうのか?
アニメーションを使って、わかりやすく解説した動画がありましたのでご紹介します。
アニメでわかりやすくといっても、そもそもが英語解説ですので、チンプンカンプンかも知れませんので少し補足するとこのようになります。
宇宙に行くと筋肉や骨が衰える
宇宙に行くと、地球と同じ重力を感じることは出来ません。それは、宇宙船や宇宙ステーションの中は無重力であって、月面は地球の6分の1、火星では3分の1ほどの低重力しかないからであり、そんなところで長期間人間が過ごしたらどうなってしまうのでしょうか?
地球では基本的に1Gといった重力がかかっています。
人間はその1Gという重力下で生まれ育ち、自らの体重を支えるため環境に身体が順応しています。
そんな人間が、無重力や低重力の環境に長時間いるとどうなるのでしょうか?
それは単純なことで、重力が無くなると自らの体重を支える必要が無くなり、これまで体重を支えてきた筋肉や骨の機能が衰え脆くなってしまいます。
そんな状態になって地球へ帰ったとすると、筋肉が衰え足腰が立たなくなり、骨も脆くなったことで簡単に骨折してしまいます。
このような悲劇を少しでも緩和するために、宇宙飛行士たちは宇宙滞在中に毎日の日課で身体能力が低下しないよう身体を鍛えているのです。
「Image Credit:GIPHY」
また、骨の異常で身長にも変化が起き、身長が伸びてしまったり腰痛にも悩まされると言います。
宇宙に行くと心臓への負担が大きい
無重力や低重力の環境は、心臓にも負担をかけます。地上の1Gに適応した人間は、病気もでない限り心臓が適切な血圧を保ち体中に血液を循環させてくれます。
しかし、宇宙に行くとそれが適切でなくなってしまい血圧が高くなってしまいます。
宇宙に行ったばかりの宇宙飛行士の顔がパンパンに浮腫んでいるところを見たことがあると思いますが、それも血液の循環が適切に行われていないせいで、あのような状態になってしまっています。
この影響は心臓の大きさにも出てしまい、宇宙では小さく縮んでしまうとの事です。
「Image Credit:YouTube」
このような状態になってしまうため、大気圏再突入時は重力が身体にかかり元に戻るため、心臓にかかる負担が大きくなってしまうとの事で、もし、心臓が弱い人が宇宙に行ってしまったとしたら大変な事態になってしまう可能性もあります。
宇宙に行くと視力が低下する!?
宇宙では視覚障害も起こるらしく、いくら身体が丈夫な宇宙飛行士でも、こればかりはどうにもならないと言います。これまで長期間宇宙に滞在した宇宙飛行士の多くが視覚障害に悩まされているという報告があり、中には治らない人もいると言います。
この原因はやはり無重力にあり、人間の眼球は、1Gの状態でこそ正常に機能するように出来ているため、それが無重力の宇宙に行くことで、脳にある液体が眼球の一部を押しつぶしてしまい、それにより機能障害が起きてしまい視力維持のバランスが壊れてしまうようなのです。
この視覚障害の事を視覚障害脳圧症候群と呼び、国際宇宙ステーションに長期間滞在した宇宙飛行士の半数以上が、この病気に悩まされていると言います。
「Image Credit:国際宇宙ステーションで眼圧測定をする宇宙飛行士(NASAより)」
宇宙で生活することは不可能なのか?
ここまで様々な宇宙で起きる身体への影響を解説して来ましたが、他にも脳への影響や免疫システムの障害などのも立証されており、このような影響のある宇宙で地球で生まれ育った人間が宇宙で生活することは可能なのか?と疑問に思ったりもしますが、今後、宇宙ビジネスの需要拡大、さらには地球人口の増加に伴い人類は宇宙に住まなくてはならない時代がやって来るかも知れません。もし、人間が宇宙で生活しなければならなくなった場合、このような人体への影響にどのような有効な対策を取れるのでしょうか?
「Image Credit:Wikipedia」
低重力下で人体に悪影響が出るのであれば、地球より重力小さい月面や火星に住むのは無理があるのかも知れません。
それでも、どうしても宇宙に住まなくてはならない状況になった場合は、宇宙に地球と同じような環境を造る事(疑似地球環境)が一番有効的ではないかとの考えがあり、宇宙に疑似地球環境を造るとなると、現時点で構想としてある「宇宙植民地(スペース・コロニー)がその一例です。
「Image Credit:シリンダー型スペース・コロニーの想像図(Wikipediaより)」
スペース・コロニーは、地球の衛星軌道上の宇宙空間に内部が空洞の巨大な施設を建造し、その施設を回転させることで空洞の内壁部分に遠心力が発生し、地球と同じ1Gの重力を作り出すことが出来るというモノです。
そんな人工的に重力が作られた土地に、地球環境をそっくり移植すれば人類はそこで生活出来ることになります。
このような巨大施設を建造するという構想はありますが、様々な技術的課題や莫大なコストがかかるという事から実現は難しいと考えられますが、今後人類が本当に宇宙進出をするのであれば、このような課題もクリアしておかなくてならないと、宇宙進出は頓挫してしまう可能性もあるのではないでしょうか?