宇宙に関する誤った認識やあまり認知されない思考(基礎編)

21世紀に突入し20年以上経過した今日。

宇宙観測技術の飛躍的進歩や民間企業が宇宙開発に参入して来たた事等により、旧世紀よりはだいぶ宇宙が身近に感じるようになった気がします。

しかし、それとは逆行しているように思えるのが、多くの人達の宇宙に関する間違った認識ではないでしょうか。

一天文ファンとしては宇宙が身近になりつつあるのは嬉しいですが、その一方で間違った認識が横行し続けるのは我慢できず、大袈裟かも知れませんが、今後の人類が宇宙進出する事の妨げになる可能性もあるかも?何て思ったりもしています。

今回はそんな宇宙の間違った認識や、あまり知られていない知識について正して行こうと考え、基礎編としていくつかを挙げて行こうと思います。

① 人工衛星や宇宙ステーションが飛んでいる場所が宇宙ではない?!

私たち人類が宇宙と呼んでいるのは高度100キロ以上の上空からです。

その理由は、地球の大気がほとんど無くなるのが100キロから先の上空であるためであり、いわゆる便宜上そこから上を宇宙と呼んでいるだけであって、実際は100キロ以上の上空も希薄ではありますが大気は存在しています。

なお、地球の大気圏を分類すると、

私たちが暮らしている領域が対流圏

10キロ~50キロ上空を成層圏

50キロ~80キロ上空を中間圏

80キロ以上を熱圏から外気圏と呼び、外気圏に至っては高度500キロ以上まで達しています。


「Image Credit:宇宙航空研究開発機構 宇宙環境利用ガイドブックより」

例えば、国際宇宙ステーション(ISS)が飛んでいる場所は約400キロの高さですが、そこは外気圏の中であり希薄ながらも大気が存在しています。

つまり、厳密に言うとISSが飛んでいるその場所は、宇宙ではなく地球の大気圏の中という事になってしまうのです。

それなら、地球の大気層を完全に抜け出た場所からが宇宙なのか?

という事にもなるのですが、どこからが宇宙なのかという境目が無いのが実のところで、そのため人類が定義した100キロ以上上空を宇宙と呼ぶ事にしているのです。

※ この宇宙の境についての認識は今回のテーマと少しズレているかも知れませんが、宇宙を正しく知ってもらうためにも必要な事なのかな?と思い記述した次第です。

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② 宇宙に行けば必ず無重力になると思っている

宇宙に関する認識で一番間違いやすいのが宇宙=無重力という考え方です。

この間違いのモトとなっていると思えるのが、ISSの船内や船外活動で宇宙飛行士が無重力でフワフワ浮いている姿を見ているのもその一つではないでしょうか?


「Image Credit:livedoor NEWS」

あの光景を見て「宇宙に行けば重力が無くなるから無重力になる。」と、単純に思い込んでいる人も多いかも知れません。

実際、無重力になっている状態を宇宙だと紹介していますから、そう思うのも仕方ないのかも知れませんが、でも必ずしも宇宙=無重力というワケではなく、ISS等で見られるような無重力状態は人工的に造り出した無重力なのです。


「Image Credit:Wikipedia」

現在、ISSは地球上空約400キロ上空の軌道上を秒速約7.7キロメートルという速度で周回しています。

何故、ISSがこのような超高速で飛んでいるのか?
その理由は、この速度を出す事で発生する遠心力で、下に落ちようとする地球の重力を打ち消しているからです。

つまり、大気が希薄な400キロ上空では空気抵抗がほとんど発生しないため、速度を出し続けても減速しない慣性力と地球の重力とが相殺されるため、ISSは地球を周回し続けるという自由落下状態に陥る事で、結果として重力が無くなり無重力となるワケです。


「Image Credit:宇宙航空研究開発機構 宇宙環境利用ガイドブックより」

もし、ISSと同じ高度にただ上がっただけで宇宙空間に出たとしても、無重力状態にはならず、スグに地球の重力に引かれて落ちてしまいます。

ただ、落ちる時に自由落下状態になりますので、落ちている間は一時的に無重力状態にはなりますが・・・

③ 宇宙空間に生身で出ると息が出来ないだけじゃない!

宇宙空間は空気がありませんので、当然ながら息が出来ません。
まぁ、そんな事は誰でも知っている事ですが、もしかしたら空気の無い宇宙空間に出たら息が出来なくて、ただ窒息するだけだと思っていないでしょうか?

もちろん窒息はしますが、宇宙空間は空気が無い=気圧が無い事になります。

私たち人間は、地上の1気圧前後という大気圧に順応するよう身体が造られています。

という事は、気圧ゼロの宇宙空間に生身で出てしまうと窒息する前に、1気圧で抑えられていた体内の全ての細胞と血液が一瞬で気化・沸騰してしまい膨張。

結果、人間の身体はバラバラに破壊されてしまうという恐ろしい事になってしまいます。


「Image Credit:Depositphotos」

④ 月はいつも同じじゃない

私たちが空を見上げると満ち欠けはありますが、そこにはいつも同じ月があるように感じます。

それは月の大きさも同じで模様も同じ。
当たり前すぎてほとんどの人があまり気にもしないでしょう。

しかし、実際には月はいつも同じ姿を見せているワケじゃないのです。

月は約27日で地球を公転する事で、その過程で月の表面に太陽光が照たる場所が変化し、「新月→上弦→満月→下弦→新月」という満ち欠けを繰り返しています。

ただ、その満ち欠けも常に大きさが違うのです。

その理由は、月がいつも地球との一定の距離を保って公転しているワケではなく、公転しながら地球に近づいたり離れたりしています。

要するに、月の公転軌道は真円ではなく楕円軌道を描いており、もっとも近づく(近地点)で約35万キロ

最も遠く離れた時(遠地点)で約40万キロと5万キロの差があり、近地点と遠地点での見かけ上の大きさは約10%も違うのです。


「Image Credit:Canon Global」

また、この楕円軌道は太陽と地球の位置の影響によって方向や距離が複雑に変動します。

この変動での遠地点と近地点の方向差は8.85年周期で起こっており、太陽の影響で方向が歪む出差と、軌道がカーブする二均差で変動しています。


「Image Credit:国立天文台」

さらに月の変動はこれだけではなく、毎年数センチずつ地球から遠ざかっています。

この影響により地球の自転速度は遅くなって行き、それに伴い海の満ち引きも弱くなり地球に大きな環境変化を起こすと考えられていますが、それは遠い未来の話で、その頃になるとおそらく人類は地球上から姿を消してしまっているのではないでしょうか。

⑤ 地球の1日は24時間じゃなく1年は365日でもない

私たちは普段の生活の中で時間に縛られ生きています。

その時間の基準になっているのが、地球の自転と太陽を周回する公転周期にあります。

そして私たちは地球が自転し1回転する時間を一日の24時間だと思っており、太陽を1周する日数を一年の365日だと思っていると思います。

しかし、それは違っており地球の自転周期は24時間ではなく約23時間56分4秒なのです。

さらに1年が365日という事も違い、地球が太陽を1周するのにかかる日数は365.2422日です。

では何故、私たちは1日を24時間。
1年を365日もしくは366日として計算し、何不自由なく生活出来ているのでしょうか?

1日の時間のズレは「うるう秒」で調整する

地球の自転による時間が23時間56分4秒なのに対し1日の長さが正確な24時間ではないため、その累積したズレを調整をする必要があります。

それに使うのが「うるう秒」です。
ただ、地球の自転速度は必ずしも23時間56分4秒というワケではなく、地球の自転速度はわずかに遅くなったり、速くなったりして一定ではなく、これにより時間のズレが発生します。

この地球の自転のズレを基準にして時刻を決めるのが原子時計。

原子時計は時刻の差がプラスマイナス0.9秒の範囲に入るように調整を行っており、この調整で「うるう秒」が使われます。


「Image Credit:国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)」

うるう秒は基本的に通常の時間に1秒を挿入する事で調整し、そのタイミングは12月か6月の最終日の世界時間での最後の秒で実施されます。

ですが、それでも完全には調整しきれないため、その場合には3月か9月の最終日の世界時間での最後の秒で実施となります。

ちなみに、地球の自転が遅くなった場合には、59分59秒のあとに59分60秒として1秒を挿入し、逆に地球の自転が速い場合には、59分58秒の次の59秒を飛ばし0分0秒に調整することで1秒減らす事が出来ます。

このようにした細かい時間調整が行われる事で、私たちは1日を24時間として過ごす事が出来ているのです。

1年の日数のズレは「うるう年」で調整する

「うるう年」は4年に1回やって来て、生活の中に浸透していますので誰もが知っている事です。

その「うるう年」が地球の公転に関係しているって事の詳細をどれだけの人が知っているでしょうか?

前記もしましたが、地球が太陽を1周するには約365.2422日かかるため、完全に1年を365日で固定するワケには行きません。

そこで使われるのが4年に1回の「うるう年」であり、西暦年号が4で割り切れる年をうるう年としているのです。

「Copyright ©:Dr James O’Donoghue All rights reserved.」

しかし、うるう年で調整しても完全に地球の公転日数と一致はしませんし、その誤差は約0.00031日程ですが微妙にあります。

これを調整するには数千年に1回する必要がありますが、今のところどうやって調整するかは決まっていないそうです。

⑥ 地球は一定の距離で太陽を周っていない

普段生活していると1年は春夏秋冬と同じように過ぎて行きます。

となると、地球は太陽を一定の距離で公転していると考えている人も多いでしょう。

ですがそれも間違いで、地球の公転軌道は完全な真円を描いておらず楕円軌道を描いています。

1年の中で地球が太陽に最も近づく(近日点)は1月3日前後で、距離にして約1億4,710万キロ
最も太陽から離れる(遠日点)が7月5日前後の約1億5,210万キロになり、その差は500万キロにもなります。


「Image Credit:中日新聞)」

地球の北半球に住む私たちにとって、暑くなる夏が太陽に接近しているようにも思えるのですが、実際は一番離れています。

その理由は何なのか?

それは地球の地軸の傾き(23.4度)が解決してくれます。


「Image Credit:Wikipedia」

この地軸の傾きこそが近日点と遠日点の誤差500万キロを埋めてくれているのです。


「Image Credit:中日新聞)」

地軸の傾きによって夏は北半球の日照時間は長くなり、逆に南半球は短くなります。

この事により北半球では、夏に太陽が高く昇る南中高度によって地面に照たる単位面積当たりの熱量が多くなるため暑くなり、冬と比べ太陽との距離が500万キロ遠いとしても夏らしい気温になるワケです。

だったら、太陽に近づく冬の南半球はどうなるのか?という疑問が出て来ると思いますが、実際の南半球は北半球の夏とさほど暑さは変わりません。

その理由は、陸地の多い北半球に対し、南半球の80%以上が海に覆われている事にあり、海は陸地に比べ気温が上がりにくい。

そのおかげで、南半球の夏は北半球よりも平均気温が4度も低いそうです。

まとめ

以上が、宇宙に関する間違った認識やあまり知られていないんじゃないか?
て思う事について6点ほど挙げてみました。

でも、この記事を読んでいただいている方の中には
「知ってる!」
「常識だよ!」
と思っておられる方もいらっしゃるでしょう。

なので、あくまでの私の視点からで挙げていますのでご容赦ください。

尚、次回はもっと深堀りするつもりでの宇宙知識をご紹介したいと思います。

良かったら、次回もお読みいただければ嬉しいです。