この記事を書いているのは1月中旬。この時期の日本は大寒波に見舞われ、凍えるような寒い日が続き、日差しもあまり暖かく感じられず、地球から太陽が遠く離れて行ってしまった感じもするほど。
ところが私たちが寒いと感じている1月は、1年を通して地球と太陽の距離が最も近づいている時期なんです。
でも、太陽に一番近いハズなのに何故寒いのか?単純に考えるとこれって不思議だと思いませんか?

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地球は楕円軌道で太陽を公転している

普段、私たちは太陽を直視する事はありませんが、感覚的には太陽はずっと同じ大きさで私たちの頭上で輝いていると感じているかと思います。つまり、地球と太陽の距離はずっと一定であり、多くの人は地球は真円軌道で太陽を公転していると思っているのではないでしょうか?!

「Image Credit:iStock」
実は、地球と太陽との距離は一定ではないのです。わずかですが地球は楕円軌道で太陽を公転しており、楕円軌道を描く地球が最も太陽に接近する近日点は1月3日で、その時の地球と太陽との距離は約1億4,710万キロ。最も太陽から離れる遠日点は半年後の7月5日で、この時の地球と太陽との距離は約1億5,210万キロで、その差は約500万キロ(地球と月の距離の約13倍)となり、故に若干ですが、1月と7月では地球から視認出来る太陽の大きさも異なって来るのです。

「Image Credit:中日新聞)」

1月の地球は太陽に近いハズなのに何故寒いのか?

さて気になるのは1月の寒さ。地球の北半球に住む私たちにとって冬はとても寒い時期です。
この時期(1月)の地球と太陽は近く(近日点)、最も太陽から離れる7月(遠日点)では太陽光は約7%増加するとされています。それ故に素人考えではこの時期は暖かいのでは?と思ってしますのですが、実際は外に出れば吐く息が白く身震いするほど寒く、道路は凍結し、雪国では災害級とも言える降雪があり、とても地球と太陽が近いなんて思えません。

「Image Credit:iStock」
では何故、地球と太陽の距離が最も近い北半球の1月は寒いのでしょうか?
その原因は、地球の地軸の傾きあります。確かに1月の地球は太陽により接近していますが、その距離はほんのわずかに過ぎず、1月に北半球は太陽から離れる方向に約23.4度傾いているため、その距離の分は地軸の傾きで相殺されてしまいます。

「Image Credit:Wikipedia」
地球の地軸の傾きによって、太陽光が射す角度が低くなり光量も弱く、更には日射時間の昼が短くなる事で気温は低下してしまいます。
一方、1月の南半球は地球が太陽に最接近し、更には地軸が太陽に近づく向きに傾いているため、太陽光の射す角度も高く光量も増して、昼が長くなり強烈な夏の暑さを享受しているのですが、その夏の暑さは北半球とそれほど変わりません。何故なら、陸地の多い北半球に比べ海が多い南半球は、太陽熱を海水が冷やしている事で強烈な暑さを抑えてくれているのです。
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太陽活動が活発な極大期に影響はないのか?

約11年周期で太陽の活動が最も活発になるとされ(実際は9年から14年程度まで変動)、これにより太陽からの光や熱等の放射エネルギー量が増加する事になります。

「Image Credit:太陽の活動期を示すグラフ(Wikipediaより)」
この活動期での特徴は、各地でオーロラの出現率が活発化し、場合によっては北海道等の低緯度地域でもオーロラを観測出来る事があります。

「Image Credit:Wikipedia」
太陽活動が活発化すると、太陽表面の黒点の数も増えフレアと呼ばれる爆発現象も起こりやすくなります。

「Image Credit:NASA」
11年周期で太陽活動が活発化し、地球に降り注ぐ光や熱等の放射エネルギー量が増加し、この時、地球が太陽に接近しているタイミングだったとしたら、地球の気候に大きな影響が出てしまうのではないか?!との心配もありますが、実際は、太陽光から地球が受けるエネルギー総量「太陽総放射量(TSI)」は、太陽極大期に0.1%増加する程度だとされています。つまり、活動期の増加量は非常に小さいため、地球の気候に重大な影響が及ぶことはないのです。
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