夜の気温がだいぶ低くなり肌寒くなる11月。この時期になると夜空も澄んで綺麗に星が見えるようになります。
そんな澄んだ夜空が見渡せる季節に、美しい流れ星が見れたら嬉しくないでしょうか?
そこで今回ご紹介するのは、11月にピークを迎え観測出来る流星群の「しし座流星群」と「おうし座流星群」です。
今回はこの2つの流星群について解説します。
流星の正体は彗星の落とし物?!
流星群の解説をする前に、そもそも流星(流れ星)とはどんなモノなのでしょうか?この事についてはウィキペディア等にも載っていますので大多数の人はご存じかも知れませんが、簡単に言うと流星は宇宙の塵がその正体です。
宇宙の塵が流星の正体とは、宇宙空間を無数に漂う数ミリ~数センチ程度の塵が地球の大気圏に秒速数キロ~数十キロという猛スピードで突入し、その際の大気との摩擦熱で発光する事によって流れ星になる現象の事です。
塵は元々が微小なため、大気との摩擦熱が生じる事で一瞬で燃え尽き、発光して見えるのは長くても1~2秒程度で、ほとんどが地表に到達する前に消滅してしまいます。
また、比較的大きめの塵(小天体)が大気圏に突入して来ると、通常の流星よりも遥かに明るく輝いて見え、さらに塵自体が大きい事もあり摩擦熱で燃え尽きるまで時間がかかるため、時間も長めで観測出来るのが火球と呼ばれる現象で、流星群が発生する時に火球も観測出来る場合もあります。
「Image Credit:火球(左)と流星(右)(Wikipediaより)」
流星はいつでも見れるのか?
流星の正体は宇宙空間を漂う塵のため、昼夜を問わず常に地球に落下しています。そのため、基本的に1年を通していつでも見ることは出来ますが、普段の状態で流星に出会うのはなかなか難しく、また、いつ流星が落ちて来るかわからないため、言わば偶然に近いカタチでしか出会うことしかできませんし、観測条件が整わないと見る事は難しいでしょう。例えば、非常に基本的な事かも知れませんが、流星に出会える観測条件として言えるのが・・・
- 晴れて澄んだ夜空である事。
(晴天でなくとも稀に、雲の隙間から見える事も。) - 街明かりや月光等、星が見にくくなる光源が少ない事。
- 常に夜空を見上げる意識を持てる人。
ともかく、普段は偶然にしか出会うことが出来ない流星を、より確実に見たいなら流星群が発生する時期を狙うのが一番でしょう。
11月に観測できる流星群
さて、夜が肌寒くなる11月と言っても北国に住む人以外は凍えるほど寒くはなく、比較的に夜空も見上げやすい時期なのではないでしょうか?!そんな11月は、条件次第ではなかなかベストな流星群も発生してくれます。
流星群が発生する主な原理は、主に彗星が撒き散らしたダストテイルという塵の帯の中に地球が入った状態の時に大量発生する流星の事です。
「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
流星群の特徴は、天上のある一点方向から流星が放射状に流れ、その一点方向にある星座から「○○座流星群」と名付けられています。
そして今回ご紹介するのが、11月に見られる「しし座流星群」と「おうし座流星群」です。
しし座流星群の見頃
「しし座流星群」は大規模な流星群として有名で、過去に1時間で2,000個以上の大出現を見せた事例もあるほどですが、残念ながら最近では多くても1時間で10~20個くらいしか見れていません。なお、「しし座流星群」を生み出している母天体の彗星はテンペル・タットル彗星といい、33年で太陽を周回している短周期彗星で、「しし座」方向(放射点)から流星が流れて来ます。
「Image Credit:tenki.jp」
「「しし座流星群」の今後(2022~2030年)の観測条件(予想)」
※ この情報は流星電波観測国際プロジェクトの予測データを参考にさせていただいております。
観測年 | 極大日時 | 観測条件 | 補足説明 |
---|---|---|---|
2022年 | 11月18日08時頃 | △ | 朝8時頃にピークを迎えるため条件的にはあまり良くないが、明け方が観測のチャンス。 |
2023年 | 11月18日14時頃 | × | ピークが真っ昼間。しかし日没後に観測出来る可能性あり。 |
2024年 | 11月17日20時頃 | × | ピーク時間に問題はないが放射点が地平線の下で、しかも月明かりがあり観測条件悪し。 |
2025年 | 11月18日03時頃 | ◎ | ピーク時間は真夜中ですが、月明かりも無く夜半過ぎから好条件で観測可能。 |
2026年 | 11月18日09時頃 | △ | ピーク時間が日中、しかし月明かりがないため明け方が観測のチャンス。 |
2027年 | 11月18日15時頃 | × | ピークが真っ昼間。放射点も地平線下で月明かりもあり条件悪し。 |
2028年 | 11月18日21時頃 | △ | ピーク時間は問題なし。しかし放射点が地平線下であまり良くないかも。 |
2029年 | 11月18日03時頃 | 〇 | 月が3時過ぎに沈むため、それ以降が観測のチャンス。 |
2030年 | 11月18日09時頃 | △ | ピーク時間が日中、明け方が観測のチャンス。 |
おうし座流星群の見頃
「おうし座流星群」は「しし座流星群」の約10日前(11月上旬)がピークになりますが、「しし座流星群」より規模が小さいため観測する年よっては流星を見る事が困難な時もあるようです。この流星群は11月6日前後に見頃を迎えますが南群と北群の2つの流星群に分かれており、南軍が11月6日前後。北群が11月13日前後。といったように、どちらか条件が良い方を選んで観測することも可能になります。
また、母天体は太陽を約3年半で周回するエンケ彗星ではないかと推測されており、流星群の素となる彗星が放出した塵がかなり昔に形成されたらしく、それにより塵の密度が減っていると考えられています。
それでも、条件が整えばもしかしたら出現率が大きくなる可能性もありますので、この流星群の情報も抑えて置いてみても良いかと思います。
「Image Credit:tenki.jp」
「おうし座流星群」についての今後の観測条件(予想)を調べてみましたが、残念ながら詳しい情報を得る事が出来ませんでした。しかし、この時期「おうし座」は天頂付近で見られますので、放射点も天頂付近にあるものと思われます。よって気象条件が整えば頭上から降って来る流星を観測出来るかも知れません。
流星群観測は必ずしも放射点方向を見る必要はない
「しし座流星群」「おうし座流星群」と、いずれも放射点である星座方向から流星群の名前が付けられていますが、だからといって流星が流れる方向が必ずその星座方向とは限りません。もちろん、基準となるその星座方向も見上げるのが基本ですが流星は全天のどこからからでも流れて来ます。
つまり、あまり放射点方向ばかり見上げていると、せっかく流れてきた流れ星を見逃してしまう可能性だってありますので、流星群の観測はなるべく全天が眺められるよう、出来れば寝そべっていられるような姿勢が良いのですが、さすがに11月の夜は冷え込みますので防寒対策を万全にして観測に臨んだ方が良いと思います。