私たちの頭上には、燦々と輝く太陽が毎日昇っては沈んで行きます。
そした私たち地球上の全生命は、太陽無しでは1秒足りとも生きていくことが出来ない事実があります。
そんな生命の源である母なる太陽では、日々想像を絶する激しい現象が起きているのも事実です。
その象徴たる現象が太陽フレアです。
太陽フレアとは太陽表面で起きている爆発現象の事で、時には地球にも大きな被害を及ぼすような巨大なフレアも発生する事があります。
しかし最新の研究によると、超巨大フレアであるスーパーフレアも太陽で起きる可能性があると示唆されているのですが、もし、スーパーフレアが太陽で起こったら地球はどうなってしまうのでしょうか?
太陽フレアは太陽の健康状態を示すバロメーター
太陽は日々活発に活動し、太陽系そして私たちの地球に光と熱等の恵みを与え続けてくれています。そんな太陽活動は活発な故に、ときどき太陽表面のあちこちで爆発を起こしています。
「Image Credit:NASA/JPL」
その爆発現象の事を太陽フレアと呼び、爆発する高温のガスから電波やX線等の他、極めて高温で電離した荷電粒子(プラズマ)が放出されており、これらは太陽風に乗って数十分から数日後に地球に到達し、電離層や地磁気を乱した結果、電波通信が妨害されるデリンジャー現象や磁気嵐を起こします。
また、オーロラの活動も活発になります。
「Image Credit:iStock」
太陽表面の爆発現象である太陽フレアですが、これは何も異常な現象ではなくむしろ太陽活動が活発な証拠である事を示しています。
もし太陽フレアが起きなかったらそれは太陽活動の減退期であることを指し、地球環境にも多大なる悪影響を及ぼす事が懸念されます。
太陽風は常に吹いている
時々耳にするのが、太陽フレアが起きる時に太陽風も発生すると考えている人がいます。確かにそれは間違ってはいませんが、太陽風はフレアが起きずとも常に吹いており、それは地球で吹く風とは違い高温プラズマ粒子の風なのです。
また、地球に住む生物にとっては、太陽風を直接浴びると非常に有害な放射線なのですが、基本的には悪影響を及ぼす事はありません。
その理由は、地球が持っている磁場のおかげで、この磁場が強力なバリアとなって地球を守ってくれています。
「Image Credit:science.nasa.gov」
太陽風は秒速400~800キロという超高速で流れており、地球まで到達する時には1立方センチメートル当たり約5個の素粒子が含まれていますが、太陽フレアが発生した時はそれが増大し、その爆発の大きさによっては地球に被害を及ぼす事もあるのです。
NASAが公開した太陽フレア動画が圧巻
太陽フレアとはどのように起こっているのでしょうか?その現象を実際に捉えた映像がアメリカ航空宇宙局(NASA)で公開されていました。
直径が地球の約109倍もある太陽。その表面で起こっているフレアはとてつもなく巨大で、フレアの中に地球が何個も入ってしまうほど大きなモノです。
太陽フレア(太陽風)が地球に及ぼす影響
太陽表面での巨大な爆発現象である太陽フレアですが、その威力は通常時で水素爆弾10万~1億個に相当すると考えられています。さらにフレアにより太陽の大気であるコロナが数千万度まで過熱され、多量で高熱の荷電粒子(プラズマ)が宇宙空間に放出され、それは地球にもやって来るのです。
ただ、通常のフレアなら特に地球へ影響することはないのですが、巨大なフレアが発生した場合は強烈な太陽風が吹き荒れ、私たち人類が築いたインフラ設備に多大な影響を及ぼす事があります。
それは人工衛星や通信機器、航空システムの障害であったり、さらには送電システムにも障害を起こし停電を起こすこともあります。
「Image Credit:NICT」
超巨大なスーパーフレアが太陽で起きる可能性は?
超巨大なスーパーフレアの威力は、通常の太陽フレアの数百倍から数千倍ものエネルギーを放出されるとされていますが、現時点において太陽でスーパーフレアが発生した記録はありません。これまでの研究では、太陽のような恒星ではスーパーフレアが起こる事はなく、まだ誕生して時間の経っていない若い恒星でしか発生しないと考えらて来ました。
しかし、アメリカの研究チームが太陽と同タイプの恒星からの統計データをまとめたところによると、太陽のように誕生から数十億年経過した恒星でもスーパーフレアが起こらないとは言えないという結果が出たそうです。
「Image Credit:S. Dagnello, NRAO/AUI/NSF」
仮に太陽でスーパーフレアが起こったとした場合、オゾン層が破壊される事により太陽からの有害な紫外線が地球に大量に降り注ぎ、地球上の生命に深刻な被害が出るとされるとの考えがある一方で、通常は寒い極に近い地方でしか見られないオーロラが、暑い熱帯地域でも見られる程度だという楽観的に考える見方もあるなど様々ですが、ただ、確実に言えるのは、電子機器に生活を依存している現代においては、深刻なダメージが起きる事は間違いないと言います。
太陽フレアは生命の源?
太陽風の発生源である太陽フレアは爆発現象で危険なイメージがありますが、実は太陽フレアにより地球に生命が生まれたのでは?という研究が発表されています、それは、現在より太陽活動が活発だった数十億年前の太古に遡ると、太陽フレアによって太陽風と原始地球の大気が衝突し、化学反応を起こしたことで温室効果など、生命誕生に必要な要素が生まれたとの説があります。
研究発表によると、生命が誕生する前の原始地球にもたらされる太陽エネルギーは、現在の70%ほどしかなく地球は氷の惑星だったと考えられており、太陽フレアによって温室効果が発生し地球表面が暖められ、酸素や水も発生し生命が誕生出来る環境が創られたと考えられるそうです。
いずれにせよ、太陽あっての地球でありそれはかけがえのない存在です。私たち生命にとって太陽風やフレアが危険な存在あったとしても、それは太陽が生きている証拠であり、太陽風が吹かなければ地球も存続することは出来ない事は事実なのです。
高度情報化社会においては太陽フレアは人類文明を後退させるほどの大事件にもなりかねませんが、今のところそれは神頼みしか出来ませんね。
将来どのような方法で太陽フレアは防げるようになるのでしょうかね…
しかし生命誕生には太陽フレアが必要という意見もあれば、エウロパのような環境下でも生命は誕生し得るという意見もあるのは中々面白いですね。
その答えが分かるのは、いつか地球外生命体が発見された時か、あるいは全く発見できなかった時かもしれませんね。
ちなみに「いづれ」は歴史的仮名遣いですので、現代においては「いずれ」が適切かと思いますよ〜