NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が、ついに史上最も太陽に近づく飛行を決行した事が話題に!
しかもその距離は、太陽の大気上層部内に侵入するほど近く、それはまさに”実際に太陽に触れている”と言えるくらいの近距離で、同探査機は太陽からの超高温に晒されながらの耐え抜き、見事にミッションをやり遂げたそうなんです。
今回は、太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が成し遂げた人類初の偉業について調べてみました。

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NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」とは?

アメリカ航空宇宙局(NASA)が2018年8月に打ち上げた「パーカー・ソーラー・プローブ」は、可能な限り太陽に近づき、至近距離での太陽観測、そして未だに謎に包まれた太陽の外層大気であるコロナを直接観測するために開発された太陽探査機です。

「Image Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben」
私たちにとって一番身近な恒星である太陽は、昔から観測が進み多くの謎が解明されて来ました。しかし、それでも解明されていない謎はまだまだ多く残っており、その中でも太陽の表面温度が約6,000度であるのに対し、コロナと呼ばれる外層大気の温度は100万度を上回っており、これが何故なのか?未だに謎のままなのです。

「Image Credit:Wikipedia」
だったら、太陽まで出向いてコロナの中に入りながら直接観測すれば謎の解明が出来るのではないか?とした考えのもとで、開発されたのがパーカー・ソーラー・プローブであり、実際、この探査機はコロナに突入し観測、データの収集に取り組んでいます。
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太陽最大の謎「コロナ」に突入したパーカー・ソーラー・プローブ

その探査目的からパーカー・ソーラー・プローブは、太陽にかなり接近する必要があり、太陽に接近すにあたり強烈な熱に晒される事はもとより、激しい放射線にも晒されるという超過酷な状況で観測をしなくてはなりません。
そのため、探査機は熱や放射線に耐えられる設計になっており、特に常に太陽方向に向けられている耐熱シールドは摂氏1400度まで耐えられるよう造られています。

「Image Credit:耐熱シールド太陽に向けて飛行するパーカー・ソーラー・プローブのイメージ動画(NASA GSFC/CIL)」
観測を続けているパーカー・ソーラー・プローブは、2022年9月に大規模なコロナ質量放出(CME)の中に突入。そこは太陽コロナの中に突入したとも言え、同探査機はコロナの中の様子を撮影する事に成功しました。

「Copyright ©:Johns Hopkins Applied Physics Laboratory All rights reserved.」
CMEに突入した時のパーカー・ソーラー・プローブと太陽表面との距離は約1,040万キロ。まさしくコロナの中に入って撮影したこの動画には、光の筋のようなモノが左から右方向へと流れていますが、これはストリーマーと呼ばれるコロナの流線構造の一つで、同探査機が本当にコロナの中に入ったという証拠にもなっています。
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ついに史上最短距離まで太陽に接近したパーカー・ソーラー・プローブ

2024年12月24日のクリスマス・イヴ。ついにその歴史的瞬間が訪れました。それはパーカー・ソーラー・プローブが太陽表面から616万キロまで接近したというニュース。
普通の感覚だと616万キロという距離は「かなり遠い」と感じるかと思います。しかし、この距離は対太陽との距離にしては驚異的であり、このときの太陽表面からパーカー・ソーラー・プローブまでの距離は、およそ太陽4個分にも相当します。

「Image Credit:Wikipedia」
なお、この距離まで接近した同探査機に襲い掛かる熱は摂氏980度にも達していたといい、さらに驚異的なのは、このときのパーカー・ソーラー・プローブの飛行速度は時速69万キロ。これは東京からアメリカの首都ワシントンDC間を1分以内で移動できる速度だと言います。
それほどの速度でないとパーカー・ソーラー・プローブは太陽の重力に引き込まれてしまうワケであり、この速度まで到達するために、金星の重力を利用したフライバイ(重力アシスト航法)を計6回行っています。

「Image Credit:NASA/SDO. GRAPHIC: Daisy Chung, NGM STAFF SOURCE: Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory」
これまで何度も太陽への接近を試みているパーカー・ソーラー・プローブですが、現段階ではデータ収集を行っており、そのデータをもとにこれから謎の解明へと進んでいきますが、同探査機のミッションはまだ続き、最終的には26回の太陽接近を行う予定で、今回ご紹介した616万キロまでの接近は22回目。
太陽の謎解明に向けてまだまだミッションを遂行するパーカー・ソーラー・プローブ。それは巨大にして複雑な活動を見せるこの恒星がどのようにして進化して来たか?そして地球のような生命溢れる星をどのようにして育んで来たのかも、同探査機が収集するデータは非常に重要なモノになって来ます。
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