太陽系の外惑星探査を主な目的として計画されたアメリカ航空宇宙局・NASAの「ボイジャー計画」
このボイジャー計画には、ボイジャー1号と2号の2機の惑星無人探査機が打ち上げられました。
ボイジャー1号は外惑星探査のミッションを終え、2013年6月に太陽圏を脱出されたことが確認され大きな話題となりましたが、もう一機の探査機であるボイジャー2号の現在位置はどこなのでしょうか?
ボイジャー2号もまた惑星探査を終えて、太陽系を離脱すべく星間ミッションに旅立ったハズです。
1号と同様に、この2号探査機についてこれまでの探査軌跡と現在どこを飛んでいるのかについて調べてみました。
ボイジャー2号は1977年8月20日に、外惑星(木星、土星、天王星、海王星)の探査、及び太陽系外の星間ミッションを任務として打ち上げられました。
なお、ボイジャー1号の外惑星探査は木星と土星、そして大気の存在が確認されている土星の衛星「タイタン」を探査し、その後星間ミッションへと旅立って行きましたが、ボイジャー2号は木星と土星、さらに天王星、海王星の探査も計画されていました。
ボイジャー2号探査ミッションの軌跡
ボイジャー2号は1977年8月に地球を出発してから、次のような探査軌跡を通り、ボイジャー1号以上に探査を重ね、いくつもの大きな発見をしています。- 1979年7月:木星ミッション
木星の最も大きな特徴である大赤斑が反時計回りで回転していることを確認し、さらに新衛星「アドラステア」も発見しました。 - 1981年8月:土星ミッション
この星のミッションでは土星の大気の観測を行い、温度及び密度分布を測定。 - 1986年1月:天王星ミッション
人類史上初めて天王星に最接近したのがボイジャー2号。この探査により天王星の環や磁場を観測。さらに新たな衛星も10個発見しました。 - 1989年8月:海王星ミッション
海王星もまたボイジャー2号が初めて到達した惑星。大気の観測と衛星トリトンの観測を行いました。
ちなみに詳しくは、ボイジャー2号の軌跡を追った動画が制作されていましたので参考までに。
星間ミッションへの出発~現在地は?
海王星までの探査を終えたボイジャー2号は、衛星トリトンの引力を使いスイングバイを敢行しています。それにより軌道変更と加速に成功し、そのまま太陽系外へ向かう航路を取りました。
ちなみにスイングバイとは、惑星や衛星などの引力・公転運動を利用して探査機の軌道修正と加速または減速を行う航法の事です。
◆参考動画:【スイングバイ解説CG】
そして気になるボイジャー2号の現在地ですが、太陽系の一番外側を公転する海王星を離れて30年以上経過しています。
かなり地球から遠く離れたため、ボイジャー2号が発する微弱な電波を捉えるのは難しく位置を特定するのに難航しているとの事。
それでも地球に電波を送り続けているので、技術者達は必死でその動きを追っています。
2018年時点でのボイジャー2号の現在地については、太陽からの距離約178億キロを太陽圏外に向けて飛んでいるとのことです。
「Image Credit:Wikipedia」
「上図意味解説」
・末端衝撃波面(Termination Shock):太陽風と恒星間風(恒星間ガス、星間物質)と衝突している境界面。
・ヘリオポーズ(Heliopause):太陽風と星間物質、磁場の境界面。
ボイジャー2号も1号同様、太陽系圏を脱出しており、地球との最期の交信の手段であるバッテリーも2030年には尽き、その後は交信が途絶え行方不明になる運命です。
ボイジャー計画の最終目的
ボイジャー計画の最終目的は、地球外知的生命体とコンタクトを取ることです。そのため、ボイジャー1号、2号、及び1972年に打ち上げられた木星探査機パイオニア10号に、いつか出会うかも知れない地球外知的生命体に向けたメッセージが積まれています。
【人類からのメッセージが収録されたゴールドディスク】
「Image Credit:NASA」
このメッセージには「地球の音」として世界各国の民族音楽や、あいさつの言語、また地球の位置を示す地図などが収録されています。
もし地球外知的生命体が存在していたとしても、このメッセージを受け取ることは皆無に近いと思いますが、それでもロマンを求めて一縷の望みを賭けて、ボイジャー号とパイオニア10号は遥か宇宙の彼方に向けて飛んでいます。
ただ、現時点でこのメッセージを受け取る可能性があるのは、遥か未来の人類。
つまり、太陽系外へ進出出来るようになった未来の人類が、タイムカプセルとしてボイジャー号を回収してくれることを期待しているのかも知れません。