最近メディアやネット等の情報ツールを通じて、今後、人類が火星に移住をしようとする計画がチラホラ聞こえて来ます。
これはとても夢のある話で、そのような時代が来るのを楽しみにしている人も多いかも知れません。
しかし、そんな夢のある計画に対し「現実的ではない!」「火星移住って不可能!」という声も多くあるのも事実です。
でも何故、夢のある話を壊すような声が挙がっているのでしょうか?
実は地球とはあまりにも違う過酷な火星の環境があり、その環境下での植民の実現については大きな疑問符が付くという火星の現実があるのです。

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人類火星移住計画とは?

「人類火星移住計画」と聞くと、一見、荒唐無稽でSFの世界の話のように思えますが、21世紀の現代において人類は本格的に火星の開拓に乗り出そうという計画があるそうです。
それは将来において、人口増加や環境破壊、資源の枯渇など地球が危機に陥った時、もしかしたら人類は地球を離れ、第二の地球に移住しなければならなくなるかも知れないという危惧もあるとも言われており、そんな場合に第二の地球候補として最も有力なのが火星なのです。

「Image Credit:Wikipedia」
ですが何故、火星が人類移住の有力候補なのでしょうか?

例えばそれは、火星が地球のお隣りの惑星で近いという事であり、火星には微量ながら大気や水が存在する事といったおおまかな理由があるようです。
しかし、火星に人類が移住し、その地で長く植民し続けるにはあまりにも困難な問題点があることは否めません。
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火星が第二の地球になれない5つの問題点とは?

太陽系で、最も地球に近い環境の天体が火星であることは間違いありません。
しかも火星は地球に近くて、人類が移住するにはこの惑星が最も適していると言っても良いかも知れません。
ただ現実はそう甘くなく、実際に火星に移住するとなればいくつかの大きな問題点をクリアしないといけないと考えられています。

火星移住の問題点①:「近くても簡単には行き来できない。

太陽系の惑星の中で、火星は地球のすぐ外側に位置する言わばお隣りの惑星です。
しかし、お隣りとは言え現在の技術で人類が火星に行くにはかなり遠く、宇宙船で最短のコースで火星に向かったとしても半年はかかるとされています。
ちなみに、地球と火星の距離はお互いが太陽の周りを公転しているため、その軌道の関係で距離は近づいたり離れたりしているため、最短で約8,000万キロ。最長で3億キロ以上も離れる事もあります。

「Copyright ©:国立天文台 All rights reserved.」
つまり、火星に行こうと思ってもいつでも行けるワケではなく、地球と火星が接近するタイミングを狙わないと移動にかかる時間も長くなりますし、宇宙船の燃料も多く必要になるということになります。

火星移住の問題点②:「磁場が存在しない。

地球には強力な磁場(地磁気)が存在し、太陽からやって来る有害な高エネルギーの粒子(太陽風)から地球に住む全生物を守ってくれており、、磁場は生命が存在するためには無くてはならないモノです。

「Image Credit:気象庁 地磁気観測所」
しかし、この生命維持に重要な磁場が火星にはほとんど存在しません。
これにより、火星の大気は希薄になり、さらに太陽からの有害な放射線が容赦なく降り注ぐ結果となっています。

火星移住の問題点③:「超希薄な大気

火星には大気が存在します。しかしそれは超希薄であり、平均の大気圧は750パスカル。これは地球の大気圧の100分の1以下になります。
当然ながら、この大気圧では生身のカラダで火星の大地に立つことなどできません。

「Image Credit:火星の大気(Wikipediaより)」

火星移住の問題点④:「有毒な土壌

もし、火星で生活するとなれば食料を自給自足するため火星の土壌を利用して作物を作る必要があるかも知れません。
しかし、最近の研究結果では火星の土壌成分は極めて有毒である事が判明し、生命力の強いバクテリアや細菌レベルでも生存存在できないほど毒性が強いと言います。

「Image Credit:赤茶けた火星の地表(NASAより)」
また、火星には水(氷)も存在することが分かっていますが、土壌が汚染されているとなれば水も汚染されている可能性が極めて高いと考えられます。

「Copyright ©:European Space Agency, ESA All rights reserved.」

火星移住の問題点⑤:「長期滞在に致命的な?!低重力

人類が火星で生活するにあたり、最大の問題点は地球の3分の1程度しかない重力なのかも知れません。
つまり、体重が60キロの人が火星に行くと20キロほどになってしまうワケです。

「Image Credit:場所によってバラつきがある火星の重力マップ(MIT/UMBC-CRESST/GSFCより)」
一見、重力が低いとカラダも軽くなり、荷物も持ちやすくて便利になるのでは?と思うかも知れませんが、この低重力は短期滞在ではさほど問題にはならないとしても、人間のカラダが地球の重力に適応して創られている事もあり、3分の1しかない火星の重力下で長期間生活すると人間の身体に異変が起き、筋力の低下はもちろんの事、骨や内臓、さらには脳まで機能が低下してしまうと考えられます。

火星が第二の地球になるための条件とは?

火星で生活するには、他にも多く問題点があるとされています。
例えば、地球以上に多く降り注ぐ隕石。
大気の薄い火星では、隕石も大気摩擦で燃え尽きることが少ないため、地表に落下することが多くこれが危険な爆弾となり兼ねません。

「Image Credit:火星のクレーター(ESA/DLR/FU Berlinより)」
そんな危険と隣り合わせの火星に移住するにはどうすれば良いかと考えられているのが、長期的構想ではありますが火星の地球化計画~テラフォーミングです。
その方法としてNASAが構想しているのが、以下の3段階の方法で火星を地球の環境に近づける事です。

火星テラフォーミング①:「人工磁場を造る

火星と太陽の重力が均衡するラグランジュ点(L1)に、人工的に磁場を発生する装置を設置することで火星の大気を守るシールドを造ることが出来るとの事。

「Image Credit:火星を守る人工磁場のイメージ(NASA/Jim Greenより)」
この人工磁場発生装置は、技術的にも実現は可能だと言います。

火星テラフォーミング②:「人工太陽を造る

地球よりも太陽から離れている火星。そのため地表の平均温度はマイナス40度以下です。
そんな極寒の火星の地表を暖め、さらに大気圧を上げるために取る方法として人工太陽を造る構想があります。

火星の人工太陽とは?
火星の衛星軌道上に巨大なミラーを設置し、ミラーで太陽光増幅して地表を暖め火星の氷を溶かし海を造り、水蒸気を発生させ酸素をつくり温室効果を高めるという惑星規模での壮大な計画のようで、これにより大気圧を地球に近づけ温暖な気候を人工的に作り上げると言います。

火星テラフォーミング③:「最初の移住者は藻から

人工磁場と人工太陽で、火星の環境を地球に近づけたといっても、スグに人が住めるワケではありません。
そう!汚染された火星の土壌を改良しないといけません。
この方法は、まだ具体的な構想は出来ていませんがおそらく長い時間をかけて土壌改良を行っていくものと考えられます。
そんな土壌改良がある程度進んだら、まずは生命力の強い藻を地表に繁殖させ、肥えた土壌を作り、他の植物が生息できる環境を造ってから人類を植民させるとの事。

この3段階のテラフォーミング計画は、早くても数百年はかかり、途方もない時間が必要とされています。

「Image Credit:テラフォーミングで地球化された火星の想像図(Wikipediaより)」

テラフォーミングでもどうにもならない火星の重力

仮に火星のテラフォーミングに成功したとしても、どうにもならないのが地球の3分の1の重力。
火星で生活するには、移住者そのものが3分の1の重力に適応するしかないでしょう。
そんな火星に適応したカラダで、地球に里帰りしたとしても、今度は地球の環境に押しつぶされることになるでしょう!?

つまり、火星に移住するとしたら、火星に永住する”火星人”になる覚悟が必要になるのではないでしょうか。
ただ、テラフォーミングとは、遠い未来の話です。
もしかしたら、未来の人類は、火星の低重力を克服できる医学が進んでいるかも知れませんね。
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