地球の周辺には「潜在的に危険な小惑星(PHA)」と呼ばれる小天体が数多く存在しているとされています。
これらは、地球に衝突する可能性がゼロではなく、将来的に地球に被害を与えるリスクがある存在として危険視されている天体たちで毎年のように発見されており、今回もまた危険度の高い小惑星が発見されたとの事。
ですが、新たに発見された小惑星を含め「潜在的に危険な小惑星」は、どれほどの確率で地球に衝突する可能性があるのでしょうか。

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新発見の「潜在的に危険な小惑星」とは?

今回(2022年1月)発見された「潜在的に危険な小惑星(PHA)」は、「2022AP7」と呼ばれる地球の公転軌道と軌道が交差する可能性がある小惑星で、大きさは1.5キロ程ので約5年の公転周期持っている天体だと言います。

「Image Credit:小惑星2022AP7の軌道(Wikipediaより)」
この小惑星は近年で発見された「潜在的に危険な小惑星」の中では最大とされており、地球の軌道と交わっている事で将来的に地球に衝突する可能性があると危険視されています。
ただ、これらの小惑星は重力の大きな惑星に影響を受け軌道がズレる可能性もあり予測を立てる事は難しく、近い将来の危険性はないとされていますが長期的な視点で考えると楽観は出来ないと言います。

直径1.5キロの小惑星が地球に衝突したらどうなる?

小惑星「2022AP7」は地球の軌道と交差していますが、現時点では地球との最小交差距離は750万キロ(地球~月までの距離の約19倍)だと考えられています。
この距離であれば、さほど危険視する必要はないかも知れませんが、前記したように今後軌道がズレる可能性もあるため、完全に安心できるものではないと考えられています。
仮に、直径が1.5キロもある小惑星「2022AP7」が地球に衝突した場合、衝突の衝撃で大気中に舞い上がった粉じんで地球が冷やされ、過去数百万年の間に起きたことがない規模で動植物が絶滅する恐れがあるとされていますが、おそらくは人類絶滅の危機があるほどではないと考えられます。

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小惑星の衝突から地球をどう守るのか?

今回発見された小惑星「2022AP7」の軌道は精度良く求められており、もし衝突の危険性が高まった場合、事前に対策を打つ事も可能だと言います。
ではその事前対策とはいったいどんなモノなのでしょうか?
それは2022年10月に行われたNASAの「DART計画」が大きな意味を持つ事になります。
DART計画では、NASAが打ち上げた500キロほどの重量の探査機を貯系160メートル程の小惑星に衝突させる実験を行い、見事に小惑星の軌道を変える事に成功しています。

「Image Credit:実験後、軌道が変わった小惑星の画像(NASA/ESA/STScI/Hubble(2022)より)」
実証実験で、人工物を小惑星にぶつける事で軌道を変える事が出来た事は、もし今後「2022AP7」のような天体が地球に衝突するような軌道を取った場合、人工物で軌道を変える事が出来る事が出来る事になります。
ただ、1.5キロもの大きさを持つ天体に対しては、かなりの質量の人工物を衝突させなければなりませんので、まだまだ課題は大きいと言えるでしょう。
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現実的に地球に危機が訪れるような天体衝突の可能性は?

現在、地球には毎年2万個もの隕石が降り注いでいると推定されていますが、そのほとんどは大気圏で燃え尽きてしまうか?燃え尽きず地上に落ちて来たとしても海上等に落下して、直接危害が及ぶような事はほとんどありません。
また、稀に大きな隕石の衝突もあり、10メートル程の隕石落下が及ぼす影響は広島型原子爆弾に匹敵する破壊力があるとされています。
つまり、もし10メートルの隕石が街中に落ちて来た場合、都市が壊滅する危険性も秘めているのです。

「Image Credit:iStock」
現在「潜在的に危険な小惑星」は数千個発見されていると言いますが、今のところ地球が危機に陥るような小惑星はないとの事ですが、今後発見されるかも知れない「潜在的に危険な小惑星」に危険が無いとは言えないかも知れません。
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