太陽系には、まさに「星の数ほど」と言っていいほど数多くの天体が存在し、その中にはとても不規則で奇妙な天体も多く、それらが観測技術の発展ともにいくつも発見されて来ています。
ここでは、そんな天体の中で奇妙でかつ面白いカタチをした星たちをいくつかご紹介してみたいと思います。
① ドクロのように見える?ハロウィン小惑星
太陽系で奇妙な天体を地球に近い順にご紹介して行くと、まずはこの小惑星ではないでしょうか。それは、画像を見ておわかりのように、まるでドクロのような実に不気味に見える天体。
「Image Credit:indiatoday」
これは、属にいう地球近傍天体と呼ばれる地球に接近する軌道を持つ天体で、正式名称を「2015TB145」の直径600メートル程の小惑星です。
この小惑星は、おそらくかつては彗星であり塵やガス等の彗星成分を流出し尽くした成れの果ての姿だと推測されており、ドクロのように見える形状から「ハロウィン小惑星」や「スプーキー(不気味)」という別名のある小惑星です。
もちろん、小惑星そのものがドクロのようなカタチをしているワケではなく、見る角度からそのようなタカチになるワケで実際のレーダー画像によるとそれがよくわかります。
「Image Credit:Wikipedia」
わずか600メートルほどの小惑星の画像がこれほどハッキリと捉えられた理由は、2015年に地球から約486,000キロという距離まで接近したことであり、このときは地球に衝突する可能性も捨て切れない非常に危険な状態だったと言います。
なお、小惑星「2015TB145」が地球に接近する周期は1,112日ですが、これほどまで接近したのは2015年だけで、今後は当面の間は地球に危険を及ぼすことはないとされています。
② まるでUFO?土星の衛星「パン」
2017年9月。私たちに土星の様々な姿を見せてくれ、惜しまれつつその任務を全うした探査機「カッシーニ」が捉えた土星の衛星・パン。カッシーニは衛星・パンに約2万5,000キロまで接近し、そのときに撮影された姿がコレです。
「Image Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute」
画像を見ておわかりのように、まるで空飛ぶ円盤UFOのような形状をしている天体「パン」は、衛星としては非常に小さく直径約30キロほどしかなく、現在確認されている土星の衛星の中で最も土星に近い距離を周回(公転周期:約14時間)しています。
ちなみに、衛星・パンは土星に近いというだけあって土星のリング(環)の中を公転しており、そのリングで目立つ大きな間隙・エンケの間隙は衛星・パンの影響によって作られたモノと考えられています。
「Image Credit:Wikipedia」
③ 環を持つ小惑星「カリクロー」
太陽系の天体の中で、土星のようにリング(環)を持つ天体はいくつかあり、それは土星以外では木星であったり天王星、海王星等巨大な重力を持つ惑星にだけリングは存在すると考えらて来ました。しかし、そんな定説を覆したのが直径が300キロにも満たない小さな天体小惑星・カリクローです。
「カリクロー」は土星と天王星の間の軌道を公転するケンタウルス族と呼ばれる小天体群の中にある小惑星で直径が約260キロほどと、小さな天体と言う事もありそれほど大きな重力は持たないと考えられているのですが、にも関わらず二重のリング(環)を持っていることが確認されています。
「Image Credit:カリクローの全体想像図(左)とカリクローから見た環の想像図(右)(Wikipediaより)」
また、小さな小惑星がリングを持つ要因のひとつに衛星の存在もあるのでは?と考えられており、カリクローはリング以外にも衛星も従えている可能性が高いと推測されているのです。
④ 太陽を逆行する小惑星「ディオレッツァ」
地球を含むほとんどの天体は太陽の周りを反時計回りで公転していますが、中にはその反対方向に逆行している天体もあります。その中のひとつで、史上初めて逆行小惑星として1999年に発見された「ディオレッツァ」。
ディオレッツァは直径が200キロ弱の小惑星で非常に細長い楕円軌道を持つことでも知られ、その楕円軌道は、最も太陽に接近する近日点が火星と木星の軌道上にある小惑星帯で、最も離れる遠日点が海王星軌道の外側のエッジワース・カイパーベルトにあります。
「Image Credit:ご覧の動画はディオレッツァではなく同じく木星に接近する小惑星「2015 BZ509」の軌道です。(Wikipediaより)」
ディオレッツァをはじめ多くの逆行天体は、木星など巨大な重力を持つ惑星に接近する軌道を持っており、軌道が逆行する原因となったのが巨大惑星による影響があるものと考えられています。
⑤ 太陽外から飛来した天体「オウムアムア」
2017年にエイリアンの宇宙船説まで飛び出して話題となった「オウムアムア」こと「A/2017 U1」。オウムアムアは発見当初、太陽系外縁部からの長楕円軌道を持つ小惑星か?と考えられていたのですが、詳細な調査で太陽系の外からやって来た恒星間天体であることが判明し、観測史上初の恒星間天体として大きな注目を集める事となったのは記憶に新しいところではないでしょうか。
「Image Credit:オウムアムアの想像図(Wikipediaより)」
この天体については、直径400メートルほどの奇妙で細長い形状をした天体だけに、太陽系外からやって来たエイリアンの宇宙船ではないか?とも、オカルト的な情報も流れたりしましたが科学者たちはこれを完全否定し、炭素を多く含んだ彗星に似た小惑星であるという事を正式発表しています。
現在、秒速44キロという猛スピードで太陽から遠ざかりつつあるオウムアムア。
このスピードなら太陽の引力を振り切るモノと考えられ、いずれは太陽系を離脱しまた宇宙空間を放浪する旅に出ると推測されています。