星空を眺めていると無数の星が瞬いていますが、その中で火星や木星、土星など太陽系の惑星がどこにあって、肉眼ではどんな明るさで見えるのか?なんて、一般の人にはあまりわからないのではないでしょうか。
そこでここでは、太陽系惑星の肉眼での探し方と、明るさ、時期的にどのように見えるのか等について解説してみたいと思います。

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太陽系惑星の明るさ等級ランキング

自ら輝く恒星と違い惑星は太陽の光を反射して輝いて見えます。
そのため、基本的にはより地球に近い順に明るく見え、さらには太陽光を反射する角度(満ち欠け)によって明るさに変化があるのが惑星です。

「Image Credit:Wikipedia」
そんな明るさに変動がある惑星の光度の順位は次のとおりとなります。

第1位:古くから親しまれている最も明るい星・金星

金星は太陽系第2惑星で、第3惑星の地球に最も近い惑星でもあり、地球に最も接近したときの距離は約4,000万キロにもなり、「明けの明星」「宵の明星」と別称で呼ばれるほど明るく見え、海外ではその美しくも見える明るさから”美の女神ビーナス”とも称されるほど、古の昔から広く人々に知られている天体でもあります。
地球から肉眼で見える金星の光度は平均で約-4等級。最大光度では-4.7等級にもなる非常に明るく見える天体です。

「Image Credit:明けの明星(Wikipediaより)」
ちなみに金星の最大光度は、太陽以外で全天で最も明るく見える「おおいぬ座」のシリウス(-1.5等級)の約20倍にも匹敵するほどで、空を見上げれば一目でわかるほど明るく輝いて見えます。
しかし、金星を観測するチャンスは明けの明星、宵の明星と呼ばれるように明け方や夕方のみとなってしまいます。
金星が夜見えない理由
星の観測と言えば真っ暗になった夜に見るのが一般的ですが、そんな暗いとき最も明るく見える金星を見れば、素晴らしい観測が出来るのでしょうが残念ながらそれが出来ないのが金星です。
金星を見る事が出来るのは夕方、もしくは宵の内、そして明け方のみであり、理由は金星が地球より近い軌道を公転しているからで、地球から見ると金星は常に太陽に近い方角に位置しており、そのため、太陽が沈んだ直後(夕方)や日が昇る前(明け方)に観測は限定してしまう事になるのです。

「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」

第2位:地球のスグ外側を公転する赤い星・火星

火星は金星に次ぐ地球に近い惑星で地球との最接近時の距離が7,528万キロで、この時の明るさが最大光度で-3.0等級。になり、地球から最も遠く離れた最遠の時の明るさが1.6等級程と明るさに大きな違いがあるのも火星観測の特徴でもあります。
ちなみに、地球と火星の公転サイクルで、お互いの惑星同士が最接近するタイミングは2年2カ月毎に訪れますが、ただ、必ずしも2年2カ月毎に最大光度で火星を見れるワケではなく、火星は楕円軌道で太陽を公転しているため、地球との最接近時でも、少なからずその距離に差が生じてしまいます。

「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
また、火星は地球の外側を公転する惑星のため、見える方角は基本的に太陽とは逆方向になり、夜に見える方角は時間が進むに連れ東の空から西の空へと移動して行きます。
なお、火星の観測についてはやはり2年2カ月毎に訪れる最接近時がおすすめです。

「Copyright ©:国立天文台 All rights reserved.」
● 参考サイト:【火星最接近年表(国立天文台)

第3位:太陽系最大の惑星・木星

明るく見える惑星第3位の木星は、地球から6億キロ以上も離れていますが巨大な惑星のため火星に匹敵するほどの光度(最大光度-2.9等級)で見る事が出来ます。
夜空でも際立って明るく見える木星は「夜半の明星」とも呼ばれるほどで、木星もまた地球の外側を公転する外惑星ですので、見える方角は東~西方向になり明るい星のため多少の街明かりがあったとしても見る事は可能でしょう。
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市販の望遠鏡でも木星とガリレオ衛星が見える
夜空で目立つ星・木星は天体観測でも格好のターゲットになり、観測環境によっては特徴的な木星の縞模様も観測出来、有名なガリレオ衛星(イオ・エウロパ・ガニメテ・カリスト)の観測も可能です。

「Image Credit:木星と4つのガリレオ衛星(Wikipediaより)」
なお、木星とガリレオ衛星のは市販の天体望遠鏡でも見る事が出来、比較的安価で購入出来る天体望遠鏡でも倍率を20倍~40倍に変更すれば以下のような木星の観測が出来るようになります。

「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」

第4位:観測が難しい・水星

水星は明るさでは第4位ですが、金星よりも太陽に近いため、かなり難易度の高い観測になってしまいます。
水星の最大光度こそ-2.6等級ですが、太陽光で見えにくい事と見える位置が非常低空のため、観測時間と場所が限られてしまうのが難点です。
水星観測でのオススメは、日の長い夏場。さらに日の出30分程前の東の空が見頃になるでしょう。

「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」

第5位:素人では探すのがチョット難しい?~土星

土星も最大光度が-0.4等級とかなり明るいのですが、一般の人にはチョット難易度のある天体です。
土星の観測時期は主に夏場で6~9月頃の南の空で、それほど高い光度ではないため街明かりや月明かりがあると探しにくくなってしまいます。
また、土星と言えばあの有名なリング(環)を思い浮かべると思いますが、さすがに肉眼で土星のリングを確認する事が出来ませんが市販の天体望遠鏡なら十分に環の観測は可能です。
ただ、観測時期によっては土星の傾斜角の問題で、環がハッキリ見えない時もありますので注意が必要です。

「Image Credit:時期によって見え方が違う土星(星空の散歩道)より」

第6位:天王星 第7位:海王星は観測難易度大!

太陽系惑星で明るく見える天体の6位が第7惑星の天王星。

「Image Credit:Wikipedia」
そして7位が第8惑星・海王星です。

「Image Credit:Wikipedia」
残念ながらこの2つの惑星は地球から遥か遠くにあるため、天王星の最大光度が6等級で、海王星の最大光度が8等級とかなり暗いため、専門的な知識を持つアマチュア天文家ならともかく一般の人が観測するは非常に困難か?と思います。
ですが、もし一般の人が天王星や海王星を見たい!というのであれば、専門の星図(デジタル星図)をご利用してみるの良いかと思います。

惑星の探し方と観測時期

惑星は恒星と違って太陽を公転しているため、いつどこで見られるか?また、明るさ光度はどれくらいなのか?は、時期によってまちまちです。
単純な惑星と恒星の見分け方については知っている人も多いかと思いますが、瞬いて見えるのが恒星で、瞬かないのが惑星。という見分け方で、その理由は、恒星が地球から遥か遠くにあるため光の波長が弱いためであり、光のは波長が弱いと地球の大気の影響を受けやすく、大気の揺らぎで瞬いているように見えるワケであり、逆に近くにある惑星は光の波長が太いためあまり大気の影響を受けなくて済むためです。

とまぁ、そうは言っても「それだけでは探しにくい!」という方には、スマートフォン・アプリの星座表で探すと便利です。
● 参考サイト:【星座・天体 アプリランキング TOP10
スマートフォンの星座表は無料から有料版まで様々で有料版の方がより便利でしょうが、無料でもそこそこ正確にわかりますので一度使ってみると良いでしょう。

番外編:国際宇宙ステーションもかなり明るく見える!

人工天体ですが国際宇宙ステーション(ISS)もかなり明るく見え等級で表すと-4.7等級になります。

「Image Credit:Wikipedia」
国際宇宙ステーション(ISS)は上空約400キロの低軌道を約90分かけて地球一周しており、肉眼で見るとかなり速い速度で移動している事がわかります。

「Image Credit:地上から望遠でみたISS(ファン!ファン!JAXA!より)」
地球上空を高速で通過している国際宇宙ステーション(ISS)ですが、日本上空を通過する際の情報はJAXA宇宙航空研究開発機構H.P.で随時確認する事が出来ますので、情報を基に空を見上げればISSの動く姿を見る事が出来ます。
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