人類は、ついに太陽系外縁部まで探査機を送るまでになり、それを実現したのがNASAの無人探査機「ニュー・ホライズンズ」の活躍でした。
ニュー・ホライズンズは地球から遠く離れた冥王星まで到達し、これまで謎に包まれていた冥王星の様々な真実を伝えてくれました。
そんなニュー・ホライズンズは冥王星探査を終え、更なる太陽系の深部へ進路を取り航海を続けていますが、ニューホライズンズによって得られた冥王星の情報は今も解析が続けられ、最新情報が次々と公開されています。
そんな中、何と!冥王星に生命が存在するかも知れないという情報が流れて来たのです。
太陽から遠く離れ暗黒で超極寒の世界。生命とは無縁だと思われた冥王星にいったい何があるのでしょうか?
探査で明らかになった冥王星の概要
かつては、太陽系第9番目の惑星だった冥王星ですが、観測技術の進歩によって太陽系には冥王星と似た天体が次々に発見され、また衛星である地球の月よりも小さい天体だということ等の理由から、2006年より準惑星に分類されることになりました。「Image Credit:Wikipedia」
冥王星は大きな楕円形の公転軌道を持っていますが、地球からの平均距離は約48億キロと離れており、1930年の発見以降その全貌は謎のままでしたが、2015年に冥王星に到達したNASAの太陽系外縁天体無人探査機「ニュー・ホライズンズ」によって、少しずつ謎が解かれていくこととなりました。
冥王星の特徴的なハート形の地形の謎
地球からの観測では、見ることが出来なかった冥王星の地表の様子ですが、ニュー・ホライズンズによって、その独特な地表が撮影され大きな話題になっています。冥王星表面画像を見ると、すぐに目に飛び込んで来るのが特徴的なハート形の地形ではないでしょうか。
この場所を、冥王星の発見者であるアメリカの天文学者クライド・トンボー氏から名前を取って「トンボー領域」と呼び、何故このような地形が出来たのか?その調査が進められて来ました。
「Image Credit:トンボー領域(Wikipediaより)」
調査の結果、このハート形の地形は、冥王星創成初期の40億年以上前に他の天体の衝突によって形成されたモノだという事が判明し、凄まじい衝突の衝撃によりハート形地形の基となる巨大なクレーターを形成し、さらには冥王星の地軸を傾けるほどだったと考えられています。
ハート模様の地下深くに生命の可能性?
トンボー領域は、ゴツゴツした岩肌やクレーター等あまり見られず一見穏やかな地形のようにも思えますが、その地下は活動が活発で冥王星が生きている証明になっていると考えられています。NASAが公開した冥王星のトンボー領域で見られるなだらかな地形も、地下から湧き上がって来る窒素の氷が表面に到達し、地表のクレーターなどの凸凹を消し去ったことで、このような地形が保たれていると考えられています。
またこの領域にはアンモニアも含まれていることが判明しており、このアンモニアが不凍液の役割をして地下で液体状の水が存在するとも考えられ、地下に液体となった水があるとすれば、そこに生命がいるかも知れないという期待も捨てきれないワケで、今後の更なる調査結果が待たれることとなりそうです。
太陽系で地球以外は地下に生命が存在する可能性アリ?
これまでの太陽系探査で、火星以外は全て衛星の氷の下に生命がいる可能性が示唆されており、木星の衛星「エウロパ」や土星の衛星「エンケラドゥス」がその代表的な例です。「Image Credit:Wikipedia」
これらの生命存在の可能性がある天体は地表は氷で覆われており、地下に潮汐力等の地熱で氷が溶け、液体の海が広がっている可能性が高いとして期待されているのですが、冥王星の場合もまた地下に生命存在の可能性があるとされています。
しかし、冥王星の場合、あまりにも太陽から離れていることもあり、そこに生命が宿る可能性は低いのでは?との意見があるのも事実で、エウロパやエンケラドゥスに比べると期待度はかなり低いのですが、それでもゼロではない!というのが専門家の考えだそうです。
そして、この太陽系外縁天体に再び探査機を送るかどうか?も議論の対象になっており、もしかしたら今後数十年間は「ニュー・ホライズンズ」が冥王星に到達した最初で最後の探査機になる可能性もあり、そうなれば、これ以上の生命探査は進まないことも考えられます。