観測技術の向上により、次々に発見される天体たち。その中には太陽系の惑星が持つ衛星も含まれています。
そんな中、圧倒的な衛星数を誇っているのが、2つの巨大ガス惑星である木星と土星ですが、今回、土星において新たな衛星が一気に発見されて話題になっています。
その数何と!128個。この大量発見で土星の衛星数は、木星の95個を遥かに凌ぐ合計274個に!驚きの衛星数ですが、いったい何故、土星にこんなにも衛星が存在するのでしょうか?

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新たに発見された128個の衛星たち

太陽系の巨大ガス惑星として知られる木星と土星。この2つの惑星は重力も強大で、それ故に従える惑星の数も他の惑星と比べると圧倒的に多く、これまで木星と土星が衛星数を競い合っていたのですが、観測を続ける毎に土星の衛星数が増え続け、2019年から2023年にかけて一気にその数が増え128個もの衛星を新たに確認。つには木星の衛星数95個を遥かに凌ぐ274個もの衛星が土星には存在している事が判明し、他の惑星が追随出来ないほど圧倒的な衛星数を誇る惑星になっています。(以前に紹介した記事での総数は145個(2023年記載))

「Image Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
ちなみに、これほどまでに衛星を持つ土星は、他の太陽系惑星が持つ衛星の数を全て合わせてもその数は足りず、ほぼ2倍に匹敵すると言います。
またこれらの衛星たち全ては「不規則衛星」と呼ばれる天体で、土星の強い重力によって捕獲されたと考えられており、それらほとんどが公転軌道が歪で極端な楕円軌道を描いていたり、中には逆行軌道を描いている衛星もあると言います。

「Image Credit:新たに発見された土星の衛星の軌道図 X(N@tony873004より)」
また、新たに確認された衛星の多くは直径が数キロメートルとかなり小さく、土星の赤道を基準に非常に大きな傾斜角軌道を公転しており、土星との距離は1,050万~2,900万キロメートルとかなり土星から離れた距離にある事が判明しています。

見つかった衛星たちのルーツとは?

太陽系惑星の中でも圧倒的に数が多い土星の衛星ですが、いくら土星が強大な重力を持つ巨大ガス惑星であったとしても、土星よりも大きく重力の強い木星の衛星数を遥かに上回っています。それは何故なのか?
その理由については推測の域ではあるようなのですが、土星はこれまで何度もも天体衝突を繰り返しており、そのひとつの証拠となるのが土星の象徴でもある大きく美しい環(リング)。

「Image Credit:Wikipedia」
土星に衝突、もしくは強大な重力で崩壊した天体が土星の環を形成し、もしくは、衝突した天体の残骸が土星の軌道上に残っている可能性、さらには太陽系の他の場所で衝突した大型天体の破片が土星の重力に捕らえられた可能性も研究者たちは示唆しています。
ちなみに、研究者たちの見解によると、これらの衛星の歴史は比較的浅く、多くは1億年程の昔に衝突した天体の残骸である可能性もあるとしています。
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見つかった衛星はほんの一部でまだまだ見つかる可能性も?!

過去に土星、もしくはその周辺で天体衝突があったとするならば、今回見つかった衛星はほんの一部であり、今後の観測次第ではまだまだ見つかる可能性もあり、一部の研究者の推測では「土星周辺には発見されるのを待っている衛星がさらに数千個あり得る」と話しています。


「Copyright c:BBC Earth Science All rights reserved.」

土星の衛星で再認識!太陽系惑星の衛星ランキングと主だった衛星たち

土星で新たに見つかった衛星たちは、ほとんどが数キロ程度の大きさで衛星というより小天体と言っても良いかも知れませんが、太陽系惑星には大きさが数百キロ~数千キロの衛星も多く存在しています。
そこでここでは、惑星が持つ衛星の数ランキングと主だった巨大衛星をいくつかご紹介します。
【太陽系惑星衛星数ランキング(2025年3月現在)】
  • 第1位 土星:274個
  • 第2位 木星:95個
  • 第3位 天王星:21個
  • 第4位 海王星:8個
  • 第5位 火星:2個
  • 第6位 地球:1個
現在(2025年3月時点)で太陽系惑星の衛星総数は416個である事が確認されており、その大半は数キロ~数十キロ程度の小天体なのでですが、木星や土星等の巨大惑星は地球の衛星・月以上の大きさやそれに匹敵する巨大衛星も従え、その中で主だった巨大衛星ランキング10位までを参考までにご紹介します。
「Image Credit:Wikipedia」
【太陽系巨大衛星ランキング】
  • 第1位 ガニメデ(木星の衛星):半径2,361.2キロ
  • 第2位 タイタン(土星の衛星):半径2,574.7キロ
  • 第3位 カリスト(木星の衛星):半径2,410.3キロ
  • 第4位 イオ(木星の衛星):半径1,821.6キロ
  • 第5位 月(地球の衛星):半径1,737.5キロ
  • 第6位 エウロパ(木星の衛星):半径1,560.8キロ
  • 第7位 トリトン(海王星の衛星):半径1,353.4キロ
  • 第8位 チタニア(天王星の衛星):半径788.9キロ
  • 第9位 レア(土星の衛星):半径765キロ
  • 第10位 オベロン(天王星の衛星):半径761.4キロ
これらの衛星の中には、木星の衛星エウロパやガニメデ、土星の衛星タイタンのように生命が存在する可能性を秘めた天体も存在しており、また、海王星の衛星トリトンは太陽系の大型衛星の中では唯一公転軌道が逆行している事でも知られ、何より地球の衛星・月は、他の衛星と比べる(惑星との比較)と極端に大きさや質量が大きく、衛星が惑星に与える影響は強大で、これにより地球の生命活動にも重要な役割を持っており、月のような衛星は太陽系でも類を見ない衛星である事は私たち地球生命にとっては非常に幸運な事でもあります。
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