ボイジャー1号と言えば、NASAが打ち上げた惑星探査機ですが、惑星探査を終えたボイジャーは現在、太陽系の外へ向かって飛行中で、打ち上げから約50年を経た今でも地球と交信を続けている運用中の宇宙機でもあります。
そんなボイジャー1号は今どこにいるのでしょうか?実は、もう間もなく人類史上初の偉業を達成しようとしているのです。

Sponsored Link

50年前に打ち上げられた旧世代の宇宙探査機「ボイジャー」

今から半世紀も前の1977年9月5日。深宇宙へ向け地球を旅だったNASAの宇宙探査機「ボイジャー1号」。

「Copyright c:Retro Space HD All rights reserved.」
この探査機のメインとなるミッションは、外惑星探査(木星と土星)でした。
木星には、打ち上げから約1年半後の1979年3月には到達し、木星の衛星や環、木星系の磁場や放射線環境などの観測を約1カ月間行い、次の目標である土星へ進路を向け、1980年11月に土星に到達。特徴的な土星の環や衛星等の観測に成功しています。
その後、第二の目的である星間ミッションへ向け進路を取ったボイジャー1号。そして今もなお運用している(2025年現在)超寿命な探査機なのです。
Sponsored Link

短期間で木星や土星に到達出来た「ボイジャー」

地球と木星の距離は最短で約5億8,800万キロ。ボイジャー1号は地球を出発してからわずか1年半、更に姉妹機であるボイジャー2号は2年弱で木星に到達し、さらに地球と木星の倍の距離(最短で約12億キロ)がある土星へは3年弱(ボイジャー2号は約4年)という、かなりの短い期間で到達しています。
ちなみに、ボイジャーから約30年後に打ち上げられた木星探査機は、木星到達まで約5年の歳月を要しているのに、旧世代探査機とも言えるボイジャーが何故、これほどまでに短期間で目的地まで辿り着けたのでしょうか?
その理由は、ボイジャー探査機が「グランドツアー計画」として打ち上げられた宇宙機である事にあります。

「Image Credit:ボイジャー1号2号の軌道(Wikipediaより)」
この計画は、木星・土星・天王星・海王星の4つの外惑星が1983年に地球から見てほぼ同じ方向に並ぶという、外惑星探査にはまたとない好機が訪れた事にあります。
この好機を最大限に活かすには探査機を1970年代後半に打ち上げる事にあり、計画の範囲内にボイジャー1号と2号は打ち上げられ、さらに2機の探査機の運用を駆使する事で、圧倒的に短縮した期間で4つの惑星を探査する事に成功しています。
Sponsored Link

短期間で海王星の外側の深宇宙へ抜け出たボイジャー1号のその後

姉妹機のボイジャー2号は土星探査の後、天王星、海王星へ向かっていますが、ボイジャー1号は土星軌道を離脱した後は、どこへも寄らずに星間空間へ進路を取っています。
そんなボイジャー1号の現時点での飛行速度は時速約61,000キロ。地球から月まで(約38万キロ)を約6時間程で行ける程の高速で飛行しており、2003年2月に太陽風が減速する事で、星間物質と衝突する末端衝撃波面を通過し、太陽風と星間物質が混ざり合う領域「ヘリオシース」に突入し、2012年8月には太陽風の届く限界面「ヘリオポーズ」を抜け、完全に太陽圏を離脱した事が確認されています。

「Image Credit:iStock」

地球から1光日の距離まで離れたボイジャー1号

ボイジャー1号は、人類が造った人工物として最も地球から離れた地点におり、2026年11月15日に人類史上初めて「地球から1光日(約259億キロ)」の距離に到達します。
つまり、地球を出発しておよそ50年の歳月を経て、秒速約30万キロで進む光が1日(24時間)かけて到達する距離まで、ようやくボイジャー1号は来る事が出来たのです。

「Image Credit:gettyimages」

ボイジャー1号が太陽系を脱出するまで気の遠くなる年月が必要

宇宙の距離を表現する時に良く使う単位が”光年”で、すなわち光が1年かかて進む距離を1光年というワケですが、地球から前人未踏の領域に到達したボイジャー1号は1光日。つまり、1光年の365分の1の距離に到達したに過ぎないのです。
となると、ボイジャー1号が1光年の距離まで到達するまでを単純計算すると「365日 × 50年」から既に到達した1光日を減算すると18,200年になり、ボイジャー1号が1光年進むのに約2万年かかってしまうという事になるのです。
Sponsored Link

しかし、仮にボイジャー1号が2万年かけて1光年の距離まで到達したとしても、まだ太陽系を脱出していないでしょう。
ボイジャー1号が既に通過した太陽系8番目の惑星・海王星が太陽系の端ではなく、太陽系はまだまだ広く、遥か外側まで続いていると考えられており、太陽系最外縁部には、氷は岩石を主成分とする無数の小天体で構成された領域「オールトの雲」が広範囲に広がっていると考えられ、地球から1光年先の外側の領域もまだオールトの雲の中ではないかと考えられています。

「Image Credit:オールトの雲の想像図(Vito Technology,Inc.より)」
そしてそのオールトの雲の領域を抜けると完全に太陽系を離脱した事になり、ボイジャー1号がその領域に到達するまでは、あと3万年以上は必要だとされています。

「Copyright c:NASA Space News All rights reserved.」

ボイジャー号の現在地がリアルタイムでわかるウェブサイト

史上最も地球から遠く離れた位置にいるボイジャー1号ですが、私たち人類からするととてつもないところまで飛んでいったという印象があるものの、宇宙レベルですると、まだほんの少ししか飛んでいないどころか、言い方を変えると太陽系の玄関先に出ただけに過ぎないという事になってなってしまうワケです。
それでもボイジャー1号、さらには2号も、これから少しずつ地球から離れて行き、やがては太陽系を脱出し、本当の意味で深宇宙の彼方へ消えて行ってしまうワケですが、現時点(2025年)ではまだ運用中ですので、ボイジャー号とは微弱な電波で通信出来ている状態です。
そんな運用中のボイジャー号の位置はNASAの公式サイトを利用すれば、私たち一般人でも知る事が出来ます。

「Image Credit:NASA/JPL-Caltech」
NASA・JPL(ジェット推進研究所)のウェブサイト(Mission Status)
リアルタイムで現在位置がわかるボイジャー号。しかし、もう間もなく燃料切れで通信が出来なくなり、その後はただの人工物として宇宙を漂う事になるのですが、それでも太陽系脱出に向けて足を進め、この公式サイトでは予測でボイジャー号を追い続けるのではないでしょうか。
Sponsored Link