またまた面白そうな動画を見つけました。
それは、国際宇宙ステーション(ISS)を超低空で飛ばせてみたら?というシュミレーション動画です。
宇宙空間ではその動きがあまりわからず、一見止まっているように見える国際宇宙ステーションも飛行機のように地球上で飛ばしてみるとどうなのか?
それは想像を絶する速度だという事が良く理解できる動画になって、とても面白いと思います。
まずは国際宇宙ステーション(ISS)について簡単に解説を
国際宇宙ステーション(International Space Station~略称:ISS)とは何なのか?ウィキペディア等で詳しい解説はありますが、結構長々とした説明となっていますので、簡潔に言うと国際宇宙ステーションとは「宇宙空間に浮かぶ人が滞在する無重力実験施設」です。「Image Credit:Wikipedia」
国際宇宙ステーション(以降、ISSと呼称)は1998年から建造が始まり、今は退役したスペースシャトル等で少しずつ資材やモジュールが上空400キロという地球低軌道に運ばれ、10年以上の歳月をかけて完成し2011年から本格運用が開始されている大きさがサッカーコート程(長さ108.4メートル、幅74メートル、体積1,200立方メートル、重量419トン)もある巨大な定員6人の人工衛星です。
このISSはアメリカが主体ではありますが、日本を含めた5つの国(他 ロスコスモス(ロシア)・欧州宇宙機関(ESA)・カナダ宇宙庁(CSA))多国籍共同プロジェクトで総工費1,500億ドルもの巨額を投じて運用されています。
「Image Credit:ISSの構成図(Wikipediaより)」
国際宇宙ステーション(ISS)を超低空で飛ばしてみたシュミレーション動画
前記もしましたがISSは地球上空400キロの高さに位置し、この地球低軌道上を秒速7.7キロメートル(時速27,720キロ(マッハ22.64))という速度で、地球を一周するのにたった90分しかかからない猛スピードで飛行し、地球を1日16周も周回しています。実際、ISSが飛行している様子はテレビ等でも観た事がある人は多いと思いますが、上空400キロという地球低軌道を飛ぶISSの動きはそれほど高速とは思えず、ゆっくりとしたスローモションのような動きにも見えます。
上↑↑動画でもかなり速い速度でISSが飛んでいる事はわかりますが、その速さはいまいちピンと来ないかも知れません。
ですが、もしISSが上空3,000メートルで飛んでいたとしたらどう見えるのか?それをCGにしてみたらこうなった!というのがコチラの動画です。
地上からISSが上空を通り過ぎる姿を見たとしても、あまりにも一瞬過ぎて瞬きする間に通り過ぎてしまうでしょう。
とは言っても現実的にはこのような事はあり得ないワケで、もし実際に上空3,000メートルの高さを時速27,720キロ飛んだとしたら、空気抵抗でISSは火の玉となってしまい、と言うかその前にあっという間に空中分解し燃え尽きてしまうでしょう。
そもそも何で国際宇宙ステーションは秒速7.7キロメートルで飛んでるの?
上空400キロの高さで秒速7.7キロメートルの超高速飛行をしているISS。でも何故、こんな速度で飛行する必要があるのでしょうか?実はISSを含め、地球軌道上を周回する人工衛星は秒速7.9キロメートル前後という「第一宇宙速度」というスピードで飛んでいます。
この「第一宇宙速度」とは、地球の半径に等しい円軌道を持つために必要な速度の事で、この速度に到達する事が出来れば地球の重力と等しい自由落下運動が生まれ、地上に落ちる事なく上空を周り続ける事が出来るようになります。
「Image Credit:宇宙航空研究開発機構 宇宙環境利用ガイドブックより」
ちなみに「第一宇宙速度」以外に「第二宇宙速度」と「第三宇宙速度」があり、「第二宇宙速度」は地球の重力を振り切るのに必要な速度を指しその速度は秒速11.2キロ以上で、惑星探査に出かける探査機等はこの速度を上回っている事になり、「第三宇宙速度」は太陽の重力を振り切るために必要な速度で秒速16.7キロ以上の速度となります。
国際宇宙ステーションが実際に大気圏に突入したらこうなる!
上空400キロの高度を飛んでいるISSですが、そこは完全な宇宙空間ではなく「熱圏」と呼ばれる地球の大気圏の中で非常に希薄ですが大気が存在しています。「Image Credit:宇宙航空研究開発機構 宇宙環境利用ガイドブックより」
そのためISSには空気抵抗が生まれ少しずつではありますが地球に落下しており、定期的にスラスターを噴射し軌道修正を行っています。
また、ISSの運用は2030年頃までと計画されており、運用終了後は意図的に地球に落下させ焼却処分する事になっています。
これ↑↑がISSを地球の大気圏内で飛行させた場合の現実であり、ISSでなくても濃い地球の大気に抗うと過酷な空気抵抗の洗礼が待っている事になるのです。