天文・宇宙に興味を持つようになったのをきっかけに、本格的に天体望遠鏡を買って、リアルな惑星の姿や銀河・星雲などの星空を眺めてみたい。
そんな願望を持っている天文初心者の方って結構いるのではないでしょうか?
でも、天体望遠鏡ってどんな種類や機種があるのか初心者にはよくわからないかも知れません。
それに値段も高くて使い方も難しいのではと思い、購入するのに二の足を踏んでいる人もいるのでは?
ですが、せっかく宇宙に興味を持っているのですから簡単には諦めないで下さい。天体望遠鏡ってそんなに難しくなく値段もお手頃なモノもあります。
最近では、宇宙に興味を持ち星空をおしゃれに眺め楽しむ女子。いわゆる「宙ガール(そらがーる)」なんてのも静かなブームになっているようです。
昔からの天文ファンの私としては、若い女の子が宇宙に興味を持ってくれるという事は、裾野が広がり非常にうれしい限りです。
「Image Credit:石垣島星空ファーム」
でも、天文ファンならそれなりにグッズも揃えておきたい!
となると、最初に思い浮かぶグッズは天体望遠鏡ではないでしょうか?
まずは天体望遠鏡の構造(仕組み)を学ぼう!
基本的に市販されている天体望遠鏡は、遠い天体から届く可視光をとらえるために造られた専用の光学式望遠鏡です。そのため、通常の望遠鏡とは少し構造が異なり、より遠くの目標物を見る事が出来るよう対物レンズ(主鏡)と接眼レンズ(副鏡)を組み合わせ、さらに目標物は地球の自転で動くため、それを追いかけるための架台も必要になって来ます。
そこで、まずは天体望遠鏡とはどのような仕組みになっているのか?図解によって簡単に解説します。
「Image Credit:Vixen」
- ①対物レンズ(主鏡)
対物レンズは、有効径が大きいほど多くの光を集められ明るい視野を確保する事が出来やすくなる特性があるため、より遠く(銀河や星雲、星団等)の天体を観測する際はなるべく有効径が大きい対物レンズを選択する事をおすすめします。 - ②鏡筒
望遠鏡の筒の部分ですが、鏡筒は目標物までの焦点距離を合わせる役目があります。 - ③ファインダー
ファインダーは低倍率・広視野の確保に使う小型望遠鏡的な役割があり、主望遠鏡と平行に取り付けて使用します。通常のファインダーには視野内に十字線が付けられてあり、その十字線の交点に目標の天体を導くと、狭い主望遠鏡の視野内でも見えるようになります。 - ④接眼レンズ(副鏡)
接眼レンズは取り外して交換が出来るようになっており、倍率を変える場合に交換して使用します。 - ⑤架台
架台は望遠鏡本体を支える台座ですが、地球の自転で常に動いている目標物の天体を追いかけるために、必要不可欠で重要な部品でもあります。 - ⑥三脚
天体望遠鏡本体を、安定して固定するために必要な部品です。
天体望遠鏡の種類は2つしかない
初心者の方が天体望遠鏡を選ぶ際、まず悩むのが「どんな種類があるの?」ではないでしょうか。選び方は基準はそれぞれで、利用者がどんな天体を見たいのかで選ぶ種類が変わって来ます。
例えばそれは、月のクレーターを見てみたい!だとか、土星の環を見てみたいとか、星雲や銀河など深宇宙を覗いてみたいなど目的はいろいろでしょう。
また中には、彗星や小惑星を発見してみたい!と考える強者な方もいるかも知れませんが、さすがに初心者が小惑星を発見するなど無理ですが、土星の環やアンドロメダ銀河などは初心者でも天体望遠鏡の選び方次第で十分に観測出来ます。
しかし、天体望遠鏡を買おうと思って量販店に出かけたものの、こんなに種類↓↓があれば何が何だかわからないのではないでしょうか?
「Image Credit:株式会社ミザールテック(Wikipediaより)」
そんなときに知っていてほしいのが、天体望遠鏡には基本的に2つの種類があるという事です。
それが「屈折式天体望遠鏡」と「反射式天体望遠鏡」です。
初心者向けは屈折式天体望遠鏡
屈折式天体望遠鏡は、対物レンズ(凸レンズ)で光を集める天体望遠鏡です。「Image Credit:Vixen」
初心者の方が良くイメージする天体望遠鏡のフォルムは、おそらくこのタイプではないでしょうか?
屈折式天体望遠鏡は、数枚のレンズを通して真っ直ぐに像が届く方式で、このタイプが天体望遠鏡としてはオーソドックスな事もありますので、初心者の方には屈折式が使いやすいと言われています。
また屈折式が使いやすい理由は、接眼部(覗き口)が目標物(天体)の方向に向いている事と、光軸調整(弱い光を放つ天体の光を1点に集める調整)が必要ないという事にあります。
つまり、倍率さえ合わせれば比較的目標物に焦点を合わせやすいというのが屈折式の利点で、初心者にも使いやすい理由になります。
本格的仕様の反射式天体望遠鏡
反射式天体望遠鏡は、凹面レンズを使って光を集める方式です。「Image Credit:Vixen」
反射式は口径も大きく、本格的な天文ファンはこのタイプを使っている人が多く、言わば玄人仕様の天体望遠鏡といっても良いかも知れません。
また、反射式は接眼部が前方の横向きに付いている事もあり、少々扱いづらい仕様になっているのも初心者向きではない理由とも言えるでしょう。
天体望遠鏡選びのポイントその1~レンズの口径
双眼鏡もそうですが、望遠鏡を選ぶ基準として倍率を見る人が多くいます。実は、望遠鏡を選ぶポイントとして倍率ではなく接眼レンズの口径が重要で、この口径次第で性能が決まると言っても過言ではないでしょう。
「Image Credit:口径毎の接眼レンズ(Vixenより)」
また、接眼レンズ(副鏡)を交換する場合は、単純にレンズの焦点距離が倍率に反映されるのではなく、対物レンズ(主鏡)と鏡筒の焦点距離を組み合わせて割ったものが倍率として反映されます。
例えば倍率を40倍にしたい場合なら。
対物レンズ(主鏡)と鏡筒の焦点距離が800mmだった場合、20㎜の接眼レンズ(副鏡)に交換します。
こうすることで 800mm ÷ 20㎜ ⁼ 40 → 40倍の倍率として望遠鏡が使える事になります。
このように、口径で言うとやはり有利なのが反射式天体望遠鏡で、反射式で口径の大きいモノを使う事で、特徴的な木星の縞模様や土星の環もクッキリ見る事が可能になります。
「Image Credit:土星の環と木星の縞模様と木星ガリレオ衛星(Vixenより)」
上画像は20cm口径の天体望遠鏡で撮影した土星と木星ですが、20cm口径だと価格も結構な高額になりますので、初心者の方にここまでのモノを選んで欲しいとは言いませんが、大気の状態など観測条件にもよりますが最低ラインでも、安価な8cm口径くらいなら土星の環も観測することは可能です。
天体望遠鏡選びのポイントその2~架台
天体望遠鏡選びで最も重要なのが、本体を支える架台です。天体望遠鏡で覗く天体は、日周運動(地球の自転)に合わせて常に動いています。
つまり、日周運動に合わせ天体に照準を合わせないと、目標物である天体はすぐに視界から外れてしまい上手く観測出来ないということになってしまいます。
この場合、照準を合わせるのに必要なのが架台なのです。
架台にも大きく分けて2種類あり「経緯台式」と「赤道儀式」があります。
お手軽簡単な「経緯台式」
「経緯台式」は手軽な価格で購入できますが、その分ちょっと使い方が面倒な架台です。「Image Credit:study-style.com」
経緯台式は水平方向と上下に動き、北極星を中心に水平、上下に架台を動かし目標の天体を追尾します。
最初は扱いづらい経緯台式ですが、慣れてくれば追尾もそれほど難しくありません。
何より、この架台はコンパトで安価。初心者向きと言えるかも知れません。
自動追尾「赤道儀式」
「赤道義式」は、事前に望遠鏡の向き(極軸)を北極方向に合わせて置けば、レバー(ハンドル)の微調整のみで目標天体を追尾出来る優れモノです。「Image Credit:study-style.com」
自動で追尾してくれるモータードライブを使用すれば、一度セットした天体を自動的に追尾してくれるので見逃すこともありません。
赤道儀式は非常に便利ですが、少々高価になってしまいます。
天体望遠鏡の価格は?
天体望遠鏡の価格帯は、当たり前ですが安価なモノもあれば、高価なモノもあります。安価な屈折式天体望遠鏡なら、経緯台式架台まで入れて2~3万円程度でも購入出来、反射式天体望遠鏡と赤道義式架台をセットでも10万円以下で販売されています。
●参考サイト:【天体望遠鏡売れ筋ランキング(価格.com)】
初心者におすすめの天体望遠鏡
初心者の方が、最初から高性能で高額な天体望遠鏡を購入する必要はないと思います。でも、それなりの性能がないと木星や土星、星雲や銀河などを観測することは難しいでしょう。
それには、やはり8cm口径以上の望遠鏡が必要になってきます。
ここでは、初心者におすすめの天体望遠鏡をご紹介。
まずは、屈折式天体望遠鏡なら人気の「ビクセン・ポルタIIA80Mf」
この望遠鏡の架台は経緯台式ですが、操作が簡単で初心者向け。
さらに、天体観測だけではなく日中の風景等も観察できます。
次に、反射式天体望遠鏡で本格的に天体観測をやってみたい初心者なら、「ビクセン・ポルタII R130Sf」が人気でおすすめです。
このタイプも経緯台式で、口径は13cm。
明るい視野が得られるので、星雲や銀河など光の弱い淡い天体も観測出来ます。
さらにお手軽で初心者におすすめの天体望遠鏡
もしかしたら「初心者なので、天体望遠鏡はまだ早い!?」と思っている方もいるかも知れません。そんな方には、もっと安価でお手軽な天体望遠鏡もあります。
スマホとでも合体の天体望遠鏡
スマホ天体望遠鏡は、スマートフォンに装着出来る簡易型の天体望遠鏡です。これは、1万円以下で購入でき、スマートフォンに装着し画像はスマートフォンの画面で見られるという優れモノ。
但し、この望遠鏡では土星の環など遠方の天体の詳細を観測することは難しいようで、月のクレーターなどを間近に見ることはできるので、入門編としては良いツールではないでしょうか?
双眼鏡でも天体観測は出来る
アウトドアグッズとして定番?の双眼鏡でも、天体観測は十分に可能です。しかしながら、天体観測をするにはそれなりの口径の双眼鏡が必要になります。
そこでご紹介するのは、8cm口径の双眼鏡「アークBR20×80WP(W)」
これに別売りの経緯台と三脚を取り付ければ、木星や土星などの太陽系天体、星雲や銀河なども観測出来ます。
天体観測初心者必須のスマホアプリ
天体望遠鏡を買って、火星や木星を見てみたいけど、どこにレンズを向ければいいの?要するに、初心者の方は観測したい天体がどこにあるのか良くわからないと思います。
そんな場合、非常に便利な無料アプリがあります。
それが「星座表」。
アプリを起動し、空にかざすだけでかざしている空の星の位置を正確に教えてくれます。
このアプリは、スマートフォンのAndroid版とiPhone版がありますので、お使いの機種に対応した星座表をダウンロードしてみると良いでしょう。
●参考サイト①:【星座表アプリ(Android版)】
●参考サイト②:【星座表アプリ(iPhone版)】
以上、天体望遠鏡の解説からおすすめ商品、スマホアプリまでご紹介しました。
これだけあれば、初心者の方でもスグにでも天体観測が可能です。
星空を眺めてみたい!と興味をお持ちの方は、参考にしてみてはいかかでしょうか?