先日、某国が実験に成功したと言われている水爆(水素爆弾)は、原爆(原子爆弾)と同じ核兵器ですが、その威力とは原爆とは比べモノにならないくらい凄まじい破壊力を持つ大量破壊兵器です。
しかし、水爆は恐ろしい兵器である一方、その原理を平和利用出来れば、今後の人類のエネルギー確保にも大いに役立つ可能性を持つ側面があります。
今回は、兵器としての水爆の解説ではなく、平和利用の方法についていくつか調べてみました。

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天文系のこのサイトで何故、水爆を話題に挙げるのか?
それは、原理が我々の母なる星・太陽のような自ら巨大なエネルギーを放つ恒星と同じだからです。

「Image Credit:Wikipedia」

水爆(水素爆弾)と原爆(原子爆弾)の違い

水爆は原爆と同じように核エネルギーを利用した兵器ですが、その原理は原爆とはまったく違うモノ。
原爆は、ウランやプルトニウムなどの重い元素を爆弾の中心に入れ、その周りを火薬で囲んで密封し火薬に点火することで発生する圧力で一気に中心に向け圧縮させることによりウランなどの元素が核分裂を起こし、そのエネルギーで凄まじい爆発を起こさせるという爆弾です。
なお、原子爆弾にはガンバレル(砲身)式とインプロ―ジョン(爆縮)式の2種類が存在し、第二次世界大戦末期に広島に投下されたのがガンバレル式で、長崎にはインプロ―ジョン式が投下されています。

「Image Credit:ながさきの平和公式H.P.より」
一方、水爆は原爆が核分裂なのに対し、逆の核融合を起こしたときに発生する膨大なエネルギーを爆弾として利用する方法で、水爆の材料は重水素になるのですが、この重水素の核融合させるには超高圧が必要となります。
そのため、超高圧を起こすための着火剤が原爆になり、原爆で核分裂を起こしたうえでさらに核融合も起こさせる。これにより発生する爆発エネルギーは膨大で、水爆の爆発の威力は、原爆の1,000倍以上にもなると言われています。

「Image Credit:iza.ne.jpより」

水爆の原理は太陽と同じ?

水爆の爆発のメカニズムは核融合です。つまり核融合で燃えている太陽と原理は同じという事で、太陽もまた中心部に水素があり、星自体の重力で中心部に超高圧が発生し水素が熱核融合反応を引き起こしますが、この核融合により膨大な光と熱のエネルギーを発生させ、我々の地球に生命を育ませてくれています。
そのエネルギーを兵器に転用してしまったのが水爆ということなのです。
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水爆の平和利用は核融合発電

賛否両論はありますが、原爆もまた原子力発電という人類の電力供給に平和利用されています。
原子力発電は有害な放射能の危険性はありますが、石油や天然ガスなどの温室効果ガスを出す化石燃料の発電とは違い、クリ-ンなエネルギー発電として注目されていたのですが、近年では利用を反対する声が大きいのが実態です。

「Image Credit:原子力発電所(Wikipediaより)」
原子力発電が使えないなら、火力や水力、地熱、太陽光、風力などの発電方法もあるのですが、人類全体の電力を賄うにはどうしても限界があり、さらに主力となっている化石燃料を使った火力発電などは、燃料である石油、天然ガスはいづれ枯渇すると言われています。
そうなると、新しい発電方法を模索する必要があり、その候補として考えられているのが、水爆の原理を使った核融合発電です。
しかし、瞬発的に莫大なエネルギーを発する水爆は作れても、持続してエネルギーを供給出来る核融合発電の技術は、残念ながらまだ確立されていません。

核融合の平和利用のヒントは月にある?

まだ技術は追いついていませんが、核融合による今後の人類のエネルギー源となる物質が月に眠っていると言われています。
それが「ヘリウム3」という元素で、核融合発電ではクリーンで安全性も高いヘリウム3を使うべきとされています。

「Image Credit:ヘリウム3の核融合発電の原理(「宇宙開発、21世紀の将来像」(宇宙開発事業団より)」
ヘリウム3は地球上にも存在するのですが、極めて微量しかありません。
しかし、月にはヘリウム3が大量に眠っていて、その量は人類が消費する全電力の数百年分を賄えるほどだと言います。
とはいうもの、月の開拓もまだ進んでおらず、具体的なヘリウム3を利用出来る核融合発電の技術も持たない人類。
現在の人類の電力供給に欠かせない化石燃料は、あと50年ほどで枯渇するという試算もあります。
そうなると、それに代わる代替エネルギー源を探すのが急務となるハズ。
いったい我々人類の未来、というよりそう遠くない未来はどうなるのでしょうか?
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