このサイトでも何度もお伝えしている情報。数年前から恒星としての寿命を終え超新星爆発を起こす可能性が高いとさせる赤色超巨星・ベテルギウスですが、現時点(2022年現在)では、まだその兆候は見られていません。
超新星爆発間近と言われているベテルギウスの超新星爆発はいつになるのでしょうか?
また、本当にベテルギウスは爆発するのでしょうか?
現時点の状況と、今後どうなるか?について、いくつか調べてみたいと思います。

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天文に詳しい人で「赤色超巨星・ベテルギウス」と聞けば、それがどんな天体なのか?良くご存じかと思いますが、天文に詳しくなくても、ある意味でここ最近になってかなり有名になった天体ではないでしょうか?。
ベテルギウスが有名なった理由。それはこの天体が太陽よりも遥かに大きな質量を持つ恒星であり、その恒星としての寿命をもうまもなく終えようとし、そしてその末路が超新星爆発という現象を引き起こすのでは?と考えられる事にあります。
さらもうひとつ。ベテルギウスが太陽系に比較的近い天体であるという事も、今ベテルギウスには注目が集まっている要因ではないでしょうか。
そんな注目のベテルギウスが寿命を終えた時の末路はどうなるのか?その事について、これから解説して行きます。

赤色超巨星ベテルギウスってどんな星?

ベテルギウスは、冬の代表的な星座・オリオン座にある1等星で、星座をカタチつくる重要なポジションに位置しており、さらには冬の大三角の一角を務める言わば冬の星空を代表する星でもあります。
オリオン座は有名ですので、天文に詳しくなくてもベテルギウスがどこにあるのか?冬の星空を見上げれば、簡単に見つけることは出来ると思います。

「Image Credit:YAHOO!きっず図鑑より」
そんなベテルギスとはどんな天体なのでしょうか?

まず、この天体の事を「赤色超巨星・ベテルギウス」と呼んでいますが、最初からベテルギウスは赤色超巨星だったワケではなく、以前のベテルギウスは私たちの太陽と同じように、恒星として正常な状態を保ちエネルギーを放出し続けていました。
しかし、恒星としてエネルギーを消費し続けるといずれはエネルギー源である燃料が尽きてしまいます。
現在のベテルギウスは、その燃料が尽きる寸前の状態にあり、それが原因でどんどん膨張を続け赤色超巨星に変貌してしまい、その直径を私たちの太陽系に置き換えると、半径6億キロ近い木星軌道付近まで到達する大きさまで膨れ上がっていると言います。

「Image Credit:YouTUBEより」

赤色超巨星になるメカニズム

エネルギーを放出し続ける恒星は、いつかは燃料が尽きてしまい、それは私たちの太陽も同じであり太陽もいずれは寿命が尽きてしまいます。
太陽のように正常に活動を続けている状態を主系列星と呼び、このとき恒星の中心では燃料となる最も軽い元素である水素が熱核融合反応を起こし、水素より重い元素のヘリウムに変換されるエネルギーを放出しています。

「Image Credit:宇宙百科事典より」
やがて燃料の水素を使い果たした星は、今度はヘリウムが核融合反応を起こし出し、さらに重い元素の炭素を作り出して行き、ヘリウムが尽きたら炭素が核融合を起こすといった連鎖が起こり、大質量の恒星は次々に重い元素が核融合反応を繰り返すことで、それに伴い星自体も膨張を続けて行きます。それが、恒星が赤色超巨星になるメカニズムです。

太陽は赤色超巨星にはならない!?

ベテルギウスの質量は太陽の約20倍前後と考えられており、赤色超巨星になるのはこのような大質量の恒星だと考えられています。
つまり、太陽は燃料が尽きても赤色超巨星にはならず、それでもやはり膨張はしていき、最後は地球を飲み込むほどの大きさまで膨れ上がるのでは?と推測され、太陽のような恒星の最期は赤色巨星になると考えられています。
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ベテルギウスが起こす超新星爆発とは?

直径12億キロにも及ぶとされる赤色超巨星に変貌しているベテルギウスですが、この状態は恒星としての一生を終える臨界点に達しようとしている証拠だといい、多くの専門家はもうまもなく超新星爆発を起こすとして警鐘を鳴らしています。

超新星爆発は、太陽の8倍以上の質量を持つ恒星が起こすと考えられており、ベテルギウスは太陽質量の20倍あるため、ほぼ間違いなく爆発を起こすと推測されているのです。

超新星爆発とは?

恒星は天体自体が持つ質量によって、天体の中心に向け落ち込む巨大な重力が働きその圧力で熱核融合反応を起こしています。
そして熱核融合で発生したエネルギーで、星の外側に膨らもうとする働きが起こり、内側に落ち込む重力と外に膨らむ力の均衡がとれることによって恒星としてのカタチを創り出しています。

ベテルギウスは今まさにその均衡が崩れ、核融合反応が加速し外側に膨らむチカラが大きく働いています。
しかし、その核融合反応もいづれは停止し、その時に恒星が超新星爆発を起こす瞬間が訪れます。
つまり、核融合反応により外側に膨らむチカラが無くなると、残るのは内側に落ち込む重力のみになってしまう。そのチカラが一気に星の内側に落ち込み、その反動で衝撃波が発生し、大爆発を起こす。
これが超新星爆発の原理です。

「Image Credit:iStock」
ちなみに、超新星爆発によって起きるエネルギーは凄まじく、極大時で太陽の明るさの1億倍以上にも達し、その影響は数十光年先まで及び周りの星々も爆発に巻き込まれてしまうそうです。

何故ベテルギウスの超新星爆発は注目されるのか?

実は、超新星爆発という現象はそれほど珍しくなく宇宙では比較的頻繁に起こっており、私たちの太陽系が属している銀河系内でも数十年に1回のペースで発生していると言います。
なのにベテルギウスが起こすであろう超新星爆発は、注目度が非常に高く、その理由は1つ。人類が初めて経験する近距離で起きる超新星爆発だからです。

これまで人類が経験した超新星爆発の中で最も近い距離で起きたとされるのが、1054年の超新星爆発だとされており、このときの距離が地球から約7,000光年離れており、視等級でマイナス8等級前後まで明るく輝いたという記録が残っています。
それが、今は残骸になり「かに星雲」として観測することが出来ます。

「Image Credit:かに星雲(Wikipediaより)」
もし、ベテルギウスが超新星爆発を起こすと、1054年に起きた爆発より遥かに近い約530光年の距離で起きることになります。

この近距離での超新星爆発は、人類は経験していないので、地球からだとどのように見えるのでしょうか?
そして、地球や太陽系に超新星爆発の影響は出ないのでしょうか?
そういった面で、ベテルギウスは今、非常に注目されています。

ベテルギウスが爆発するとどうなる?地球への影響は?

約530光年の近距離で起きるとされるベテルギウスの超新星爆発ですが、秒速30万キロで進む光の速さで530年もかかる距離の「どこが近距離なのか?」と疑問に思われるかも知れませんが、そのような感覚はあくまでも私たち人間のスケールで考える距離感であって、広大な宇宙のスケール・天文レベルでのこの距離はかなりの近く、ほぼご近所関係にある距離とも言えるのです。

では、そのご近所の恒星が大爆発を起こすとどうなるのでしょうか?
様々な専門機関がシュミレーションを行っており、地球からはおそらく日中でも明るく、一部の専門家は「まるで太陽が2つ出現したよう!?」とも言えるほど、明るく大きく輝くものと推測されています。

「Copyright ©:masaharu yajima All rights reserved.」
これまで人類が経験したことのない近距離での超新星爆発。
気になるのは、太陽系、そして我々の住む地球への影響・被害などはないでしょうか?

専門家の話によると、爆発による衝撃波の影響は数十光年先までと考えらていますので、衝撃波が太陽系まで届く事はありませんが、爆発によって放出される強力な宇宙線「ガンマ線バースト」は危険を及ぼすかも知れないと言います。

「Image Credit:ガンマ線バーストのイメージ図(YouTubeより)」
このガンマ線バーストは数千光年先まで届くとされていて、もしこれが太陽系を直撃すると地球上の生命は全滅するほどの威力があると考えられています。
しかし、この観測結果は既に出ており、ベテルギウスからのガンマ線のコースは、太陽系の方向を向いていないことが判明していますのでひとまずは安心できるようです。

ベテルギウスはいつ超新星爆発を起こすのか?

専門家の予測によると、「ベテルギウスはいつ爆発してもおかしくない。」と言われています。
そのため、数カ月から数年以内という声もありますし、星の一生なので時間の流れも天文的で、もっと先の数千年~数万年先との声や、さらには、既に爆発を起こしていて600光年以上の距離があるから、まだ光が地球に届いていない、との声など様々で、実際のところ、いつ超新星爆発を起こすのか?はわからないのが現状のようです。

いずれにせよ、人類史上類をみない大天文ショーになるのは間違いないベテルギウスの超新星爆発。
今後も、この赤色超巨星の動きに注目し、できれば生きているうちにこの現象を観たいものです。
ただ、ベテルギウスが爆発すれば、オリオン座も消滅するという事実は、非常に残念な事ではあります。
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