観測技術の発達により、最近になって次々と見つかるようになった太陽系外惑星ですが、その中には地球に似た惑星もいくつか見つかっており、地球外生命体存在の可能性の示唆や、第二の地球等とも言われてはいますが、本当に期待出来るような惑星なのか?は全くわからず、そもそも環境自体が地球と似ているのか?も疑問が多いのが実際のところです。
しかし、この程、太陽系に似た星系に地球に似た惑星が発見されたとの研究結果が発表され話題に!
これはもしかして期待出来るのか?と思ったりしますが・・・
これまで発見された地球型の惑星は地球とは似ていない環境!?
最近メディアで話題となって取り上げられている地球に似た太陽系外惑星の発見。それは、サイズも質量も地球と良く似ており、恒星を公転する軌道が水が液体の状態を維持出来る可能性を持つハビタブルゾーンに位置する惑星が数十個程見つかっています。
「Image Credit:太陽系のハビタブルゾーン(高卒資格.com」
となると、この見つかった惑星に生命が存在するのか?更には遠い将来において人類が移住出来る「第二の地球」候補なのか?とも期待してりもするのですが、しかし、それらのほとんどは太陽よりも質量もサイズも温度もずっと低い恒星・赤色矮星に属している惑星たちです。
ですが、赤色矮星を公転する地球型の惑星が意味する事は何なのでしょうか?
それは単に地球に似ているだけであり、主星たる恒星が太陽に似ていないと私たち地球に住む生物にとってはまったく異なる環境になってしまい、さらにはハビタブルゾーンに位置する惑星であっても、生命生存には適さない惑星環境である可能性も高いのです。
新たに見つかった地球と似た惑星とは?
この程発表された地球型惑星は、地球からこと座方向に約3,100光年離れた「ケプラー160」と呼ばれる恒星を公転する惑星で「KOI-456.04」。まず恒星「ケプラー160」は太陽と同じ主系列星であり、大きさ(太陽の約1.1倍)質量ともに太陽に似ており表面温度も太陽よりは若干低めですが摂氏およそ5,200度。
この太陽に似た恒星を約378.4日で公転していると思われるのが「KOI-456.04」で、大きさは地球の約1.9倍との事。
このデータを分析すると、もし「KOI-456.04」に大気と水が存在し温室効果が穏やかだった場合、地球が太陽から受ける光度の約93%で推定すると、表面温度の平均は摂氏5度になると考えられます。
未確認の惑星は本当に地球に似ているのか?
実はこの「KOI-456.04」という惑星は、現時点(2020年6月)ではまだ系外惑星と断定できるまでには至っておらず未確認での発表となっており、詳細については今後の更なる観測研究で明らかになって来るとは思いますが、おそらくは系外惑星でほぼ間違いないと推測されているようです。さて、もし「KOI-456.04」が地球型の惑星で大気の存在が確認された場合、この星に生命が存在し今後人類が移住可能な惑星なのか?について少し検証してみたいと思います。
太陽より老いた恒星「ケプラー160」
太陽に似た恒星「ケプラー160」は、人間の年齢に置き換えると老年期に近いと考えられています。ちなみに太陽の年齢は働き盛りの中年期と言え、それに比べると同じ主系列星であっても、やや劣っている時期に入っているのかも知れません。
となると恒星の活動が不安定な可能性もあり、それに伴い生命にとって有害な放射線が飛び交うことで、軌道を周る惑星にも悪い影響が出ている可能性も捨て切れません。
但し、太陽より古い恒星なら、もし惑星に地球と同じような生命の進化の過程があった場合、人類以上に高度に発達した文明を持つ生命が居る可能性もゼロではないでしょう。
「Image Credit:iStock」
地球型でも地球より重い惑星?
地球に似た惑星「KOI-456.04」の大きさは地球の約1.9倍あると考えられており、この事から推測するとおそらくは質量も地球よりかなり重い事が想定され、質量が大きい事はすなわち自重も大きいという事で、惑星の自転速度で違って来る事も考えられますが「KOI-456.04」の重力も地球より大きいでしょうし、仮に人類がこの惑星に降り立つ事となった場合、地球での体重より重くなってしまい、もしかしたら立ち上がる事さえ出来ない状況になる事も考えられます。また、惑星の重力が大きい事で内部の活動も活発になっている可能性も示唆され、惑星のあちこちで地震や火山活動などの地殻変動が起こっている可能性もあるかも知れません。
「Image Credit:Wikipedia」
巨大な衛星を持つ事が生命活動には必須?!
地球が生命で満ち溢れている理由のひとつとして、地球の1/4の大きさを持つ巨大な衛星・月の存在があります。この月がある事で地球に大きな潮汐力を生み出し、大気や海流に大きな影響を与え、地球全体を程よく掻き回し安定した環境を造り出してくれています。
また月の存在は地球の地軸の角度を安定させ、それにより四季も作り出してくれており、つまり、生命にとって月は必要不可欠な存在であり、地球に似た惑星「KOI-456.04」があるのならこの惑星にも”大きな月”が必要になって来るでしょう。
「Image Credit:iStock」
ケプラー160の詳細な惑星調査は困難か?
太陽に似た恒星「ケプラー160」の軌道を周回する「KOI-456.04」の存在が未確認な理由。それは、現在の観測方法には限界があるからに他なりません。
現在、系外惑星探査に最も有効とされているのが、恒星の前を惑星が横切ると気に起きる恒星の減光を観測するトランジット分光法という手法です。
◆トランジット法の解説動画
質量の小さい赤色矮星を周回する惑星なら恒星の前を横切る周期も短期間になり、惑星が恒星に近いため減光率も大きく観測しやすいのですが、「KOI-456.04」の場合378日毎に恒星の前を横切るため観測出来るチャンスも減り、何より恒星と惑星の距離が離れているため減光率も非常に小さく観測が非常に困難になって来ます。
ちなみに現時点では「KOI-456.04」が実在する可能性は85%だという見方があり、これを確定させて詳細な調査をするには、観測技術のさらなる向上が必要となって来ます。
この観測を可能に出来ると言われているのが、NASAが開発中のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)。
「Image Credit:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(NASAより)」
また、欧州宇宙機関(ESA)も最新鋭の「プラトー(PLATO)宇宙望遠鏡」の開発を進めています。
これらの宇宙望遠鏡は2020年代には打ち上げられ運用される予定であり、今後のハイテク観測機器の投入で2020年代以降の宇宙観測は飛躍的に向上し、初の地球外生命体存在の確認もそれほど遠くないのではないでしょうか。