巷でちょっとしたウワサになっている「近いウチにオリオン座が消滅してなくなるらしい」という話題。
オリオン座と言えば、天文や星座に詳しくない人でも「これだけは知っている」というくらい超有名で、北半球では冬の代表格とも言える星座ですが、そんな有名なオリオン座が無くなるということはどういう事なのでしょうか?
そしてその日はいつ訪れるのか?等について調べてみました。
オリオン座がなくなると言うウワサの発端
オリオン座は、北半球の秋から冬にかけて東の方角に見える星座です。この星座には2つの1等星「ベテルギウス」と「リゲル」があり、そのうちの1つベテルギウスにある問題が起きた事で「オリオン座がなくなる」というウワサになっているのです。
「Image Credit:YAHOO!JAPAN きっず」
ベテルギウスに起こっている問題とは星の寿命です。
通常、地球のような惑星はエネルギーを放出していないので半永久的に星としての形状を存続出来るのですが、太陽やベテルギウスのような自らエネルギーを発する恒星は、いづれエネルギーを放出する燃料が切れ、星としての寿命を終える事になります。
そんな星としての寿命が尽きかけているのが、今まさにベテルギウスなのです。
つまり、オリオン座を形成している中心になっているベテルギウスの寿命が尽き輝きを失ってしまうと、当然ながらオリオン座としてのカタチが完全に崩れてしまうワケです。
ベテルギウスの現状
ベテルギウスは、現在の太陽のような恒星として正常な状態(主系列星)を保っていたときの燃料である水素がすでに尽きており、それにより中心部での熱核融合反応が弱まり自重に耐えられなくなった事で、星の中心部が潰れて圧縮されて行き、水素による核融合で生成された中心部のヘリウムの核融合の影響で、エネルギー量が大きくなり膨張を続けています。「Image Credit:NeoMag永久磁石・磁気応用製品ネオマグ㈱」
その膨張の度合は凄まじく、どんどん膨張を続け現在は半径6億キロ以上にまで成長しているとの事です。
この大きさを例えると、仮にベテルギウスを太陽系の太陽の位置に持って来たとすると、木星軌道に迫るほど巨大化している計算になり、また、ベテルギウスはあまりにも膨張し過ぎているため、丸い星としての形状は保てずガスが放出されていてかなり危険な状態であると言います。
「Image Credit:歪な形状をした実際のベテルギウス(Wikipediaより)」
ベテルギウスの寿命が尽きたらどうなる
膨張を続けているベテルギウスも、いづれはその膨張が止まります。膨張が止まるということは、核融合反応も完全に停止するという事になり、ベテルギウスの重力バランスは崩れ、一気に星の内部に向けて落ち込む重力崩壊が始まります。
この重力崩壊で発生する反動で衝撃波が発生し大爆発を起こします。これが超新星爆発です。
超新星爆発で放出するエネルギーは凄まじく、太陽が放出する数億倍というエネルギーを一瞬で爆発させるため、巨大な閃光となって地球に届くことになります。
そしてベテルギルスが超新星爆発を起こした数年後。地球から見える1等星のベテルギウスは完全に消失し、事実上オリオン座も消滅してしまうということになるのです。
これがオリオン座消滅のシナリオです。
今年中にベテルギウスが爆発すると言われていたのに
ベテルギウスが超新星爆発を起こし、オリオン座が無くなると言われはじめたのは2013年の事でした。当時、間もなく爆発すると言われていたため、この情報を聞いた一部の人達が勝手に思い込み、何故か「ベテルギウスの超新星爆発は今年中!」とネットを中心にウワサをし出したのです。
しかし、現在(2022年)に至ってもベテルギウスが爆発する兆候はありません。
何故なのか?理由は「間もなく」という表現が天文学の考え方の「間もなく」である事にあります。
とは言っても、この説明では良くはわからないかも知れません。
もっと具体的に天文的な時間の流れで言い替えると、それが千年後や一万年後であったとしても「間もなく」という考え方になってしまうのです。
つまり、私たちの考える時間と宇宙の時間の流れはまったく違うワケで、例えば、人類2千年の歴史を宇宙の時間に置き換えるとしたなら、それは一瞬の出来事と言っても良い程、宇宙は壮大なのです。
という事は、ベテウギウスに異変が起こっていてもスグにどうにかなるとかではなく、もしかしたら1万年後に爆発するかも知れないし、明日にでも爆発するかも知れない。
結果としてアバウトな時間表現になってしまう事は仕方のない事なのかも知れません。
オリオン座は既に消滅している?
まだ地球ではベテルギウスの爆発の兆候は見られませんが、考え方によってはもう既に超新星爆発を起こし、オリオン座は消滅している可能性もあります。それもまた、宇宙の時間の流れに関係して来ます。
何故なら、今現在において地球から見えるベテルギウスの光景は550年前に放たれた光で見えており、それは、地球からベテルギウスまでの距離は550光年あり、光の速さでベテルギウスの姿が地球に届くまで550年かかるという事です。
つまり、間もなくベテルギウスが超新星爆発を起こすのであれば、既に爆発しその光が地球に届くまで、それなりの時間がかかるかも知れないのです。
いずれにせよ、将来オリオン座が星座から消えてしまうのは確実で、そうなった場合、”元オリオン座”がどのように呼ばれるようになるのか?そちらも興味があるところです。
初めまして お教えください
七十代の星見初心者です。
ベテルギウスはブラックホールに成ってほゞ同じ位置で
暗~い生活に入るのではないのですか?
【余談】
星座としては片方の肩が無くなりますので
歴史上のドナタか名を残している片腕のヒーロー
の名前の星座になれば良いと思いますが。
丹下左膳座なら笑えますが!
ギリシャ神話のなかに誰か居そうですが。
はじめまして。
お問い合わせありがとうございます。
ベテルギウスの超新星爆発についてですが、
ブラックホールになる恒星は、太陽質量の30倍以上と考えられています。
ベテルギウスは20倍ほどの質量ですので、超新星爆発を起こしても、
おそらくはブラックホールにはならず、一歩手前の中性子星になるのでは?
と考えられています。
ベテルギウスの超新星爆発により、オリオン座が無くなってしまうのは残念ですが、
いづれにしても、人類が未だ経験したことの無い、
近距離での超新星爆発を生きているうちに見てみたいものです。