宇宙空間に浮かぶ長さ13メートル、主鏡の直径2.4メートル、そして重さ11トンの巨大な望遠鏡「ハッブル宇宙望遠鏡」は有名ですが、しかし、この宇宙望遠鏡も長年の運用で酷使され老朽化し寿命を迎えようとしています。
その役目を終えるハッブル宇宙望遠鏡に代わる後継機はどんな望遠鏡なのでしょうか?
ここでは、ハッブル宇宙望遠鏡の成果と、後継機の宇宙望遠鏡について簡単に解説します。
ハッブル宇宙望遠鏡とは
ハッブル宇宙望遠鏡は1990年にスペースシャトル・ディスカバリーによって地球周回軌道上に運ばれ運用を開始しました。軌道高度は約560キロ上空で、国際宇宙ステーション(ISS)よりも約150キロ高い上空を周回しています。
大きさは冒頭にも記載しましたが、かなり巨大で大型トラックほどの大きさがあります。
そんなハッブル宇宙望遠鏡ですが、もう運用を開始して30年以上経過しており、これまで人類が見たこともない宇宙の姿を次々に発見。その捉えた画像も鮮明なモノでした。
ハッブル宇宙望遠鏡の成果
様々な宇宙の姿を捉えたハッブル宇宙望遠鏡。新発見もかなり多くあり、その一部として- 木星や土星にオーロラを発見
- 太陽系外の恒星系にも惑星が存在することを証明
- 数十億光年離れた深宇宙の天体を次々に発見
- 銀河の中心に巨大なブラックホールの存在を確認
なお、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像を使って制作した迫力の動画があります。
寿命を迎えたハッブル宇宙望遠鏡
ハッブル宇宙望遠鏡は順調に運用を続けてきたワケではなく、これまで何度も故障を繰り返しており、その度に、スペースシャトルで直接修理に向かい修理をして来ました。さらにハッブル宇宙望遠鏡の運用期間は15年としうことでしたが、人類の宇宙探査に大きな貢献をしてきたということで、退役を惜しむ声も多く運用期間を延長。結果として想定の寿命を遥かに超える25年以上稼働してきましたが、流石に老朽化も限界に来て、もうこれ以上運用を続けることが難しい状況になって来ているようです。
ハッブル宇宙望遠鏡の後継機と世代交代
運用を終えたハッブル宇宙望遠鏡の運命は地球の大気圏に落され焼却処分されます。そしてその後、ハッブル宇宙望遠鏡に代わって地球軌道に投入されるのが2018年以降に運用される次世代宇宙望遠鏡の「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」です。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は大きさこそハッブル宇宙望遠鏡の約半分で約6トンですが、観測性能は遥かに優れており、この性能を最大限に発揮させるために、地球の低軌道を周回させるではなく、地球の自転で太陽光が遮られるL2ラグランジュ点に投入されます。
「Image Credit::NASA」
次世代宇宙望遠鏡の「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の性能
ハッブル宇宙望遠鏡は主鏡が直径2.4メートルでしたが、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡は直径6.5メートルと約2.5倍の大きさになります。この大きな口径の鏡から覗く宇宙はかなり広範囲となり、宇宙の誕生にさらに迫る世界が覗けると言います。
つまり、宇宙誕生は約137億年前とされており、この時からわずか2億年後の世界(約135億光年)まで観測出来る、言わば”タイムマシン”となって過去の宇宙を覗くと言ってもよいかも知れません。
さらにハッブル宇宙望遠鏡は、主に紫外線と可視光で観測していましたが、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外線を使って観測します。
赤外線は可視光よりも波長が長いため、より広範囲で鮮明な画像撮影も可能との事。
「Image Credit:Wikipedia」
次世代宇宙望遠鏡の「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」は、その”大きな目”で人類がまだ見ぬ宇宙の謎の世界を見せてくれることは間違いないですが、ただハッブル宇宙望遠鏡のように地球低軌道(約560キロ)で運用されるのではなく、地球から遠い(約150万キロ)ため、故障しても簡単には修理できない軌道で運用されます。
※ 追記:「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」は、2021年12月に打ち上げられ無事に軌道投入され運用を開始しました。