メディアでも大きく取り上げられ、生命が存在する可能性が高いと話題になっている土星の衛星・エンケラドゥス。
その生命存在の可能性を高めてくれているのが、エンケラドゥスの地表から噴出されている間欠泉です。
氷の星であるハズのエンケラドゥスから何故間欠泉が吹き上がっているのか?その原因については諸説あるようですが、今回はこの謎の星エンケラドゥスの間欠泉に注目して調べてみました。

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太陽から遠く離れた極寒の地・エンケラドゥス

エンケラドゥスの母星である土星は、太陽から遠く離れておりその距離(平均)は約14億キロもあり、地球と太陽との距離は約1億5,000万キロですので10倍近い距離の差があります。
このようにこれだけ離れていると、太陽から受けるエネルギー量もかなり少なく、そこはまるで暗黒に近い極寒の世界だと言えるのかも知れません。

「Image Credit:エンケラドゥス(左)と土星の環の上に浮かぶ衛星・エンケラドゥス(右)(Wikipediaより)」
そんな過酷な場所にある衛星・エンケラドゥス。
当然ながら、天体全体を厚い氷に覆われた、とても生命など住めるような世界では無い事は容易に想像できます。
「エンケラドゥスの基本情報」
  • 直径:約505キロ
  • 土星からの距離:約24万キロ
  • 公転周期:33時間
  • 自転周期:33時間
  • 表面平均温度:マイナス200度前後
  • 表面重力:地球の約10分の1
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間欠泉が発見され注目度がアップしたエンケラドゥス

エンケラドゥスが注目される要因になったのが、表面から噴き出す氷の間欠泉です。

「Image Credit:Wikipedia」
これが発見されたのが2005年の事で、土星の環や大気、そして大気の存在する衛星・タイタンの探査ミッションを目的として探査機・カッシーニが土星の軌道に投入された事による大発見でした。
そのカッシーニの探査途中に偶然発見されたのが、エンケラドゥスの地表から噴出される間欠泉。当初、このエンケラドゥスは、衛星としては比較的小型で直径が500キロ程度だった事もあり、さらにエンケラドゥス全体が氷で覆われているため、探査対象としては注目度の低い天体でした。
しかし、間欠泉の発見でその注目度は一気にアップし、大気のある衛星タイタンよりも目が注がれるようになったのです。

「Copyright ©:ScienceAtNASA All rights reserved.」

何故、氷の星に間欠泉が噴き出すのか?

エンケラドゥスの間欠泉は、氷が水蒸気のようになって噴き出しています。
しかし、それは表面に噴き出す時に氷になったもので、地下にあったときは液体状ではなかったのか?と考えられています。
その間欠泉が噴き出す原因についてはいくつかあり、エンケラドゥスの地殻変動説や土星の潮汐力による摩擦熱説など。
そんな説を確定的なモノにするために、発見されてから数年間、カッシーニから送られてくるデータを基に詳しい調査が行われた結果、土星の潮汐力の影響が大きいということが判明したそうです。
つまり、エンケラドゥスは土星から24万キロしか離れていません。
それは地球と月の距離が38万キロに対し、地球の質量の95倍もある土星からだと、この距離はかなりの至近距離と言えるため、エンケラドス内部には巨大な潮汐力が働いていると考えられます。
このためエンケラドゥス内部が摩擦熱で温められた結果、地下で氷が溶けそれが間欠泉となって噴出しているようです。

「Image Credit:NASA」

溶けた氷の海に生命存在の可能性

エンケラドゥスの間欠泉を見た一部の科学者は「エンケラドゥスには確実に生命が存在する。」と断言までしています。
間欠泉が吹き出すということは、その地下にはエネルギー源となる熱水があるという事。熱水があれば、その周りには生命生存に適した温かい水もある可能性があります。
そうなれば、そこには生命が存在する可能性も高くなると考えられており、今後の詳細な調査が期待されます。
残念ながら、現在の技術ではエンケラドゥスの厚い氷の下まで調査出来る探査機は造れませんが、ただ、この間欠泉からサンプルを採取出来ればそこに含まれる生命の痕跡を探し出すことは可能です。

「Image Credit:NASAジェット推進研究所の動画より」
2017年まで続けられるカッシーニよる土星探査。ここでエンケラドゥスに対するミッションも追加すると聞いていますので、間欠泉からサンプルを採取し生命の痕跡を発見出来るかも知れません。
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