まるでアニメの世界から現実世界に飛び出して来たようなフォルムをした宇宙ロケット。
アメリカの民間ベンチャー企業「スペースX」が生み出した次世代型宇宙船「スターシップ」。運用開始に向けて着々と準備が進んでいますが、実はこのスターシップ、見た目もスゴく奇抜ですが性能もスゴいらしいのです。それはスターシップが従来の宇宙ロケットに比べて桁外れだと言う事。それっていったいどこが”桁外れ”なのでしょうか?


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スターシップとはどんなロケットなのか?

スターシップとは、時代の寵児として有名なイーロン・マスク氏が率いるアメリカの民間ベンチャー企業が開発し運営を目指している超大型の有人宇宙ロケット兼宇宙船の事で、2024年5月段階において開発も最終段階まで来ており、もう間もなく運用開始となる次世代型の宇宙船です。


スターシップの全長は約120メートルで、宇宙ロケットとしてはこれまで最大だったNASAの月ロケットサターンⅤ(約110メートル)を抜き、更にはNASAが現在開始している次世代型大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」(約111メートル)よりも大きい史上最大となる機体です。

「Image Credit:BBC」
2段式ロケットであるスターシップの特徴の1つは2段のロケットともに再利用が可能で、打ち上げ後に1段目が発射台に戻り、宇宙船となる2段目も地球帰還後に逆噴射で着陸出来るというスグレモノで、完全に再利用が実現した場合の打ち上げコストは、従来型ロケットの100分の1程度まで抑える事が出来るとされており、使用用途は一般人を乗せた商用目的のみならず、月面着陸や火星往復飛行を目標とした汎用型ロケット&宇宙船として開発が進められています。
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人を乗せる事に特化した宇宙船「スターシップ」

スターシップは、宇宙に資材を運ぶロケットとしても利用されますが、何よりこれは宇宙船として機能し、人を宇宙に運び、そして還って来るために設計・開発されています。

「Image Credit:SpaceX」
現在、運用を目指しているスターシップ本体の全長は50メートルで直径は9メートル。100トン~150トンのペイロード(運搬する貨物・乗務員(乗客)の搭載重量)の中に、人が過ごす事が出来る1,000m3の与圧空間(船室)があり、そこには40のキャビンや共有エリア、中央ストレージ、調理室、さらにシェルター等が装備されているそうです。
◆ 参考動画:スターシップの内部構造

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そして気になる乗員数ですが、最大で100名まで搭乗出来る設計ですが、運用開始当初は安全面も考えて10名前後が搭乗する予定だとか?!
そんな運用開始早々にスターシップに乗り込む事になっているのが、日本の実業家・前澤友作氏。彼が選んだ同行者(アーティストや写真家など)8名と、早ければ2025年度中にスターシップに乗って約1週間の月周回旅行に出発する予定だそうです。
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NASAのアルテミス計画にも参加予定の「スターシップ」

人類が月面に降り立ってから既に半世紀を過ぎた今、再び人類は月面に降り立とうとしています。それがNASAが主導する「アルテミス計画」です。
そんなアルテミス計画の中で最も重要と言える有人月面着陸機「Human Landing System(HLS)」に選定されたのがスターシップ。開発・運用が間に合えば、アルテミス計画で初めて月面に着陸する事になるのがスターシップなのです。

「Image Credit:スターシップHLS(SpaceXより)」
人類の月面着陸を担うというスターシップ。現在、急ピッチで打ち上げ実験が行われており、2024年初頭時点では、無人機ではありますが地球低軌道投入にも成功しています。
アルテミス計画で実際に有人月面着陸が行われるのは「アルテミスⅢ」となっており、当初、アルテミスⅢは2025年に打ち上げ予定でしたが、計画が遅れ2027年中に実現する見込みとか!?それまでにスターシップの運用が開始出来のか?少し不安もありますが、それでも期待は高まるところであります。

「スターシップ」の最終目標は火星移民船!?

スペースX社の開発した次世代型有人宇宙ロケット&宇宙船「スターシップ」は、今後、有人での地球低軌道飛行を経て、月周回飛行、そして有人月面着陸実現に向けて計画が進行しています。
しかし、スターシップが受け持つ宇宙計画はそれだけでなく、目標では2030年中になるとされていますが火星探査版「スターシップ」も打ち上げる計画があるとの事。
それはスターシップの最終形態とも言えるモノで全長はさらに大きく150メートルにもなるそうなのです。
最終形態となったスターシップのイメージ図はまだありませんが、この頃には打ち上げコストも大幅に下がり、一回の打ち上げにかかるコストは約300万ドル程度で済むと試算されており、この低コストを利用し一般人を火星に移住させる計画も盛り込んでいるとの事です。

「Image Credit:スペースX社が描く火星植民のイメージ(SPACEX)」

スターシップを使った火星移民計画は、まだあくまでも目標であり実現するかどうかが不透明なところがありますが、計画では2年に1回、地球と火星が接近するタイミングに合わせて100人以上規模の移民船を数百回(1日に10回ほど)打ち上げる予定との事ですが、果たしてこの計画はどこまで実現性があるのか?そもそも、まだ謎が多く地球とはかけ離れた環境の火星にどれだけの移民希望者がいるか?また、月面着陸とは難易度が桁違いに違う火星着陸をどうやって成し遂げるのか?まだまだ危険が伴い、不安要素が大きいこれからのスターシップ計画ではないでしょうか?
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