今後30年以内にはほぼ確実に発生すると言われる「南海トラフ巨大地震」。この地震が起こる事で、私たちの住む日本(特に太平洋沿岸地域)に甚大な被害が発生する事が心配されているのですが、そもそも何故、南海トラフ地震は起こってしまうのでしょうか?
その原因となるのは何なのか?そこには、地球上において私たちの日本がある場所に大きな要因があるようなのです。

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何故、南海トラフ巨大地震は確実に発生するのか?

南海トラフとは?ニュース等で何回も報道されているので知っている人も多いと思いますが、駿河湾から日向灘沖に連なる海底の深い溝(水深4,000m級)の事です。

「Image Credit:赤線が南海トラフ。黄線は駿河トラフ(Wikipediaより)」
ここで発生する地震の規模は巨大で、概ね100~150年周期で起こり地震の規模は震度7以上で、地震によって発生する津波は10m以上が繰り返して来た事実があります。
【江戸時代以降に発生した南海トラフ地震の歴史】
  • 1605年2月3日「慶長地震」:想定震度M7.9
    静岡の御前崎沖~高知の足摺岬沖領域付近で発生。太平洋岸地域に最大で30メートル級の大津波が襲来。
  • 1707年10月28日「宝永地震」:想定震度M8.6
    愛知の遠州灘沖~高知県沖領域付近で発生。津波はもとより日本各地で建物崩壊等の被害が発生し、地震の1カ月半後に富士山も噴火しています。
  • 1854年12月23日「安政東南海地震」:想定震度M8.4
    この時の震源域は2箇所で12月23日に紀伊半島東部沖~駿河湾領域。翌12月24日に紀伊半島沖~四国沖領域で発生。大きな津波被害をもたらしています。
  • 1944年12月7日「昭和東南海地震」:想定震度M7.9
    紀伊半島東部沖~遠州灘領域。
  • 1946年12月21日「昭和南海地震」:想定震度M8.0
    昭和東南海地震のほぼ2年後に紀伊半島東部沖~遠州灘領域で発生。昭和東南海地震、昭和南海地震ともに津波被害が発生しています。
上記の南海トラフ地震の歴史で見ても約100~150年周期で大きな地震が発生しており、この地震発生のサイクルが物語るように、今後30年以内には確実に巨大地震が発生するとされているのです。
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何故、日本は地震が多いのか?

私たちの住む日本では南海トラフ地震に限らず、度々巨大地震に見舞われており、小規模の地震に至っては毎日のように起きています。
でも、何故、日本はこんなにも地震が多いのでしょう。

主に地震の要因となるのが地下に力がかかってしまう事で、岩盤がかかる力に耐え切れずズレてしまう事で地震が発生してしまいます。
ですが、どうして地下に力がかかってしまうのでしょう?
それは「プレートテクトニクス」によるモノで、プレートテクトニクスとは、私たちが地面や海底としている地殻はプレート(岩盤層)で構成されており、このプレートが地殻の更に下層にあるマントルの対流で動く事で、”地下に力がかかってしまい”、その力に耐えられなくなる事で岩盤がズレて地震が発生します。さらに私たちの日本に地震が多い理由は、日本列島周辺が4つ地殻プレートに乗っている事にあり、その4つとは東日本が乗っている「北米プレート」と西日本の「ユーラシアプレート」の2つの大陸プレートと、南海トラフを境とする「フィリピン海プレート」、日本海溝、伊豆・小笠原海溝を境とする「太平洋プレート」の2つの海洋プレートと計4つのプレートがあります。

「Image Credit:Wikipedia」
また、地下に力がかかってしまう原因となっているのが、常にプレートが移動している事にあり、上図↑↑にあるように、フィリピン海プレートが3~5㎝/年、太平洋プレートが8㎝/年と2つの海洋プレートが大陸プレートを押すように動いている事であり、2011年に発生した東日本大震災の原因となったのは、太平洋プレートと北米プレートの岩盤のズレによるモノだったと推測されています。
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地震発生のメカニズム

前述もしたように、プレート(地殻)はマントル対流の影響を受け少しずつですが動いており、海洋プレートが大陸プレートを押すように動き、このとき海洋プレートは大陸プレートの下に沈み込むような動きをしており、それによる”ひずみ”が少しずつ蓄積して行きます。

「Image Credit:東京都防災ホームページ」
上記図↑↑(東京都防災ホームページ参照)で解説すると。
① プレートの移動によって海洋プレートが大陸プレートの下に少しずつ沈み込んで行きます。
② 沈み込んでいく毎に大陸プレートの先端に歪みが蓄積して行きます。
③ 歪みの蓄積が限界に達した時、プレートの先端が跳ね上がり地震が発生し、同時に海洋面も跳ね上がる事で津波も発生します。
このプレートのひずみによる地震を「海洋型地震」と呼び、プレートの動きによる圧力で岩盤層の弱い場所にひずみが蓄積し、岩盤がズレて発生する地震を「活断層地震」と呼びます。
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巨大地震が発生する原因は大陸と海洋プレートの密度の違いにあった

さて、ここまでの解説で疑問に思った事があるのではないでしょうか?それは、プレートが移動する事で海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいくのか?
その原因は大きく分けて2つあります。
1つは、海洋プレートに比べ大陸プレートの方が厚い事。

「Image Credit:ちがくたす
大陸プレートの厚さは30~60㎞あるのに対し、海洋プレートの厚さは5~10㎞と大陸プレートよりかなり薄いため、プレートが動く事で薄い海洋プレートは大陸プレートに沈み込んでしまうのです。
(※ モホロビチッチ不連続面とは、地殻とマントルの境界面で地震波の速度が急激に変化する面の事。)

2つ目は、地殻を構成する物質が、大陸プレートより海洋プレートの方が密度が高いという違いがあり、海洋プレートの方が重いため大陸プレートに沈み込んでしまうのです。
ちなみに、大陸プレートを構成する主な岩石は花崗岩で、海洋プレートを構成する岩石は班れい岩と玄武岩で出来ており、花崗岩より玄武岩の方が密度が高いのです。

このようなプレート移動のメカニズムにより、フィリピン海プレート(海洋プレート)がユーラシアプレート(大陸プレート)に沈み込む事でその境目である南海トラフに歪みが蓄積しているのです。
そして、歪みの蓄積が限界に達するのが今後30年以内なのです。

【次回】
今回は地殻の話題でしたが、地殻の下にあるマントルと地球の中心部である核ってどんな構造をしているのか?を解説します。
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