太陽系外惑星を探索したNASAのケプラー宇宙望遠鏡は、2009年5月から2018年10月末の運用終了まで数々の惑星を発見し、その中には生命が存在するかも知れない惑星も検出するという素晴らしい成果を残してくれました。
そんなケプラー宇宙望遠鏡の成果の中には、ちょっと変わった惑星の発見もあり話題にもなっています。
その変わった発見とは、まるでSFファンタジーに登場するような惑星が実在する事を突き止め、映画アバターやスターウォーズの世界を彷彿させるような、2つの太陽を持つ惑星が現実に存在するかも知れないと言うです。

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連星のハビタブルゾーン内に発見された惑星

宇宙では、2つ以上の太陽がある連星の恒星系は決して珍しくありません。
ただ、連星だとその軌道を周る惑星は恒星同士の重力バランスが影響し、安定した軌道を得ることが難しくなると考えられており、そんな定説の中で、ケプラー宇宙望遠鏡によって発見された連星に属する惑星は、生命存在可能エリアのハビタブル・ゾーンの軌道上に位置していることが判明しています。
もし、そこに生命が存在していたとしたら、その惑星から見える夕日はこんな光景かも知れません。

「Image Credit:NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello」
しかし、残念なのはその惑星はハビタブル・ゾーンにあるのですが、木星のような陸地のないガス惑星だという事。
ケプラー宇宙望遠鏡によって発見された惑星「Keplar-1647b」は地球から約3,700光年離れており、故に詳しい状況を確認することは難しいのですが、2つの恒星の周りを約3年半かけて公転している事が判明し、大きさは木星とほぼ同等で、かなり巨大な惑星のようでケプラー宇宙望遠鏡がこれまで発見したハビタブルゾーンに存在する惑星の中では最大の天体になるそうです。

遠く離れた恒星系でどうやって惑星を探すのか?

惑星は恒星とは違い自ら光を放ちません。
そのため、遠く離れた太陽系外で惑星を検知することはかなり困難です。
それでもケプラー宇宙望遠鏡は3,700光年彼方に惑星を発見することが出来ました。
これっていったい、どうやって探しているのでしょうか?
ケプラー宇宙望遠鏡が太陽系外での惑星探しで、使用している探査方法は「トランジット法」という最近の天体探査で良く使われるようになった検出方法の一つです。
この検出方法は、探査目標である恒星に焦点を向けその恒星を横切る天体を観測するという分光観測。
つまり、惑星が光を放たなくても光を放つ恒星を横切る天体があれば、それがその恒星系に存在する惑星だということを判別することが出来るワケです。
◆トランジット法の解説動画

「Copyright ©:ESA Science & Technology All rights reserved.」
今回の惑星「Keplar-1647b」もトランジット法を使って発見されたのですが、連星に存在する惑星を探すのは相当難しいとの事で、言わば大発見ということになります。
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連星の惑星に生命が存在する可能性

発見された惑星「Keplar-1647b」は、巨大なガス惑星のため、そもそも陸地や海は存在しないのでこの惑星に生命存在の可能性は期待できないのですが、もしKeplar-1647bが衛星を持っていたら、その衛星に生命がいる可能性はあります。

例えば、2009年に公開され大ヒットした映画「アバター」はご存知でしょうか?

「Copyright ©:20th Century Studios All rights reserved.」
映画「アバター」の舞台は、地球から約4.6光年離れた実在の恒星系・アルファ・ケンタウリです。
このアルファ・ケンタウリもまた、Keplar-1647bと同じく連星であることがわかっています。

この連星にある架空の惑星にある衛星・パンドラ。ここに住む原住生物(知的生命体)と人類の交流、そして戦いを描いた映画でした。
つまり、映画アバターのように惑星に生命がいなくても、その衛星に大気が存在しそこがハビタブル・ゾーンであれば、もしかしたら、連星系に生命が存在するかも知れないということも考えられます。
ただ、そこは地球から3,700光年も彼方にある星ですから、残念ながら現在の観測秘術では確かめる術はありません。
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