ここ最近、次々に太陽系外惑星が発見され話題になっており、またその中には地球型の惑星も発見され、その多くが赤色矮星と呼ばれる恒星で見つかっています。
ですが何故、地球型の太陽系惑星は赤色矮星ばかりに見つかるのでしょうか?その理由は何故なのか?
また発見された惑星に生命が存在する可能性はあるのでしょうか?そして、遠い将来に私たち人類が移住出来るような惑星は存在するのでしょうか?
地球外生命体探査の歴史
地球以外に生命は存在するのか?そんな疑問や謎の解明、そしてロマンの追及とともに人類の地球外生命体探査は1960年代から始まっており、電波を使った観測や、生命がいそうな天体(恒星)に向け光学望遠鏡を向けるといった方法で捜索を行ってきました。
そんな地球外生命体探査で有名なのが、1960年代に行われた「オズマ計画」では、私たちの太陽に似た恒星に電波で交信しようとを試みましたが失敗に終わっています。
その後も、いくつもの太陽に似た恒星に探査の目を向けて来ましたが、いずれも思うような成果を得ることは出来ずにいました。
「Image Credit:pixabay」
太陽系外惑星探査を赤色矮星にシフトした理由
これまで生命がいる天体は私たちの太陽系のような惑星系だという考え方があり、それらの恒星に絞って観測を行ってきましたが成果が得られなかったため観測方針をシフトせざるを得ませんでした。そんな中で目をつけたのが赤色矮星でした。
赤色矮星とは、太陽より質量の小さい恒星で表面温度も太陽が約6,000度あるのに対し赤色矮星は2,000~3,000度程度しかない暗い恒星で、温度が低いため赤く見えることから赤色矮星と呼ばれています。
「Image Credit:赤色矮星のイメージ図(Wikipediaより)」
私たちの太陽の寿命は100億年ほどだと考えられていますが、低質量の赤色矮星は代謝(熱核融合反応スピード)が遅く、ゆっくりとエネルギーを消耗するため、その寿命は太陽よりも遥かに長い数百億年~数兆年もあると考えられています。
この事から、赤色矮星には古い星が多く気の遠くなるような時間がかかる生命誕生~進化の過程においては、寿命の長い赤色矮星の方が適しているのではないか?との考えのもとに、これらの恒星系に生命探査の目が向けられることになります。
赤色矮星に次々と見つかる地球似の惑星
赤色矮星に観測の目を向けるようになってから、次々と発見されるようになった太陽系外惑星ですが、そんな中で発見され話題になった赤色矮星で代表的な天体をいくつか挙げてみました。グリーゼ832
太陽系から約16光年の場所にある「グリーゼ832」。大きさや質量は太陽の半分ほどの恒星で、この恒星を公転する「グリーゼ832c」は、地球の約5倍ほどの質量を持つ岩石惑星でスーパーアースと呼ばれており、発見当初は、厚い大気を持ち液体の水をたたえる生命生存可能な惑星ではないか?と話題になりましたが、その後の調査でどちらかというと地球ではなく、灼熱の金星に近い環境ではないか?と推測されるようになりました。
「Image Credit:グリーゼ832cの想像図(Wikipediaより)」
ウルフ1061
太陽系から約14光年の場所にある「ウルフ1061」。この赤色矮星を公転する地球の約4倍あるスーパーアースに分類される「ウルフ1061c」という惑星には、水が液体として存在し得る環境にある可能性があると考えられています。
しかし、この惑星の重力は地球の約2倍あることが判り、これにより惑星の一方方向が常に恒星側を向く潮汐ロックがかかっている状態ではないか?と考えられ、この状態だと恒星側を向いている方は、温室効果で非常に温度が高く、反対側の方は太陽光が当たらないため温度が低い環境ではないかと想定されています。
「Image Credit:ウルフ1061が従える惑星の想像図(Wikipediaより)」
プロキシマ・ケンタウリ
プロキシマ・ケンタウリは、太陽系に最も近く言わば太陽系のお隣りの恒星で、距離にして約4.2光年というかなり近い赤色矮星です。この恒星が従える「プロキシマb」という惑星は、液体の水を湛える環境にあると考えられていますが、一部の専門家たちの考えでは、この惑星には陸地が存在せず惑星全体を深い海が覆っていると推測していますが、「プロキシマb」に生命が居るかどうかは、地球から近い事もあり今後の調査が期待されるところです。
「Image Credit:プロキシマbの想像図(Wikipediaより)」
トラピスト1
太陽系から約39光年の場所にある「トラピスト1」には、地球似の岩石惑星が7つも発見され大きな話題となりました。その7つの惑星のうちトラピスト1e,1f,1gの3つは、生命存在可能な公転軌道を有するハビタブルゾーン内にあるとされますが、しかし主星である「トラピスト1」の年齢が非常に若く約5億年(歳)しかありません。この5億年という年月では、生命が誕生するには時間が短すぎるとの声もあります。
GJ1132
トラピスト1とほぼ同じような距離にある赤色矮星「GJ1132」。この恒星を公転する地球型惑星「GJ1132b」に、初めて大気の存在が観測されました。「Image Credit:赤色矮星GJ1132を周回する大気を持つ惑星GJ1132bの想像図(MPIAより)」
大気成分は水蒸気やメタンではないかと考えられ、大気がある事により生命が存在する可能性も示唆されていますが、詳しい調査は今後に期待されます。
赤色矮星での生命探査は期待外れの可能性も?
ここまでいくつかの赤色矮星に発見された地球似の惑星をご紹介して来ましたが、生命存在が期待される一方で赤色矮星に生命はいないのでは?という考え方もあります。その理由は大きく分けて3つあり、それが以下になります。
1.潮汐ロックがかかりやすい
低質量の赤色矮星を公転する惑星は、恒星に非常に近いところを周っているため、惑星は恒星の重力の影響を受けやすく潮汐ロックがかかっている可能性があると示唆されています。なお、潮汐ロックをわかりやすく説明すると、地球と月の関係に代表されるような状態の事を言い、月がいつも地球に同じ方向を向けている同期状態を潮汐ロックと呼び、それが恒星と惑星の関係だと一方方向は常に日が当たり暑く、一方は日が当たらず寒い状態になっていることが考えられます。
2.温度が低く暗すぎる
赤色矮星の表面温度は太陽の半分以下ため、惑星に届く光が弱く植物が必要とする光合成が出来ないのでは?との考え方もあり、植物が育たなければ生命が育まれるために必須条件となる食物連鎖が成立しないというのです。3.太陽フレアの影響をもろに受ける可能性
恒星に近い距離を公転する惑星は、恒星の表面爆発「太陽フレア」の影響を受けやすい状況にあり、生命には有害な恒星からの磁気嵐や放射線を受けてしまう可能性があると言います。「Image Credit:太陽フレアの想像図(Wikipediaより)」
すべては今後の観測で判明する?
赤色矮星を中心にいくつも発見された地球型の系外惑星。しかしながら、今の人類が持つ科学力では実際にそこまで探査機を送ることは出来ません。
ですが、対象の星に行くことは出来なくても観測技術は大きく発展しており、近いうちにそれらの星を詳しく観測出来る可能性があります。
そんな期待が寄せられているのが、2021年末に打ち上げられた「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」。
「Image Credit:NASA」
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、これまでの宇宙望遠鏡を遥かにしのぐ性能を持っており、系外惑星の詳細な観測はもとよりこれまで観測出来なかった深宇宙の調査も出来、数々の宇宙の謎が解明されると期待されています。
朝夕ロックは大気がある星の場合は温度循環の動力になるから強い風を生み出すけど惑星全体の温度に問題を起こす事は大気循環でそこまでないのと、
放射は氷の下や水面下には届きにくいから(氷を分解して多少の酸素を生み出してしまうが)惑星が海を抱えてる場合は生命発生自体には致命的ではない可能性