最近、次々と発見されている地球に似た太陽系外惑星ですが、そんな系外惑星に行って見たらどんな感じなんだろう?とNASAがVRで再現したコンテンツを公開し話題になっています。
発見はされたけど、地球から遠く離れた地球型惑星には現時点では絶対に行けないワケで、想像でしかこれらの惑星に行く事しか出来ず、それを後押ししてくれるNASAがVRで疑似再現した太陽系外惑星の旅を、未来の宇宙旅行の気分で味わってみるのも面白いのか?と思います。
NASAが公開した太陽系外惑星から見る光景をVRで再現したwebコンテンツ
観測技術の発達により、1990年代以降次々と太陽系外惑星が発見されており、その中には、地球似た条件を持つ惑星も見つかり、そこには地球外生命体がいるかも?という期待も高まっています。しかし、これまで発見された系外惑星は地球から遠く離れていて距離が近くても数光年もあり、最も近くて身近な天体の月にすら満足に行けていない現代において、そのような遠い星に行くなんてとても無理で夢物語でしかないのがもどかしいところではないでしょうか。
ですが、それらの天体を観測によって判明したデータを基に想像・イメージを働かせる事は出来ます。
それをNASAがwebコンテンツを使いVR(バーチャルリアリティー・仮想現実)で再現したのが、「Exoplanet Travel Bureau(太陽系外惑星旅行局)」です。
「Image Credit:Exoplanet Travel Bureau(太陽系外惑星旅行局) トップページ」
太陽系外惑星旅行局へは上記の特設サイトからアクセスして楽しむ事が出来、また、系外惑星をイメージしたNASAオリジナルポスターもダウンロードできるサービスも用意されています。
そして気になるのが、VR体験出来る惑星への旅。現時点(2018年6月)で公開されている系外惑星は全部で3つ。
「TRAPPIST-1d」・「Kepler-16b」・「Kepler-186f」です。
(※ 今後、順次新たな惑星が追加される予定。)
これら3つの惑星がどんな星なのか?コンテンツを見る前に、簡単な情報を解説したいと思います。
最も地球に似ている?惑星「TRAPPIST-1d」
惑星「TRAPPIST-1d」は、地球から「みずがめ座」方向に約39光年離れた場所にある、赤色矮星 「TRAPPIST-1」に、2016年に発見された7つある惑星の1つ。「Image Credit:赤色矮星TRAPPIST-1で発見された7つの惑星(NASA)より」
「TRAPPIST-1d」の大きさは、地球よりひと回り小さい(地球半径の0.784倍)で質量は地球の0.3倍ほど。
主星(太陽)である「TRAPPIST-1」からは、約330万キロ離れており約4日で公転していますが、「TRAPPIST-1」自体が非常に質量が小さく温度も低いため、この近い距離でも水が蒸発せず液体の状態で維持出来ているハビタブルゾーン内に「TRAPPIST-1d」は位置していると考えられています。
つまり、もしこの惑星に大気と水が存在したとした場合、生命存在の可能性があるとも考えられています。
「Image Credit:VRコンテンツでイメージされた惑星TRAPPIST-1dの想像図(Exoplanet Travel Bureauより)」
このイメージで惑星「TRAPPIST-1d」地表が全体的に赤く表現されている理由は、主星である「TRAPPIST-1」が赤外線を主体とした赤い可視光を放っているためだと思われます。
2つの太陽を周る惑星「Kepler-16b」
はくちょう座の方向に地球から約200光年離れた場所にある連星「ケプラー16」。ケプラー16恒星系には、我々の太陽の約0.6倍の質量を持つ橙色矮星「ケプラー16A」と、太陽の約0.2倍の質量の赤色矮星「ケプラー16B」があり、この2つの恒星を約230日の周期で公転している惑星で、表面を岩石で覆われた地球型の惑星ではなく、ガスと岩石で構成された地球の7~8倍の大きさのある惑星だと考えられています。
仮にこの惑星に岩石の地表が存在したとしたならば、表面温度はマイナス100度前後の氷の惑星か?生命のカケラも無い荒涼とした大地が広がっているのではないか?と推測されています。
「Image Credit:惑星Kepler-16bの想像図(Exoplanet Travel Bureauより)」
ちなみにこの惑星「Kepler-16b」ですが、発見当初、映画「スターウォーズ」に登場する惑星「タトゥイーン」に、環境が似ていると話題になった事があります。
初めて発見された地球型惑星「Kepler-186f」
3つの天体の中では最も地球から遠い、はくちょう座方向の約492光年先にある惑星「Kepler-186f」。この惑星は、赤色矮星ケプラー186を周回する天体でNASAのケプラー宇宙望遠鏡によって初めて発見された地球型の惑星です。
「Image Credit:惑星Kepler-186fの想像図(Wikipediaより)」
「Kepler-186f」は地球よりひと回り大きく、主星と惑星の位置関係から想定すると、太陽系では火星に近い軌道を周る惑星に近いのではないか?と推測されています。
「Image Credit:惑星Kepler-186fの想像図(Exoplanet Travel Bureauより)」
惑星Kepler-186fもまた主星が赤色矮星のため、表面では赤い景色が広がっているのでは?と考えられているようです。
最も期待度の高いのは惑星「TRAPPIST-1d」?
VRコンテンツ「Exoplanet Travel Bureau(太陽系外惑星旅行局)」で紹介されている系外惑星の中で、最も観測が早く進み、詳細なデータが明らかになるのは「TRAPPIST-1d」だと言われています。その理由は、地球に近い距離にある事と、詳細な分析がしやすいトランジット法という観測方法で発見された事にあります。
トランジット法では、惑星が主星の前を横切るときに起きる減光を観測する方法で、様々な情報を得る事が可能となるそうです。
「Image Credit:トランジット法のイメージ(Wikipediaより)」
トランジット法の観測では、惑星の詳しい組成を知る事が出来る他、大気の分析や水の存在の有無までわかるとの事。
実際、「TRAPPIST-1d」をはじめトランジット法で発見された天体の詳しい分析を行うため、最新鋭の探査機も打ち上げられていますので、近い将来、VRコンテンツがよりリアルに再現できるかも知れません。