映画やドラマ等で描かれる宇宙モノと言えばスターウォーズやスタートレック等、架空のSFストーリーがほとんどでしたが、人類の宇宙開発が進むにあたってSFではなく実話として描かれる映画なども増えてきました。
そんな実話モノの中で紹介したいのが映画「ファースト・マン」です。
この映画は、人類で初めて月面着陸を成し遂げたNASAのアポロ計画を描いたストーリーであり、個人的に非常に興味深い映画と感じましたので是非ご紹介したいと思います。
アポロ計画の人間ドラマを描いた実話「ファースト・マン」
日本では2019年に公開された映画「ファースト・マン」。これはアメリカの伝記映画で、主人公は人類初の月面着陸を成功させたアポロ11号の船長ニール・アームストロング氏です。
「Image Credit:アポロ11号に搭乗した3人の宇宙飛行士。左からアームストロング、コリンズ、オルドリン(Wikipediaより)」
この映画の製作総指揮を務めたのが巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督ですので、注目の話題作と言えるのではないでしょうか?
ニール・アームストロング氏はアポロ11号の船長であると同時に、人類で初めて月面に降り立った男としても歴史にその名を刻んだ偉大な人物です。
彼が月面に降り立った時に地球に送ったメッセージ
「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」
は、あまりにも有名な言葉でもあり、リアルタイムで月目着陸の中継を観ていない人でも、この名言を一度は耳にした事があるのではないでしょうか。
そんなアームストロング船長が主人公の映画「ファースト・マン」のあらすじは。
1960年代当時、アメリカと旧ソビエト連邦(ソ連)は大国同士の冷戦真っ只中で、経済、技術力においてどちらが世界をリードする国なのか?を互いに争っていた時代でした。
そんな中で、技術力のトップを決める指標として争っていたのが、当時はまだ危険で未知の領域だった宇宙開発。
しかし、宇宙開発においてはソ連がアメリカより一歩リードしており、焦りをみせていたアメリカは何としてでもソ連より先に月面に人を送る必要がありました。
そしてその月面着陸という重大な任務を背負う事になったのが、アメリカ政府内における宇宙開発に関わる計画を担当する連邦機関「アメリカ航空宇宙局(NASA)」でした。
映画では、NASAの宇宙飛行士であるアームストロング氏に視点において、当時の環境やプライベートでの葛藤をヒューマン・ドラマとして描いています。
● 参考サイト:【映画『ファースト・マン』公式サイト】
有人月面着陸は無謀とも言えた当時の技術力
人類の宇宙開発創世記は1950年代後半から始まっており、そんな時代で大きな出来事と言えば、1957年10月にソ連が打ち上げた人類初の人工衛星「スプートニク1号」の成功からはじまり。「Image Credit:直径58センチのアルミニウム製の球・人類初の人工衛星「スプートニク1号」(Wikipediaより)」
1961年、コチラもソ連が成し遂げた初の有人宇宙飛行。宇宙船ボストーク1号に乗ったガガーリン飛行士が言った「地球は青かった。」は有名な名言となっています。
他、女性で初めて宇宙に行ったのもソ連のテレシコワ宇宙飛行士(1963年)と、宇宙開発でアメリカはソ連にかなりリードを許していました。
「Image Credit:ガガーリン宇宙飛行士(右)とテレシコワ宇宙飛行士(左)(AFP=時事より)」
ソ連に人工衛星打ち上げや有人宇宙飛行でリードを許してしまったアメリカは「逆転を狙うには月面着陸しかない!」と目標を立て、当時のカリスマ的リーダーJ・F・ケネディ大統領の号令のもと月面着陸に向けて邁進して行く事になります。
しかしこの時代においては、人を安全に宇宙に送れるほどの技術力はなく、莫大な予算を継ぎ込みながらも失敗続きで犠牲者も出てしまうというほど月面着陸の目標は高い壁でした。
ちなみに、宇宙開発には絶対に欠かせないIT技術も当時は非常に未熟で、最高水準のコンピューターの性能も今のゲーム機程度の処理能力しかなかったという事を考えると、この時代に人を月面に送るということ自体、無謀とも言える挑戦であり超難易度の高いミッションだったと言えます。
技術力の乏しい時代に何故人は月に行けたのか?
映画「ファースト・マン」で描かれている1960年代に人類が初めて月面に降り立ったという真実の物語について、一部では「人類月面着陸は捏造だ!」と主張する人たちもいますが、これは紛れもない事実であり人類の偉大な功績でもあります。ですが、この時代は携帯電話(スマートフォン)やパソコン、インターネットはおろか、今では100円で手軽に買える電卓でさえも数十万円もする高価なモノでした。
「Image Credit:1967年製の電卓(SONY Historyより)」
こういう時代背景がある中で普通に考えれば「月になんて行けるハズがない!?」と思うのは至極当然な事かも知れませんが、現実として人類は1960年代に月面に降り立っています。
では何故人類は、技術力が乏しい中で月に行く事が出来たのでしょうか?
その理由は、莫大な費用を惜しげもなく投資し月面着陸に関わった人たちの必死の努力と執念があったからに他ならないと思います。
その証拠に「月面に人類初の足跡を残すための事業に、延べ約50万の人力と世界一豊かな国家の軍事力と産業力が投入された。」と言われているほどなのですから、今の時代には到底考えられない投資があったのかもり知れません。
「Image Credit:月面でアメリカ国旗に敬礼する宇宙飛行士(Wikipediaより)」
人類が月に行けたのは”お金”、”努力”、”執念”と表現していますが、やはり、それを知るには今回紹介する映画を観賞するのが一番わかりやすいのではないでしょうか!?
映画「ファースト・マン」では、偉業を成し遂げたニール・アームストロング氏が直面した恐怖や数々の葛藤が丹念に描かれており、当時の挑戦が如何に大変だったのか?というのが、非常にわかりやすい構成になっています。