ブラックホール。それは天体の最終形態とも言って過言ではないかも知れません。
そんな天体の最終形態のブラックホールですが、以前は理論上の天体で実在することは確認されていませんでしたが、近年の観測技術の進歩により、この天体が実在することが判明し、さらには信じられないほど巨大な質量を持つモンスターブラックホールまで存在が確認されています。
実在することがわかっているブラックホール。そして、モンスターブラックホールとはどういう天体なのでしょうか?

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人類史上初めて発見されたブラックホール

ブラックホールは、夜空に輝く星々のように目で見ることは出来ない天体です。
それは高密度で大質量、強力な重力を持ちあらゆる物質を飲み込み、光でさえもブラックホールからは脱出出来ず、天体そのものから光が放たれないため、それがどこにあるのか?まったく掴めず、謎に包まれたた天体であり、あくまでも理論上の天体として20世紀後半までその存在が確認されて来ませんでした。

そんなブラックホールが、人類史上初めて確認され始めたのが1960年代に入ってから。
1960年代、地球から約6,000光年離れた場所から強力なX線が放出されている天体が発見され、これがブラックホールではないか?と推測され70年代に入ってからほぼブラックホールで間違いないと判断される事となったのです。

そしてこの人類初発見のブラックホールは「はくちょう座X-1」と名付けられました。

目に見えないハズのブラックホールが発見出来た理由

何故、ブラックホール「はくちょう座X-1」を発見出来たのでしょうか?
その理由は、ブラックホールと思われる天体の近くにもう1つの目に見える天体(連星)があったからであり、X線発信源とされる天体の近くにはHDE226868という恒星が存在し、そのHDE226868は強い重力によって揺れ動いており、さらにはHDE226868のガスや塵が連星として存在するであろう(目に見えない)伴星と思しき天体に向かって引き寄せられており、その時のガスなどの摩擦熱で強力なX線が発生している事が観測されました。

目に見えない伴星が、恒星を揺れ動かすほどの強い重力を持ちさらに近くにある物質を引き寄せている。この現象を引き起こす伴星こそが、ブラックホールに違いないと判断され、「はくちょう座X-1」として初めてブラックホールの存在が確認されたことになりました。

「Image Credit:HDE226868(左)から伴星(右)にガスが引き寄せられる「はくちょう座X-1」の想像図。(Wikipediaより)」
なお、このブラックホール「はくちょう座X-1」は、太陽の約15倍の質量を持ち毎秒800回転以上回転していると考えられています。

宇宙に無数に存在するブラックホール

「はくちょう座X-1」が発見されて以降、数多くのブラックホール候補が発見されています。
ただ、発見されているのはX線を放出するような連星形態を持つブラックホールのみで、そのほとんどが発見が難しい目に見えないブラックホールだと考えられ、それらを含めると宇宙には無数のブラックホールが存在すると推測され、我々の太陽系が属する直径約10万光年の大きさを持つ天の川銀河内にも1億~10億個が存在すると考えられています。
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ブラックホールはどのようにして誕生するのか?

宇宙には太陽より質量の大きい恒星は無数に存在します。
そんな質量の大きな恒星が一生を終え、太陽質量の30倍以上の恒星がブラックホールになると考えられています。
そのような大質量の恒星が燃え尽きると、超新星爆発という重力崩壊を起こし、その爆発は凄まじく太陽が放出する数億年分のエネルギーを一瞬で爆発エネルギーに変えるとされ、爆発による衝撃波は、30~50光年先まで壊滅的な影響を与えると考えられています。

「Image Credit:iStock」
そして超新星爆発の後の中心部には、極限まで重力と密度が高くなった天体が残り、それがいわゆるブラックホールとなるワケです。
そのブラックホールになった重力と密度は、地球をそのままパチンコ玉ほどの大きさまで圧縮したほどと例えられるほど、想像を絶する究極の天体だとされています。

ブラックホールは成長する!?

ブラックホールは、大質量の恒星が燃え尽き超新星爆発を起こした後に誕生する天体だとされていますが、そのようにして生まれたブラックホールは太陽質量の数倍~10数倍だとされています。
しかし、宇宙にはそのような誕生のメカニズムでは説明できない、太陽の数百万倍以上の質量を持つモンスターブラックホールも発見されています。

例えば、地球から約2万6000光年離れた、私たちの銀河の中心にあるブラックホール(いて座Aスター)も超大質量のモンスターで太陽の400万倍以上の質量があると考えられています。

「Image Credit:いて座Aスター(SgrA*)。(Wikipediaより)」
ですが何故、このようなモンスターブラックホールが存在するのでしょうか?
詳しい原因は解明されていませんが、おそらく恒星質量ブラックホール同士が衝突・融合することで成長し、中質量ブラックホールそして超大質量ブラックホールへと成長するのではないか?と考えられています。
なお、モンスターブラックホールの大半は銀河の中心に存在すると考えられており、観測出来る範囲内だけでも宇宙には1,000億個以上のモンスターブラックホールが存在するということになります。
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