史上初めてその姿が撮影された事で話題になったM87銀河の中心にある超大質量ブラックホールは、太陽質量の約65億倍という、想像を絶するほど巨大なブラックホールの質量を聞いて驚いた方も少なくなかったと思います。
ですが、この広い宇宙にはまだまだ巨大なブラックホールはたくさん存在しており、人類が観測した中で最も巨大なブラックホールはなんと!太陽質量の210億倍もあるとの事。
そんな想像を絶する巨大質量ブラックホールって、そもそも何故実在しているのでしょうか?

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宇宙で一番大きい~観測史上最大のブラックホール

人類が初めて撮影に成功したM87銀河の中心に存在する、ブラックホールの大きさは太陽質量の約65倍もあると言います。

「Image Credit:人類史上初。撮影に成功した本物のブラックホール画像(Wikipediaより)」
地球から約5,500万光年離れたこのブラックホールの本体(中心部の黒い部分)の大きさは約400億キロもあり、これを太陽系に置き換えると太陽から冥王星軌道の約4倍もの広さに相当するほど巨大であり、つまり、M87のブラックホールは太陽系をあっさり飲み込んでしまう程の大きさを持っています。

そんなM87ブラックホールも簡単に凌駕している超々大質量なブラックホールも確認されており、それは地球から約3億光年離れた「かみのけ座銀河団」の中にありひと際明るく輝く巨大楕円銀河「NGC4889」の中心に存在すると言います。

「Image Credit:かみのけ座銀河団 中央の最も明るい天体が楕円銀河NGC4889(Wikipediaより)」
この銀河の中心に存在する、観測史上最大のブラックホールは太陽質量の約210億倍あるものと考えられており、大きさは直径約1,300億キロ。と、太陽系(太陽から冥王星まで)が10個以上すっぽり入ってしまう程の大きさです。

これまで発見されたブラックホールの中では最大のNGC4889ブラックホールですが、観測した結果によるとこのブラックホールは現在、活発に活動する形跡は見られず非常に安定していると思われ、ブラックホール周縁部では新しい星たちが次々と誕生していると考えられています。
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私たちの住む銀河のブラックホールはどれくらいの大きさ?

宇宙に数多く存在する銀河のほとんどの中心に超大質量ブラックホールが存在していると考えられています。
そして私たちの住む銀河(天の川銀河)の中心にも大質量ブラックホールが存在しており、M87やNGC4889銀河には遠く及びませんが、それでも太陽質量の約400万倍もあるブラックホールがある事がわかっています。
また、太陽から水星までの距離を超える大きさを持ち直径約6,000万キロ程だと推測されており、そのブラックホールは「いて座A*」と呼ばれ地球から約2万6,000光年離れた位置にあります。

「Image Credit:銀河の中心方向と「いて座A*」(NASA/UMASS/D.WANG ET AL., STSCI)」
M87やNGC4889銀河のブラックホールには遥かに小さな規模の「いて座A*」ですが、その巨大な重力で私たちの太陽も含め約2,000億個もの星々を束ねていますので、いかに凄まじいエネルギーを持っている天体であるか?は想像するに及びません。

※ 追記:2022年5月。天の川銀河の中心に存在するとされる超大質量ブラックホール「いて座A*」の直接撮影に成功し、全世界に公開され大きな話題となりました。

「Image Credit:直接撮影に成功された「いて座A*」(Wikipediaより)」

何故、巨大ブラックホールは存在するのか?

とこそで、ブラックホールはどうやって誕生するのでしょうか?
現在、理論上考えられているのが、太陽質量の30倍以上の質量を持つ恒星が寿命を終えた時の重力崩壊で誕生しているとされています。
【動画:ブラックホールの誕生から消滅まで】

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つまり、ブラックホールが誕生しても太陽質量の十数倍程度の恒星質量ブラックホールしか存在しない事になり、巨大ブラックホールの質量の65億倍や210億倍はおろか400万倍にも遠く及びません。

それなら何故、これほどまでに巨大な質量を持つブラックホールが存在しているのでしょうか?
その理由について一部では、誕生時は小型でも光や周りの星々を飲み込んで(食べて)成長している。との考え方がありましたが、その考え方は異論もあり、おそらく、多くの巨大ブラックホールは宇宙誕生初期に誕生していると考えられています。
その証拠に、太陽質量の数億倍以上という巨大なブラックホールのほとんどは地球から数億光年以上も離れており、理由は不明ですがこれらは宇宙創成期に誕生したモノではないか?と推測されています。
また、ブラックホール同士の融合合体によって巨大化しているという考え方もあり、私たちの銀河の中心にあるブラックホールもいくつものブラックホールが合体・融合して出来ており、現在も成長を続けていると考えられています。

「Image Credit:NATIONAL GEOGRAPHICより
いろいろと推測はされていますがブラックホールはその実態が謎だらけの天体です。
太陽の210億倍もの質量を持つNGC4889ブラックホールがどのようにして形成されたかは不明ですが、おそらくは、合体、融合を繰り返してここまで巨大化したのではないか?とも推測できます。

そもそもブラックホールは自ら光を放たない天体だけに発見も難しく、実際にどのように形成され構造自体もほとんど解明されていません。
解明が難しい中でも少しずつ研究が進み最近になってわかって来た事は、この宇宙においてブラックホールの存在は決して珍しい事ではなく極当たり前に多く存在しているらしいとの事。

私たちの銀河系の中にだけでも、少なくとも1億~10億個ほどのブラックホールが存在していると考えられています。
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