「広大な宇宙で、高度な文明を持つ知的生命体は人類だけなのでしょうか?」
その答えはまだ見つかっておらず、高度な文明を持つ知的生命体は今のところ人類だけで、実際、この地球という限られた空間で暮らす人たちの多くは、知的生命体は人類だけで宇宙人なんて存在しない。と思っています。
しかし、フェルミのパラドックスとういう理論に基づくと、宇宙には人間以外にも高度な文明を持つ宇宙人はいるという可能性を指摘しています。
いったいフェルミのパラドックスとは、どういう理論なのでしょうか?そして、宇宙には私たち人類以外に知的生命体は存在しているのでしょうか?
そんなことについて今回は考えてみたいと思います。
宇宙人という存在について一般的に多くの人は、宇宙人はSFの世界に存在する空想上の生物とぐらいにしか思っていないでしょう。
しかし、宇宙を研究する多くの科学者たちは宇宙人は必ず存在すると信じています。
その理由は単純で、宇宙があまりにも広過ぎるからであり、そんな広い宇宙において、人類のようなまたは人類以上の高度な文明を持つ知的生命体(宇宙人)が居ないハズはない!と確信しているからです。
宇宙人存在を信じる理由~宇宙はどれくらい広いのか?
私たちの地球は、太陽という1つの恒星で形成される太陽系に属する惑星です。太陽系は私たちから見ればとてつもなく広大な空間で、人類の力ではとても太陽系全体を網羅する事は不可能です。しかし、そんな広大な太陽系も天の川銀河ではほんの一部にしか過ぎず、天の川銀河には太陽のような恒星が2,000億個以上存在する事が判明しており、それはつまり、2,000億個全てではないにしても、銀河には数えきれないほどの太陽系が存在していることになるのです。
ちなみに、参考までに天の川銀河の星(恒星)の数をご理解いただくために以下の画像を紹介します。
「Image Credit:ヨーロッパ南天天文台(ESO)」
これはヨーロッパ南天天文台(ESO)が公開した、地球から天の川銀河中心方向を撮影した高画質画像で、この1枚の画像の中に8,400万個以上の恒星が写っていると言います。
もちろんこれは天の川銀河の一部に過ぎず、全体を見ていただくには、とても1枚の写真に納まるものではない事をご理解しただければと思います。
◆参考:天の川銀河(銀河系)の構造を示す解説動画
しかし、宇宙全体から見ると私たちの天の川銀河すらもほんの一部にしか過ぎず、私たち人類が観測出来る範囲内だけでも数千億個を超える銀河が存在しているとされています。
なお、私たちの天の川銀河は3,000個以上のおとめ座銀河団の1つで、それだけでも測り知れない程の広さがあります。
◆参考:太陽系から天の川銀河を飛び出し、おとめ座銀河団まで行く仮想宇宙旅行の動画
ここまで宇宙の広さとはどんなモノか?と解説しましたが、これだけ途方もない広さを持つ宇宙で知的生命体は人類だけだ!と断言出来るでしょうか?そういった理由から科学者たちは広い宇宙のどこかに必ず宇宙人はいると考えているのです。
そしてそれが、今回ご紹介するフェルミのパラドックスという理論の原点になっているのです。
フェルミのパラドックス理論とは?
前置きが長くなりましたが、フェルミのパラドックスとは、イギリスの物理学者エンリコ・フェルミ氏が最初に考察したと言われており、彼の名前をとって「フェルミのパラドックス」と呼ばれています。その考察と言うのは、あまりにも広大な宇宙には膨大な数の恒星(太陽)が存在しており、その恒星により地球のような惑星や衛星が形成されているのなら高度な文明を持つ宇宙人は存在している可能性がある。という考え方から来るモノです。
そんなフェルミのパラドックスには、宇宙人の存在を指摘するいくつかの考察があり、その中から主だったものをご紹介すると・・・
フェルミのパラドックス~「宇宙人はいるが、その存在に気付いていない。」
これは今の人類のことであり、実際に宇宙人と遭遇していない、もしくはその証拠がないので気付いていないという事のようです。良く言われるのが、宇宙人が乗ったUFO(宇宙船)が地球に飛来しアメリカ軍と接触しているものの、軍部はその事実をひた隠しにしている。といった一種の都市伝説的なモノがあり、有名なエリア51に代表される仮説を筆頭に、世界各地でこのような宇宙人の目撃情報や接触のウワサは絶えません。
「Image Credit:エリア51(therichest)」
このような都市伝説やウワサはあるものの明確な証拠などなく、また宇宙人の存在を掴もうと、地球外知的生命体探査(SETI)のプロジェクトも進行していますが、現時点では宇宙人発見にはいたっていません。
「Image Credit:地球外知的生命体探査(S.E.T.I.)(Wikipediaより)」
つまり、人類は宇宙人を信じているが、宇宙のどこかにいるであろう宇宙人の存在に気付いていない。という現在の状況がフェルミのパラドックスの1つになります。
フェルミのパラドックス~「宇宙人はいるが、地球にはたどり着けない。」
一番現実的な考察がコレではないでしょうか?あまりにも広過ぎる宇宙空間では、宇宙人がいるであろう恒星系を行き来するのに光の速さ(秒速30万キロ)でも何年もかかるため、光の速さに到達できる乗り物(宇宙船)など今の人類には到底造る事等出来ず、もし人類の科学文明を遥かに凌駕する宇宙人がいたとしても、恒星間航行を出来る乗り物を造ることは非常に難しく、さらに科学文明が発達すればするほど、戦争や環境破壊のリスクが高まり自滅してしまう可能性も高い。とういう考え方もあります。
いずれにしても、現在の常識では光の速さで飛ぶか、もしくはそれを超える宇宙船を造ることは不可能とされており、その常識内の考え方ではとても宇宙人が地球までたどり着けることはあり得ないという事になります。
「Image Credit:pixabay」
フェルミのパラドックス~「地球以外に宇宙人は存在しない。」
これは、そもそも人類は宇宙で唯一無二の存在という原点の考えに戻るワケで、それは地球があまりにも奇跡的に誕生した惑星という事もあり、人類の進化も地球の歴史の偶然が何度も重なりが成し得たモノだという事です。そんな奇跡や偶然は、いかに宇宙が広いと言えども他に起こり得ないというのがこの考え方で、仮に知的生命体がいたとしても、人類の文明レベルまで達していないという考え方もあります。
宇宙人は地球に来ている?
フェルミのパラドックス理論に基づく考察は他にもあり、「宇宙人はすでに地球にやって来ている。」という考えもあります。それは、歴史上の文献や古代の遺跡に宇宙人来訪を伺わせるような不可解な痕跡がみられることや、人類の文明に大きな変化をもたらした天才的偉人は、地球に潜伏していた宇宙人ではないか?さらには人類そのものが、遠い宇宙からやって来た宇宙人の子孫ではないか?という突拍子もない仮説もあったりしています。
「Image Credit:宇宙人を模った?遮光器土偶(Wikipediaより)>」
少し荒唐無稽な仮説もありますが、もし、恒星間航行が可能な超高度な技術を持つ宇宙人が地球に来ていて、彼らに欲や悪意があったとしたならば、人類はその科学文明にとても太刀打ち出来ず、あっという間に滅ぼされてしまうかも知れません。
しかし、現在の人類は健在で宇宙人の侵略など架空のSF映画の世界でしかありませんが、やはり地球に宇宙人などやって来てはいないのかともなりますし、仮に地球に来ていたとしても彼らは温厚で引っ込み思案なため、人類の前に姿を見せないのかという笑い話もあり、さらには、自分たちの高度な科学技術を人類に公開する事を拒んでいるのか?等と様々な考察がありますが、これらもフェルミのパラドックスに含まれている部分ではあります。
宇宙人が存在する条件の恒星系とは?
フェルミのパラドックスは、宇宙に人類が存在する理由を原点にしており、人類そのものもが宇宙人という事になるワケで、いかに人類が奇跡的に生まれたとしても、広過ぎる宇宙ではそのような奇跡はいくつも起こり得る可能性があると考えており、宇宙人は人類だけではないと考えているからだと言います。また、人類のような科学文明を持つ宇宙人が育つ恒星系の惑星の条件。としてある科学雑誌に載っていたことを引用しますが、
まず、その絶対条件として、惑星の母天体である恒星が適度な温度を持つ長寿命な恒星である事で、私たちの太陽も表面温度が約6,000度(黄色矮星)と、それほど高温ではなく寿命も100億年はあるという長寿命の恒星もその理由になります。
「Image Credit:Wikipedia」
そんな長寿命の恒星は宇宙では珍しくなく、太陽より温度が低い赤色矮星などは太陽よりも寿命が長いと考えられており、この長寿命により惑星に生命が誕生し、高度な文明を持つ生命体に進化するまでの十分な時間がつくれるとあります。
さらに、宇宙人が育つ環境としては、その恒星系が他の恒星系と距離が離れている事も条件の1つですが、それが長寿命の恒星であったとしても、その近くに超新星爆発を起こすような危険な巨星があったとしたならば、そこで生命が育まれる可能性は低いという事にもなります。
このような条件は、私たちの太陽系も同じで、適度な太陽の温度と寿命、そして太陽系の近くには危険な恒星は存在していない事が生命が育まれて行った経緯でもあると言い、生命が高度に進化する恒星系の条件は、穏やかな場所に存在する事が条件で、そしてその恒星系に存在する惑星(もしくは衛星)は、地球型の岩石惑星で生命生存可能領域(ハビタブルゾーン)軌道にある星である事が条件であります。
この条件に地球のような奇跡が重なることで、宇宙人が存在し得る星になる。とあります。
現在人類は、このような恒星密度の低い赤色矮星にターゲットを当て地球外知的生命体探査を行っており、近い将来に知的生命体に接触、もしくは痕跡を発見出来るかも知れないと期待しています。
果たして近い将来に、そんな日はやって来るのでしょうか?少し期待し、ワクワク出来る未来を想像したいものです。
はじめまして。
私は最近になって、腰を据えて物理学の勉強を始めました。
以前勉強したときは、つまらなかったものですが、量子論を知ったことや、宇宙の研究って物理じゃないかと思ったとき、とてつもなく物理学に興味を持ち、更に宇宙への関心も高まりました。
現在ようやく古典力学のケプラー問題を勉強し、色々と思考を繰り返していくなかで、太陽系のことを考えてた際にこのサイトに行きつきました。
他のオカルト臭すぎるサイトに比べ、このサイトは、科学者の実際に行った実験等を基に語られてるので非常に面白いです。(勿論、科学も仮説の上に成り立つことを考えれば、一種のオカルトなのですが笑)
太陽系外の生命体の話はワクワクします。これからも拝見させて頂きます。
長文失礼致しました。